6月30日、総義歯治療専門歯科医師の松丸悠一先生が、WHITE CROSSのライブセミナーに登壇した。
今回のテーマは「失敗しない総義歯臨床へのヒント 2020アップデート」。2016年9月〜2017年5月に掲載され、人気を博したトピックを今年アップデートしようという企画だ。本記事ではセミナーの内容をご紹介する。
なお、本セミナーは8月2日までの期間限定で配信中。記事末尾にご案内しているので、ぜひご確認いただきたい。
印象採得のチェックポイントを上下顎に分けて徹底解説!
通常、一つの症例を通して総義歯臨床について講演することが多いという松丸先生だが、今回は「概形印象」にフォーカスしたセミナーとなる。
印象は義歯の成否を決めるもっとも重要なステップの一つだが、実は印象だけでは片手落ちで、採得した印象をどう活かしていくかという点で、床外形線の設定がきわめて重要になるという。模型の読み方、外形線の引き方についてはデモで解説するスタイルとなった。
読者の多くは、義歯の印象をアルジネートで採得していることと思う。その際、印象がうまく採れたケースとそうでないケースを誰もがお持ちなのではないだろうか。誰しも良い印象を採りたいと思っているが、感覚だけでは難しいのが実情だ。
再現性高く印象採得を成功させるためのチェックポイントについて、詳細かつ分かりやすく解説していく松丸先生。例えば、上顎の概形印象においては、トレーの試適時に正中・上顎結節・可動域をみておくことが勘所なのだそうだ。
テクニック編においてはビデオを用いて解説が入る。印象採得ではマニピュレーションなどの手技が肝要となるが、ビデオで解説が入ることにより、専門医の手の動きや、患者への声かけまで習得することができる。また、印象時は印象材が届きにくい部位を意識するだけでクオリティが変わるという。明日からの臨床に活かせるTIPSが満載で嬉しい。
【デモ】専門医の設定する床外形線と模型の読み方
床外形線の設定において、よく陥りがちな誤りとしては、圧のかかった印象において、最深部に外形線を設定してしまうことだと松丸先生は指摘。印象材が粘膜を押し広げているため、最深部に外形線を設定した場合、完成義歯の床縁は離脱力を受けることになるようだ。
したがって、反発力を受け始める前のラインに、大きすぎない外形線を設定することで、“失敗しない”総義歯の製作が可能となるという。
100%の印象はないという松丸先生だが、“印象面を診る目”を養うことで、臨床力はどんどん上がっていくと強調された。
質疑応答
セミナーは生放送で行われたため、全国から多数の質問がリアルタイムで寄せられた。
印象材の固さについて/積層印象をするかしないかの判断基準/トレーの接着はどうしていますか?/嚥下動作はしますか?/下顎の高度吸収症例の対応/嘔吐反射への対応/機材のメーカー名/粘膜を巻き込まない方法/個人トレーについて 他、24質問
視聴は8月までの期間限定!
ライブ配信は終了していますが、当日見逃した方のために 2020年8月2日(月)24:00 までの振り返り視聴(録画配信)期間を設けています。これからお申し込みいただいても、質疑応答含め、すべての講義内容をご視聴いただけます。
日常臨床に活かす総義歯臨床のコツ
画像クリックでWCCH(WHITE CROSSチャンネル)へ
他にも松丸先生のセミナーが、WHITE CROSSチャンネルに公開されています。今回のセミナーとは異なる症例について、診査からセット後の調整までを解説いただいています。ぜひともあわせてご視聴ください。