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削るう蝕 削らないう蝕

削るう蝕 削らないう蝕の画像です
う蝕の減少が確実となった現在において、初期う蝕病変のマネジメントがより重要視されるようになった。特に長期にわたるメインテナンスを行う診療システムが定着すればするほど、リスクと病変を時間軸のなかで『修復しなければならないのか、守っていけるのか』を判断して行かなければならない。本書は、今後の患者QOLの向上に欠かせない『歯質を守る歯科医療』について、科学的かつ臨床的に検討した臨床判断を高める一冊である。
CHAPTER 1
う蝕とはどういう疾患か

Chapter 1-1 鼎談/今里 聡・林 美加子・伊藤 中
臨床医は、う蝕を日常臨床でどう捉え、マネジメントしていくべきか
1.修復治療でう蝕は治癒するのだろうか
2.歯科医療はう蝕にどう向き合うべきか
Column 掲載症例におけるレーダーチャートについて

Chapter 1-2 /伊藤 中
う蝕の疫学 ─う蝕は本当に減少したのか?─
1.DMFT 指数の臨床疫学データから見えてくるもの
 1) う蝕の減少に隠れた歪んだ分布(skewed distribution)
 2)う蝕経験はハイリスク者の同定に使えるアセスメント項目か
2.疾患のnatural history に関する理解の変化

Chapter 1-3 /伊藤 中
う蝕≠う蝕病変
1.う蝕に対する本質的な治療とは
 1)『う蝕に関するドグマ』の影
 2)『う蝕』に対する治療か、『う窩』に対する治療か
 3)う蝕は局所の診査・診断では不十分である
 4)家族単位で診ていくことの利益は大きい
2.時間経過のなかで判断する初期う蝕病変
3.理想的なう蝕治療とは

CHAPTER 2 
カリエスリスクアセスメントとリスクの重みづけ

Chapter 2-1 鼎談/今里 聡・林 美加子・伊藤 中
カリエスリスクをどう考慮するか─リスクの把握からリスクの重みづけへの転換─
1.なぜ8年間でここまで崩壊してしまったのか
2.リスクを把握する時代から、リスクの重みを重視する時代へ

Chapter 2-2 /伊藤 中
カリエスリスクアセスメントの概要
1.なぜリスクアセスメントなのか
2.リスクアセスメント項目
 1)視診、口腔内写真、デンタルエックス線写真
 2)問診
 3)付加的検査
3.改善プログラムの立案
4.個人から家族へ
Column 一般開業医でもできる唾液減少への対応

Chapter 2-3 /林 美加子
カリエスリスクアセスメントに関する既存概念モデル
1.システマティックレビューに見るリスクアセスメントモデル
2.ヨーロッパ発祥のリスクアセスメントモデル
3.米国におけるリスクアセスメントモデル
4.レーダーチャートによるリスクの提示

Chapter 2-4 /伊藤 中
カリエスリスクアセスメント項目の重みづけ
1.リスクの大きさを検証すべき対象病変
 1)『歯冠部う蝕』と『根面う蝕』
 2)『初発病変』と『二次う蝕病変』
2.データマイニングに見る各リスクアセスメント項目の重み
 1) 統計分析/データマイニングとは
 2)初発病変および二次う蝕病変のCART
 3)唾液分泌量・唾液緩衝能をどう捉えるか
 4)CART により変わる症例の見えかた
3.特異度の高いリスクアセスメントシステムの意味
4.患者個人(個体)毎で症例を考えるスタンス
Column データマイニングとCART

CHAPTER 3 
う蝕の診査・診断と介入・非介入の判断

Chapter 3-1 鼎談/今里 聡・林 美加子・伊藤 中
初期病変をどう診るか ─時間軸による臨床判断─

Chapter 3-2 /林 美加子
新しいう蝕病変の診査・評価システム
1.これまでのう蝕の診断基準
2.初期脱灰病変に焦点を当てたICDAS
 1)ICDAS の誕生
 2)ICDAS と日本のう蝕診断基準との違い
 3)ICDAS によるう蝕診断の習得方法
3.わが国の歯科検診とICDAS
4.ICDAS の疫学、公衆衛生、教育への展開
 1)疫学・公衆衛生分野へのICDAS の展開
 2)う蝕学教育へのICDAS の導入
5.う蝕に関する臨床研究とICDAS

Chapter 3-3 /林 美加子
う蝕病変の活動性判定の重要性

Chapter 3-4 /伊藤 中
介入と非介入の判断の重要性
1.う蝕病変の減少・軽症化時代の診査・診断
 1)『非介入』と判断するうえでの大前提
 2)『介入』と判断するうえでの大前提
 3)不可逆的な介入には慎重にも慎重を
2.情報化社会ゆえの情報提供の難しさ

Chapter 3-5 /伊藤 中・三宅直子・林 美加子
介入と非介入の判断基準を視野に入れたう蝕診断法
1.病変の検出とモニタリング
 1)視診・触診
 2)エックス線検査
 3)DIAGNOdent
2.病変の活動性をどう評価するか
 1)介入・非介入の意思決定には総合判断が求められる
 2)治療方針の決定における患者とのディスカッションの重要性
3.う蝕病変はどのように扱うべきか

CHAPTER 4 
再石灰化促進療法と修復処置

Chapter 4-1 鼎談/今里 聡・林 美加子・伊藤 中
その“削りかた”は、現在のコンセプトに合致しているか
1.この歯は削る必要があったのだろうか
2.削るならば、現在のコンセプトを理解したうえで削る

Chapter 4-2 /稲葉大輔
歯質再石灰化のメカニズム
1.エナメル質の再石灰化
 1)化学反応モデルに見るエナメル質の再石灰化メカニズム
 2)口腔内環境におけるエナメル質の再石灰化メカニズム
 3)エナメル質の再石灰化の要件
 4)臨床的に見るエナメル質の脱灰・再石灰化のバランス
2.象牙質の再石灰化

Chapter 4-3 /稲葉大輔
再石灰化促進の手段
1.口腔内環境で再石灰化が促進される要件
2.唾液接触の維持を実現するための手法
 1)唾液の分泌促進
 2)唾液成分の改質アイテムとしての食品の利用
3.脱灰抑制を実現するための手法
 1)甘味摂取制限を中心とした食生活習慣の改善
 2)プロフェッショナルケア(PMTC と3DS)の実施
4.セルフケアによる再石灰化の促進
 1)セルフケアにおけるフッ化物応用時の注意点
 2)可溶性カルシウム含有製品による再石灰化の促進

Chapter 4-4 /岩見行晃
う蝕象牙質除去の指標と方法
1.除去すべきう蝕象牙質
2.う蝕象牙質除去の指標
 1)う蝕検知液
 2)硬さ
 3)レーザー診断
3.う蝕象牙質除去の具体的方法
 1)除去すべき象牙質の判断基準
 2)除去に用いる切削器具
4.う蝕象牙質除去についての問題点と将来展望
 1)客観性の高い診断法の必要性
 2)術後経過による診断基準策定の必要性

Chapter 4-5 /二階堂 徹・高垣智博・田上順次
臼歯の修復処置
1.臼歯部の修復法
2.コンポジットレジン修復かメタルインレー修復か
3.接着材料の進歩と象牙質接着の信頼性
4.コンポジットレジン修復とメタルインレー修復の臨床的エビデンス
5.コンポジットレジン修復の臨床手順
6.間接修復へのレジンコーティング法の応用
 1)レジンコーティング法の術式
 2)レジンコーティングによる象牙質の封鎖と歯髄保護
 3)レジンコーティング法を応用した歯質保存的インレー修復

Chapter 4-6 /久保至誠
リペア(補修修復)
1.今、なぜリペア(補修修復)か
2.再治療の判断基準
3.リペアの適応症
4.臨床成績

CHAPTER 5
テーラーメイド医療としてのう蝕のマネジメント

Chapter 5-1 鼎談/今里 聡・林 美加子・伊藤 中
テーラーメイド医療としてう蝕マネジメントを考える
1.なぜ長く関わることが求められるのか
2.テーラーメイドう蝕マネジメントのススメ

Chapter 5-2 /伊藤 中
時間軸で考えるう蝕治療の重要性
1.メインテナンスはう蝕病変発生を抑制するか
 1)メインテナンスの効果の評価
 2)臨床データに見るメインテナンスの効果
2.メインテナンスの意義
3.メインテナンスは長期にわたって継続されなければならない
4.もっともう蝕病変が発生しやすい若年期をどう乗り切るか

Chapter 5-3 /伊藤 中
う蝕のメインテナンスの考えかた
1.う蝕のメインテナンスの目的
2.う蝕のメインテナンスの実際
3.適正なメインテナンス間隔とは
Visual Guidance う蝕のメインテナンスの実際

Chapter 5-4 /林 美加子
ヘルスプロモーションとしてのう蝕マネジメント
1.新しいう蝕マネジメントの枠組み
2.う蝕マネジメントの経験をヘルスプロモーションに生かす

おわりに
参考文献一覧
さくいん

執筆者一覧
監修・編著者略歴

削るう蝕 削らないう蝕

  • 著者

    今里 聡
    林 美加子
    伊藤 中

  • 出版社

    クインテッセンス出版

  • ページ

    216ページ

  • サイズ

    A4判

  • ISBN

    978-4781202952

  • 価格

    12,100円(税込)

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