病院での注射や歯科医院での治療の体験は、医療従事者にとっても決して嬉しいものではない。
それは子どもであればなおさらである。
緊張する、泣く、暴れる、逃げ出すなどの反応は世界共通である。
今回はそのような小児医療の現場を、ロボット技術を使って変えようとする試みをご紹介する。
pain management robot MEDi(疼痛管理ロボット)
出典:You Tube MEDi robot pain management
上のビデオに映っているのは、疼痛管理ロボット「メディ(MEDi)」だ。
メディは医療目的に合った役割を担い、子供たちの医療を補助するようプログラムされている。
このビデオでは、予防注射を受ける子どもの緊張を緩和しようとする場面が見られる。
子どもが処置室に入ってから注射を受けて部屋を出て行くまで、子どもに話しかけてリードする。
内容を聞いてみると、「ボクも今注射してもらったところ」「一緒にいるから怖くないよ」「深呼吸すれば落ち着くよ」「終わったね、ハイタッチしよう」などと語りかけている。
子どもはロボットとのやりとりに注意をそらされて、注射の瞬間も気づいていないようだ。
57人の子どもを対象にした調査では、ロボットがいることによって半数が痛みの軽減があったとされている。
また、ロボットがいた場合、注射を受けた子どもたちはリラックスしていたが、ロボットがいなかった場合は、むっつりと黙って親や看護師が話しかけても返事をしないことが多かったという。
このメディには、予防注射以外にも歯科治療のプログラムがある。
1万5千ドルという投資にも関わらず、米国の歯科グループで臨床導入され、小児歯科医の元で活躍しているとのことだ。
メディは、疼痛管理の他に、医療教育、コンパニオンという役割が果たせるそうだ。
医療教育では、健康であるためにどんなことに気をつければいいのかを教えてくれる。またコンパニオンでは、待合室で待っている間、お話をしてくれたりゲームの相手になってくれたりするようだ。
昨今では、携帯電話ショップなどを中心として、市街地でロボットを見かけることも珍しくなくなった。
ロボットの医療分野での応用というと、介護ロボットがまず浮かぶが、疼痛管理ロボットメディのようなタイプの小型ロボットを歯科医院で見かける日もそう遠くないのかもしれない。