2024 序
2024年診療報酬改定は,コロナ禍での医療提供体制の見直しを含む医療・介護・障害福祉のトリプル改定でした.当初,財務省は診療所,病院経営の好調を根拠にして診療報酬本体のマイナス改定を主張しました.これに対し,厚労省・医師会は物価高騰,働き方改革や賃金アップのために大幅なプラス改定が必要と主張し,真っ向から対立しました.しかし,大臣折衝により,近年では高い0.88%アップの改定率で決着しました.
歯科医療からみても,トリプル改定の内容にリハビリ・口腔・栄養管理の一体的取り組みが評価されています.このことは口腔疾患の重症化予防や口腔機能回復管理が生活の質を高め,医療費削減に役立つと評価された結果ともいえます.歯科医療は地域包括ケアシステムに組み込まれており,医療DXで情報共有による連携強化が求められています.そのため,情報通信機器を用いた加点が随所に見受けられます.また,今回の多岐にわたる改定項目で歯科医療における医療・介護・障害福祉との連携強化が一層明確になりました.
こうしたことを受け,本書の特集や症例解説では2024年度改定の意図や新症例を詳しく解説する企画編集をしていますが,改定のおもな特徴は以下のとおりとなります.
1.初診料,再診料の引き上げ,医療関係職種の賃上げ対応のベースアップ評価料新設
2.新興感染症に対応可能な医療提供体制構築のための外来環の分割再編
3.質の高い在宅医療の推進
(1) 歯科訪問診療料,訪問歯科衛生指導料等の評価の見直し
4.情報通信機器を用いた医療DX推進
(1) 医療DX推進体制整備加算
(2) 在宅医療における医療DX推進
(3) 情報通信機器を用いた歯科診療
(4) 歯科遠隔連携診療料
5.生活の質に配慮した口腔疾患の重症化予防,口腔機能低下予防への対応の充実
(1) 医科歯科連携の推進
(2) 歯科疾患に対する周術期等口腔機能管理の見直し
(3) 医歯薬連携の推進
(4) う蝕や歯周病重症化予防の推進
(5) 小児口腔機能管理料,口腔機能管理料の見直し
(6) 歯科固有技術の評価の見直し
補綴物製作時の歯科技工士との連携,大臼歯CAD/CAM冠要件見直し,単冠金属冠の補管対象からの除外
上記以外にも改定項目は多岐にわたり,大幅な改定となりました.連携,情報通信機器の活用,訪問診療の推進等による歯科診療所の機能連携強化のための施設基準の選択如何で,診療所の二極化が進むことが予見されます.こうした前提に立ち,本書は大変革時代の歯科医療の動向を的確に捉えた編集に心掛けています.読者の皆様にお役に立てれば幸いです.
ご愛読,ご活用をよろしくお願いいたします.
編者一同
<1> 歯科診療報酬点数早見表
<2> レセプトマスター(一般用・加算用・歯科訪問診療用)
<3> 令和6年6月からの歯科診療報酬改定のポイントと背景
<4> 令和6年度改定内容新旧対照表
<5> 令和6年度 新症例
おもな歯科関係施設基準一覧
歯科用貴金属価格の随時改定について
A 基本診療料
1 基本診療料
2 選定療養,療養の給付と直接関係ないサービス等
B 医学管理・リハビリ
1 歯管・実地指・特疾管
2 全身疾患管理(総医・医管)
3 診療情報提供
4 周術期等口腔機能管理
5 口腔機能低下症・関連検査
6 リハビリテーション(摂食機能療法)
C 在宅医療
1 訪問診療
2 訪問診療に関する医療機関の要件
3 訪問口腔リハ
4 訪問診療と医療連携
5 介護保険(居宅療養管理指導)
D 検査・画像・投薬・麻酔
1 検査
2 画像診断
3 投薬
4 麻酔
E 歯内療法,その他処置
1 C,Hys,その他の処置
2 歯髄保護,歯髄切断
3 抜髄,感染根管処置,根管充填
4 除去(補綴物・異物)
F 小児・困難者・フッ化物
1 フッ化物・C選療
2 口腔機能発達不全症・関連検査
3 その他の小児歯科
4 乳幼児,困難者の加算等
G 歯周治療
1 歯周治療の流れ
2 歯周病検査・歯周基本治療・その他
3 P急発時,歯周病検査困難時の対応等
4 歯周外科手術
5 P重防・SPT
H 歯冠修復・ブリッジ
1 充填・インレー修復
2 クラウン
3 ブリッジ
4 クラウン・ブリッジ維持管理料
5 ダツリ・修理
6 歯科修復・ブリッジの未来院請求
7 歯冠修復・ブリッジの自費切替・材料差額
H 有床義歯
1 有床義歯(義歯新製)
2 義歯調整・床裏装・修理等
3 有床義歯咀嚼機能検査
4 口蓋補綴・顎補綴
5 有床義歯等の未来院請求
6 有床義歯の自費切替・選定療養
J 口腔外科
1 手術の算定
2 抜歯・移植・抜歯後異常
3 炎症(消炎手術)
4 外傷・骨折処置
5 顎関節症・歯ぎしり・睡眠時無呼吸症候群
6 粘膜疾患・病理診断・その他手術
7 広範囲顎骨支持型補綴
K 歯科矯正
1 歯科矯正
2024年診療報酬改定は,コロナ禍での医療提供体制の見直しを含む医療・介護・障害福祉のトリプル改定でした.当初,財務省は診療所,病院経営の好調を根拠にして診療報酬本体のマイナス改定を主張しました.これに対し,厚労省・医師会は物価高騰,働き方改革や賃金アップのために大幅なプラス改定が必要と主張し,真っ向から対立しました.しかし,大臣折衝により,近年では高い0.88%アップの改定率で決着しました.
歯科医療からみても,トリプル改定の内容にリハビリ・口腔・栄養管理の一体的取り組みが評価されています.このことは口腔疾患の重症化予防や口腔機能回復管理が生活の質を高め,医療費削減に役立つと評価された結果ともいえます.歯科医療は地域包括ケアシステムに組み込まれており,医療DXで情報共有による連携強化が求められています.そのため,情報通信機器を用いた加点が随所に見受けられます.また,今回の多岐にわたる改定項目で歯科医療における医療・介護・障害福祉との連携強化が一層明確になりました.
こうしたことを受け,本書の特集や症例解説では2024年度改定の意図や新症例を詳しく解説する企画編集をしていますが,改定のおもな特徴は以下のとおりとなります.
1.初診料,再診料の引き上げ,医療関係職種の賃上げ対応のベースアップ評価料新設
2.新興感染症に対応可能な医療提供体制構築のための外来環の分割再編
3.質の高い在宅医療の推進
(1) 歯科訪問診療料,訪問歯科衛生指導料等の評価の見直し
4.情報通信機器を用いた医療DX推進
(1) 医療DX推進体制整備加算
(2) 在宅医療における医療DX推進
(3) 情報通信機器を用いた歯科診療
(4) 歯科遠隔連携診療料
5.生活の質に配慮した口腔疾患の重症化予防,口腔機能低下予防への対応の充実
(1) 医科歯科連携の推進
(2) 歯科疾患に対する周術期等口腔機能管理の見直し
(3) 医歯薬連携の推進
(4) う蝕や歯周病重症化予防の推進
(5) 小児口腔機能管理料,口腔機能管理料の見直し
(6) 歯科固有技術の評価の見直し
補綴物製作時の歯科技工士との連携,大臼歯CAD/CAM冠要件見直し,単冠金属冠の補管対象からの除外
上記以外にも改定項目は多岐にわたり,大幅な改定となりました.連携,情報通信機器の活用,訪問診療の推進等による歯科診療所の機能連携強化のための施設基準の選択如何で,診療所の二極化が進むことが予見されます.こうした前提に立ち,本書は大変革時代の歯科医療の動向を的確に捉えた編集に心掛けています.読者の皆様にお役に立てれば幸いです.
ご愛読,ご活用をよろしくお願いいたします.
編者一同
<1> 歯科診療報酬点数早見表
<2> レセプトマスター(一般用・加算用・歯科訪問診療用)
<3> 令和6年6月からの歯科診療報酬改定のポイントと背景
<4> 令和6年度改定内容新旧対照表
<5> 令和6年度 新症例
おもな歯科関係施設基準一覧
歯科用貴金属価格の随時改定について
A 基本診療料
1 基本診療料
2 選定療養,療養の給付と直接関係ないサービス等
B 医学管理・リハビリ
1 歯管・実地指・特疾管
2 全身疾患管理(総医・医管)
3 診療情報提供
4 周術期等口腔機能管理
5 口腔機能低下症・関連検査
6 リハビリテーション(摂食機能療法)
C 在宅医療
1 訪問診療
2 訪問診療に関する医療機関の要件
3 訪問口腔リハ
4 訪問診療と医療連携
5 介護保険(居宅療養管理指導)
D 検査・画像・投薬・麻酔
1 検査
2 画像診断
3 投薬
4 麻酔
E 歯内療法,その他処置
1 C,Hys,その他の処置
2 歯髄保護,歯髄切断
3 抜髄,感染根管処置,根管充填
4 除去(補綴物・異物)
F 小児・困難者・フッ化物
1 フッ化物・C選療
2 口腔機能発達不全症・関連検査
3 その他の小児歯科
4 乳幼児,困難者の加算等
G 歯周治療
1 歯周治療の流れ
2 歯周病検査・歯周基本治療・その他
3 P急発時,歯周病検査困難時の対応等
4 歯周外科手術
5 P重防・SPT
H 歯冠修復・ブリッジ
1 充填・インレー修復
2 クラウン
3 ブリッジ
4 クラウン・ブリッジ維持管理料
5 ダツリ・修理
6 歯科修復・ブリッジの未来院請求
7 歯冠修復・ブリッジの自費切替・材料差額
H 有床義歯
1 有床義歯(義歯新製)
2 義歯調整・床裏装・修理等
3 有床義歯咀嚼機能検査
4 口蓋補綴・顎補綴
5 有床義歯等の未来院請求
6 有床義歯の自費切替・選定療養
J 口腔外科
1 手術の算定
2 抜歯・移植・抜歯後異常
3 炎症(消炎手術)
4 外傷・骨折処置
5 顎関節症・歯ぎしり・睡眠時無呼吸症候群
6 粘膜疾患・病理診断・その他手術
7 広範囲顎骨支持型補綴
K 歯科矯正
1 歯科矯正
全科実例による 社会保険歯科診療 令和6年版
-
著者
歯科保険研究会
-
出版社
医歯薬出版株式会社
-
ページ
1088ページ
-
サイズ
A4判
-
ISBN
978-4263448533
-
価格
11,000円(税込)