2020年2月22日(土)~23日(日)の2日間、京都府の国立京都国際会館において、大規模な予防ミーティングが開催される。
主催するPHIJ (Perio Health Institute Japan) は、「超長寿少子社会の中で、日本国民が心身ともに健康になれるような歯科医療を提供する」ために「歯科医師と歯科衛生士がチームとして、予防歯科医療を軸とした科学的根拠に基づいた質の高い歯科医療を歯科医院で実現していくこと」を活動のゴールとしている。
「アップデートミーティング@京都 」では、予防医療を実践するプロフェッショナルのコミュニティーの醸成と予防歯科医療と社会をつなぐ窓口を促進するために、様々なセッションが行われる。登壇者のバックグランドも多岐にわたっており、主催の築山鉄平先生をはじめ、米国で歯周病専門医オフィスで勤務している歯科衛生士のBecki Cole女史、元厚生労働省の官僚で、医療・福祉・介護・子育て・年金・雇用政策に携わってきた社会保障政策のエキスパートである武内和久氏などが登壇する。
「歯周炎を介した様々なチームアプローチの価値」、「生涯キャリアとしての歯科衛生士像の追求」、「予防医療を中心とした歯科医院で必要なこと~成長し成功するために~」、「日本の社会保障における予防歯科医療の価値」など、様々な角度から予防に切り込むセッションが開催される。ミーティングのフィナーレを飾る最終セッションでは、「予防歯科と社会がどうつながっていくか」というこれからの日本歯科医療と予防歯科のあり方そのものを描き出すプログラムとなっている。
2019年末、このプログラムに登壇するメンバーにより、事前打ち合わせを兼ねた座談会が東京都内で行われた。この記事では、打ち合わせによって決定された、このセッションを通じて参加者が"何を得ることになるのか"についてご紹介する。
「さあ、予防に目覚めよう 事前座談会@東京」
現代日本において、国民の歯科定期健診受診率を高めることは国策にも盛り込まれた社会的課題である。一方で、未だ予防歯科の重要性や価値が社会に十分に浸透しているとは言い難い。その理由の一つとして、これまで予防歯科の価値やあり方についての議論が、歯科医療従事者によって歯科医療業界を中心に行われてきたことにあるのではないだろうか。
今後、社会全体を巻き込んで「心身ともに健康でいられるために歯科の予防メインテナンスに通院する」という文化を育てていく必要がある。そのファーストステップとして、最終セッションではWHITE CROSS株式会社代表歯科医師の赤司征大氏を座長に、異なる立場から予防歯科を推進する3名の歯科医師が登壇。これからの日本社会における歯科医療の役割、戦略が描き出され、その先に「予防歯科と社会がどうつながっていくか」を見出していく予定だ。
演者集合写真
築山鉄平先生 「歯科医院の枠を超え、地域社会を巻き込んだ予防歯科医療を推進」
米国タフツ大学歯学部歯周病科卒業。米国歯周病学会ボード認定医 。2013年より、PHIJコースディレクターを務め、日本社会に最適なGP(総合診療医)と専門医の連携構築を目指している。
ロールモデルとなる歯科医院を作るため、福岡県福岡市のつきやま歯科医院において若手歯科医師の教育に力を注ぎながら、科学的根拠に則った質の高い歯科医療を提供するための専門医療センターを立ち上げる。歯科医療に医療の視点を導入した診査、診断、治療、結果のモニタリング、予防プラン、メインテナンスを世界基準で提供している。
佐々木成高先生 「歯科医師会の立場から、医科などの他職種・行政と連携しての予防歯科を推進」
口腔外科で研鑽を積んだ後に、愛知県小牧市で開業。様々な学会での研鑽に加え、小牧市歯科医師会の副会長として、歯科医療の立場から地域包括ケアシステムの構築に携わる。医科などの他職種・行政と連携しての予防歯科を推進している。
栗林研治先生 「一般の大企業を巻き込んだ、予防歯科を推進」
ニューヨーク大学、ウィーン大学などで研鑽を積み、顎関節を含めた包括的治療を学ぶ。臨床はもとより、医院経営やスタッフ育成にも力を注いでいる。千葉県浦安市にて開業後、歯科医療から地域社会を巻き込んだ活動を行っている。歯科医療の立場から様々な場での講演を行っており、原宿食サミットをはじめ、明治安田生命などで講演を行い、予防歯科について啓発を行っている。
高屋翔先生 実行委員長
医科大学病院にてキャリアをスタート。現在は歯科診療に従事しつつ、地域と社会と医療を繋げる役割を果たすべく、グロービス経営大学院にてMBA取得を目指し勉学に励んでいる。「地域社会に予防医療を普及させる」をモットーに、ベンチャー企業のアドバイザーや地域行政への対応など活動の幅を広げる。PHIJ所属、今回のミーティングでは実行委員長を務める。
座談会の様子
座談会では、「予防歯科と社会がどうつながっていくか」という議題の元に、どのようなセッションとしていくかについて、真剣な議論がなされた。
歯科医療が歯科医院内のみで完結する時代が終わろうとしている過渡期において、予防歯科について、歯科医院の枠組みだけで話ができる時代も終わろうとしている
これからの時代に、医師や看護師など多職種にとって、そして日本社会にとって予防歯科がもたらすべき価値は何か?
歯科医療が多岐の方面に渡って、社会とスムーズに連動するシステムを追求するためには?
様々な議論がなされる中で、登壇者それぞれの見識が共有されていき、予防歯科と社会について何が語られるべきかの共通認識が生まれていく。また、来場者にどのようなメッセージを“お土産”として渡すことができれば、セッションは成功と言えるのか、徹底して来場者ファーストの議論が行われた。
栗林研治先生(左)と築山鉄平先生(右)
高屋翔先生(左)と佐々木成高先生(右)
その結果として、当日のセッションの姿が、徐々に浮き上がってくる。参加者の心に、
・ これからの日本国において、予防歯科医療がどこまで発展し、どのように社会に浸透していくかについてのイメージを共有する
・ フェアな視点から歯科医療が持つ可能性を感じてもらい、歯科医療に携わるものとしての使命感を共有する
・ 3名の登壇者、座長。それぞれの立場から、見識を出し惜しみすることなく共有・議論する
そのようなセッションとすることが決定された。
登壇者からのメッセージ
事前座談会@東京を終えた築山先生、佐々木先生、栗林先生より、ビデオメッセージが届いたので是非ご覧いただきたい。
セッション当日は、冒頭に座長の赤司氏により「国策の視点から、予防歯科と社会がどうつながっていくか」についての小講演が行われる。その後各登壇者より、自己紹介も兼ね、それぞれの視座から見た「予防歯科と社会がどうつながっていくか」が語られる。
そして、各登壇者の活動を代表するイメージ写真を会場のスクリーンに投影した上で、パネルディスカッションとそのまとめ。そして、質疑応答が行われる予定である。
参加者が、これから5年、10年単位での日本社会と歯科医療との関わりや、予防歯科と社会がどうつながっていくかについてのイメージを得て、新たな使命感を持って明日の臨床に向かっていけるような、心踊るセッションになることであろう。
お申し込み
会場
国立京都国際会館(JR京都駅より、地下鉄烏丸線1本)
受講費用
PHIJベーシックコース受講医院様の医院単位での受講(何名参加されても同費用): 85,000円/医院
PHIJベーシックコース未受講医院様の医院単位での受講(何名参加されても同費用): 105,000円/医院
学生: 無料
歯科医師(卒後5年以内): 5,000円/日、10,000円/2日通し
歯科衛生士(個人参加): 5,000円/日、10,000円/2日通し
お弁当代: 1,000円/個
アフターパーティー参加費: 歯科医師 10,000円、他スタッフ 5,000円
* 金額はすべて税別です
医院単位での参加・歯科医師
学生・歯科医師(卒後5年以内)・歯科衛生士(個人参加)
執筆者
WHITE CROSS編集部
臨床経験のある歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士・歯科関連企業出身者などの歯科医療従事者を中心に構成されており、 専門家の目線で多数の記事を執筆している。数多くの取材経験を通して得たネットワークをもとに、 歯科医療界の役に立つ情報を発信中。