2023年はいわゆる新型コロナウィルスの流行に一応の終止符が打たれ、従来に近い社会生活を取り戻した年として後年まで記憶されるでしょう。私はこれを感染管理上のグラウンド・ゼロと考えています。戦後の復興は急速に行われつつありますが日常生活の中でも患者さんの感染対策への関心は数段アップしているように感じます。一方で感染対策には一定の費用がかかります。拙著ハイパー感染管理ではこの費用を経費から増収のための投資に転換できるような感染管理を軸としたマーケテイングを提唱しています。
まず特定のウイルス対策だけに偏らず、いま一度、感染管理の原点に立ち戻り、グローバル・スタンダード（世界標準）を確認しておくことが大切です。
次に歯科医院に勤務するスタッフは、感染管理を実施するうえで規模や設備による制約を受けるのは当然です。大きな病院と比べ、機材やマンパワーの点で劣ることは否めません。しかし、現状の設備の性能やマンパワーを、知恵と工夫を駆使して最大限に活かし、大きな病院にも負けない必要十分な感染管理を行うことは可能です。そして小さな歯科医院には、小さいなりの闘い方があります。戦力が少数であるなら、指揮官が優秀であるか、精鋭部隊であるか、あるいは両方であればなおよいわけです。本コンテンツは、スタッフ10人以下の歯科医院における感染管理のマネジメントを学ぶことを目的とします。