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ニュース 2018/05/19

高齢化による口腔衛生環境の悪化への警鐘 ニュージーランド

WHITE CROSS編集部
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ニュージーランドのオタゴ大学の研究チームは、高齢者の口腔衛生環境の研究結果を通じて、国際社会に警鐘を鳴らしている。老人ホームなどの高齢者住宅に入居している高齢者987名を対象に行った調査の結果、認知症を持つ入居者と比較的男性において、口腔内の汚れやう蝕による口腔衛生の悪化が見られたという。

 

研究チームを率いるMurray Tomson教授は、

多くの国において、高齢者へのケアを対象としているセクターも歯科医師も、この事態に対する準備ができていません。我々の社会は、高齢化の進行に加えて一昔前では考えられなかった歯牙の残存という事態に直面しています。

 

見方によれば、歯科医療はその成功による被害を受けています。長年にわたり、「生涯にわたり歯を維持しましょう」と伝えてきた結果、人生の終わりにおいて何が起こるかを深く考えていませんでした。

などと述べている。

 

認知症の進行や高齢化に伴う身体の障害により、口腔衛生環境が急激に悪化していくことは広く知られている。食物残渣やう蝕の増加、顎顔面領域の炎症の結果として、QOLの低下やコミュニケーションに障害が生じ、悪循環につながるという。

 

歯科医療の発展により生まれた新しい課題への対応の希望として、研究チームは、認知症の高齢者の口腔内のチェックや清掃はそれほど難しいことではないことも報告している。

 

 

Murray Tomson教授 のインタビュー(英語)

出典: YouTube_Otago study shows “giant” problem looms for ageing New Zealanders

 

日本歯科医療への示唆

日本社会は世界でも類を見ない速度で高齢化を迎えている。日本政府は、高齢社会に合った医療介護を、皆保険制度に基づいて提供していくという方針を堅固に維持している。2025年を目標に構築が進められている地域包括ケアシステムにおいて在宅医療システムの構築は必要不可欠であり、そこにおいて歯科医療が果たす役割は大きい。

 

在宅診療を経験した歯科医師は、日常的にクリニックで向き合っている患者が、比較的口腔衛生環境が良い患者群であることを実感するという。また、近年日本社会においても、日常的に歯科医療にかかる機会のない、あるいは機会を得られない潜在患者が数多くいることが知られている。

 

クリニックという枠を超えて社会に目線を向けた時、歯科医療の対象は広がり続けている。超高齢社会に対応した歯科医療とそれを支えるシステムの構築の領域おいて、10年後、20年後、日本歯科医療は世界をリードしているのではなかろうか。

 
出典: University of Otago_Oral status, cognitive function and dependency among New Zealand nursing home residents

執筆者

WHITE CROSS編集部

WHITE CROSS編集部

臨床経験のある歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士・歯科関連企業出身者などの歯科医療従事者を中心に構成されており、 専門家の目線で多数の記事を執筆している。数多くの取材経験を通して得たネットワークをもとに、 歯科医療界の役に立つ情報を発信中。

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