ヨーロッパ歯周病学会から2021年に発表された白書 ” Time to take gum disease seriously” （「歯周病を真剣に考える時」）は、歯周病が社会と個人にとって驚異的なコストをかけていることを明らかにしました。ここには患者さんの直接的な治療費や、仕事を休むなどの間接的なコストだけではなく、痛みや機能の低下、生活の質の低下といった目に見えないコストも含まれています。この白書は、国連から発表されているSDGs（持続可能な開発目標）に沿って発表された世界歯科連盟（FDI）の新しい「環境的に持続可能な医療に関するコンセンサス」（2022年）と密接に関連しています。このコストを削減し、サステナブルな歯科医療を提供するために、私たち歯科従事者は予防的で質の高い歯科医療に注力する必要があるという結論に達しています。
その効果として、 “予防によるさまざまなコストの削減”ができます。何より、患者さんの身体的、経済的負担が軽減でき、患者さんの生活の質の向上に寄与することが可能となるのです。
本講演会では、そのような最新のグローバルな観点をベースとし、科学的研究と臨床例を織り交ぜながら、スウェーデンと日本、そして歯科医師や歯科衛生士という異なる歯科のメンバーの側面から、非外科的な歯周病・インプラント周囲疾患の多角的な取り組み方をご紹介いたします。