日本歯科医師会の全面協力のもとで製作された映画『笑顔の向こうに』が、2月15日(金)より全国のイオンシネマにて公開されている。
8020運動は今年30周年を迎え、その記念事業の一環として製作された本作。歯科医療の現場で活躍する、笑顔を支える人々の心温まるストーリーがテーマだ。
主演は、2018年映画『世界でいちばん長い写真』『虹色デイズ』『ギャングース』、劇場アニメ『君の膵臓をたべたい』やドラマ『セトウツミ』など主演を多数務め、話題作に出演している人気若手実力派俳優の高杉真宙。今回初の医療関係・歯科技工士役に挑んだ。
ヒロインには、第35回ホリプロタレントスカウトキャラバンオーディション2010にてグランプリを受賞後、バラエティからホラーまで多ジャンルの映画に出演し、「龍角散」や「東京メトロ」のCMにも出演している安田聖愛。木村祐一、佐藤藍子、藤田朋子、中山秀征、秋吉久美子、松原智恵子など実力派俳優が脇を固め、物語は深みを増している。
主題歌は、ボーカル&手話パフォーマンスグループHANDSIGNの「ふたりのサイン」。監督は、ニューヨークにて映像やアートの制作に携わり活躍してきた榎本二郎が担当し、長編映画初監督デビューを飾る。
本作は昨年末、カンヌ、ベルリン、ヴェネツィアの世界三大映画祭に次ぎ有名な、国際映画祭「モナコ国際映画祭」でグランプリを受賞したことで大きな話題となった。
映画のあらすじとレビュー
咬合器が整頓されて棚に並ぶラボの一角。ゴーグルを装着した若者が、きれいに築盛されたポーセレンブリッジをエンジンバーで研磨し、指でそっと削片を拭う。
受付が案内した患者さんに、エプロンを優しくかける。
そんな、歯科医療の現場においてありふれた風景から物語はスタートする。
技工士としての腕があり、容姿も端麗で、取引先歯科医院のスタッフからは“王子”と呼ばれる若手歯科技工士の大地(高杉真宙)。
新人歯科衛生士として東京郊外のデンタルクリニックで働き始めた真夏(安田聖愛)。
大地(左)と真夏(右)
主人公の二人はそれぞれ金沢から上京した幼なじみで、偶然再会するところからストーリーは展開する。
ドクターと歯科技工士の関わり、新人スタッフ教育、患者さんとのトラブルとその解決法など、歯科医療従事者であれば一度は経験したことがあるであろうシーンが次々と銀幕に映り、高揚感を感じずにはいられない。
ロケは実際の歯科医院や歯科大学で行われ、歯科医師会の監修でもあることから、細部に渡り非常にリアルだ。歯科医療従事者の目から見ても、違和感なく受け入れられるのではないだろうか。
また、メインテナンスの重要性、口腔の健康と全身の健康の関わり、医科と歯科の連携など、歯科医師会が映画を通して国民に伝えたいメッセージが強く感じられる作品だ。
これからの時代のニーズや社会問題を見通し、精度の高い治療だけでなく、高齢者を中心とした患者との心の触れ合いが随所に描かれている。
「生きる力を支える医療」の代表である歯科が、国民の健康にいかに資するのか。そういったことが一切の押し付けなく、スッと入ってくる。
そして何より、本作は歯科医療の現場ではたらく人々にスポットライトを当てるという意欲作でもある。
一般的に、人間の生き死には感情の揺さぶりが大きいことなどから、医療ドラマは外科を中心とした医科が題材となることが多い。
そのような中、歯科に携わる人々がどのような人間なのか、どのような想いで患者と向き合っているのか、その仕事の意味は何なのか。そういったことを、国民はもとより、医療業界へも語りかけていることを感じずにはいられない。
歯科医療の現場をテーマに、若者たちの成長を描いた珠玉の青春ストーリー。笑顔の向こうにあるものとは・・?
この春、同僚と、家族と、患者さんと。歯科に関わるすべての方と共有したい作品だ。
ギャラリー
パンフレットは720円(税込)で販売
新宿シネマカリテに飾られた本作のギャラリー
劇場情報・作品詳細
上映期間:3月上旬まで予定
上映時間:1時間29分
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執筆者
WHITE CROSS編集部
臨床経験のある歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士・歯科関連企業出身者などの歯科医療従事者を中心に構成されており、 専門家の目線で多数の記事を執筆している。数多くの取材経験を通して得たネットワークをもとに、 歯科医療界の役に立つ情報を発信中。