歯科治療は、誰もが常に高度な臨床判断を求められるものである。特に、いま目の前の患者に対し右か左かを判断しなければならないとしたら、その判断はより重要となる。本書は、歯周・歯内・補綴治療の現場において求められる臨床判断を支援するヒントを集約している。取り上げたテーマは、どれも若手歯科医師が悩むものばかり。患者-歯科医師の双方が安心して治療を終えることができるためにも、一読したい一冊である。
Chapter 1 DIAGNOSIS
岡崎英起 & 赤野弘明
Chapter 1-1 『この歯は保存可能か否か』の診断法 ― 一歯単位での考えかた―
(執筆:岡崎英起)
1. 歯肉縁下う蝕、歯冠破折などにより歯冠が崩壊している場合
2. 歯根周囲に大きな透過像が見られ、痛みや腫脹を伴う場合
3. 根管内異物やパーフォレーションなどが見られ、痛みや腫脹を伴う場合
4. 筆者が考える保存の可否の判断順序
Chapter 1-2 『この歯は保存可能か否か』の診断法 ―歯列全体から検討する考えかた―
(執筆:赤野弘明)
1. 歯単体として保存可能かどうか?
1)歯自体の問題
2)アタッチメントの問題
3)位置の問題
2. 機能・審美においてKey toothであるか?
1)審美的要因におけるKey tooth
2)機能的要因におけるkey tooth
3)物理的構造体の安定の観点から考えるKey toothとEichnerの分類
3. 将来問題が生じた場合、対処が簡便に行えるか?
Chapter 2 ENDODONTICS
牛窪敏博(編集/執筆)
Chapter 2-1 根管治療を行う上で『歯を保存するか否か』の意思決定はどのように行うか
(執筆:松倉裕規)
1. イニシャルトリートメント時に、う蝕や充填物が大きくて全体的な残存歯質量が著しく少なくなる場合の対応法
2. 歯肉縁下に及ぶう蝕が存在し、挺出か歯冠長延長術が必要な場合の対応法
3. 再根管治療の意思決定
Chapter 2-2 治療をしたのに痛みや違和感が取れないのはなぜか
(執筆:牛窪敏博)
1. 痛みの原因は残髄か、根尖破壊か、それとも術後疼痛(フレアーアップ)か?
1)ペリオドンは痛みの原因となりうる
2)残髄および根尖破壊による痛みとその対応
3)術後疼痛(フレアーアップ)による痛みとその対応
2. クラックもしくは歯根破折が原因の痛みか?
3. 見落とし根管やパーフォレーションが原因の痛みか?
1)見落とし根管による痛みとその対応
2)パーフォレーションによる痛みとその対応
4. その痛みは、本当に歯が原因なのか?
Chapter 2-3 作業長はどのように決定すればよいか
(執筆:梅田貴志)
1. 作業長とは、そもそもどこからどこまでの長さか?
2. 作業長はどのように測定すればよいか?
1)エックス線写真による計測
2)電気的根管長測定器による計測
3)手指感覚・根尖部の状態観察による方法
3. 臨床的に作業長測定を容易にするテクニック
1)リファレンスポイント
2)歯冠側フレアリング形成
4. 電気的根管長測定器の0.5の値は本当か?
Chapter 2-4 根尖部はどれくらい拡大すればよいか
(執筆:千葉加名代)
1. 根尖部拡大の考えかた
1)根尖部を拡大する意味
2)歯内療法の目的を踏まえた根尖部の拡大・形成こそが大事
2. 拡大基準の問題点として、何が想定されるか?
3. 拡大基準はどのように決定すればよいか?
4. 臨床ではどのように根管拡大・形成を行うか?
1)NiTi製ロータリーファイルによる拡大・形成
2)作業長決定までの拡大・形成ステップ
3)K3XFファイルによるフルレングス形成
4)BioRaceによるフルレングス形成
5)再根管治療時の拡大・形成
Chapter 2-5 根管洗浄は何をどのように使用すれば効果的か
(執筆:野田哲朗)
1. そもそも根管内の洗浄は必要か?
2. 根管洗浄液として、何を選択したらよいか?
1)NaOClの特徴と使用上の注意点
2)EDTAの特徴と使用上の注意点
3)EDTAとNaOClによる交互洗浄
4)クロルヘキシジンによる根管洗浄は可能か?
3. 根管洗浄液の運搬方法は何がよいか?
1)シリンジ+ニードルによる洗浄(positive pressure)
2)音波による洗浄液の運搬(passive sonic irrigation)
3)超音波による洗浄液の運搬(passive ultrasonic irrigation)
4)negative pressure
Chapter 2-6 根管貼薬剤は何をどのように用いればよいか
(執筆:牛窪敏博)
1. 急性症状の患者にホルムアルデヒド製剤を使用すると、どうなるか?
1)ホルムアルデヒド製剤の功罪
2)急性期の対処法
2. なぜ根管内貼薬する必要があるのか? なぜ複数回治療を行う必要があるのか?
3. 水酸化カルシウム製剤を効果的に使用するには
1)水酸化カルシウム製剤とは
2)水酸化カルシウム製剤の臨床応用のコツ
Chapter 2-7 根管充填はどのように行えばよいか
(執筆:牛窪敏博)
1. どのような充填材(コアマテリアル)が妥当なのか? シーラーの是非は?
1)コアマテリアル選択時の考慮事項
2)シーラー選択時の考慮事項
2. 根管充填材の到達位置による予後への影響は?
1)病理学的な観点から見る根管充填材の到達位置
2)治療成績の観点から考える根管充填材の到達位置
3. すべての症例に適応できる充填方法はあるか?
1)根尖最狭窄部が存在する場合の根管充填法
2)根尖破壊または根未完成歯で根尖が開いている場合の根管充填法
3)内部吸収が存在する場合の根管充填法
4)米国の歯内療法専門医が採用するCWCTとは
・CWCT: continuous wave condensation technique 実践ステップ
Chapter 2-8 なぜファイルが根尖方向になかなか進まないのか
(執筆:牛窪敏博)
1. ブロックもしくはリッジへの対応法
1)ブロックへの対応法
2)リッジへの対応法
2. 石灰化根管への対応法
1)石灰化根管の素因
2)石灰化根管への臨床的対応法
3. 破折ファイルへの対応法
1)術前に破折ファイルが存在する場合の考えかた
2)術中にファイルが破折した場合の考えかた
3)破折ファイルを除去すると決定した際の考慮点
4)ステージングプラットフォームテクニックによる破折ファイルの除去
Chapter 2-9 エンドペリオ複合病変が疑われる場合はどのように対応すればよいか
(執筆:牛窪建介)
1. 根尖病変があるので根管治療を開始したが、同時進行でペリオの処置中に歯根破折を疑わせる垂直性骨欠損が見つかった場合の対応法
2. エックス線写真では根分岐部に透過像があるが、ペリオ的な要因はなく、ファーケーションプローブも入らない場合の対応法
3. エンドペリオ病変を疑い治療を進めようと思うが、どこから治療を行うのかわからない場合の対応法
Chapter 2-10 根未完成歯への対応はどのようにすればよいか
(執筆:牛窪敏博)
1. 歯髄保存療法(バイタルパルプセラピー:vital pulp therapy)とは
1)歯髄保存療法の分類
2)間接覆髄法の臨床術式
3)直接覆髄の臨床術式
4)断髄の臨床術式
2. アペキソゲネーシス(apexogenesis)とは
1)アペキソゲネーシスの定義
2)アペキソゲネーシスの臨床術式
3. アペキシフィケーション(apexification)とは
1)アペキシフィケーションの定義
2)アペキシフィケーションの臨床術式
4. リバスキュラリゼーション(revascularization)とは
1)リバスキュラリゼーションの定義
2)3Mix-MPによるリバスキュラリゼーションの臨床術式
Chapter 2-11 外科的歯内療法の意思決定とその術式とは
(執筆:尾上正治)
1. 通常の根管治療にて根管へのアクセスが困難、または安全に根管内の障害物を除去できない場合は、外科的歯内療法を検討する
1)どんなときに外科的歯内療法が適応となるのか?
2)非外科的再根管治療で質の高い再根管治療が不可能ならば、外科的再根管治療を選択する
2. 以前の非外科的再根管治療が失敗しているならば、外科的再根管治療を検討する
1)『非外科的再根管治療では成功が望めない症例』を知る
2)いつ治療介入するか?
3)治療法選択における考えかた
3. 歯根端切除術が困難な場合は、意図的再植術を検討する
1)意図的再植術の適応症
2)意図的再植術の禁忌症
3)意図的再植術における注意点
Chapter 3 PERIODONTICS
赤野弘明
Chapter 3-1 歯周外科はどのような状況で行う必要があるか
1. 病態の改善と病態進行予防のために行う歯周外科
1)病態の改善
2)病態進行の予防
2. 審美的改善のために行う歯周外科
3. 補綴に必要な歯質を確保するために行う歯周外科
4. biologic width(生物学的幅径)の確保のために行う歯周外科
Chapter 3-2 各種縫合法はどう使い分ければよいか ―目的・材料・手技の使い分け―
1. 縫合針の構造を理解する
2. 縫合糸の選択基準を整理する
3. 縫合の種類と適応症を整理する
4. 臨床のシチュエーション別・縫合法の使い分け
1)簡単な(骨整形を含まない)歯周外科、抜歯での縫合法
2)歯肉の骨面への適合が重要となる場合の縫合法
3)再生療法(GTR、GBR)、インプラント手術などでの縫合法
5. 縫合時の注意点を理解する
Chapter 3-3 再生療法の適応症とは
1. もっとも失敗のリスクが低い治療法はどれか?
2. 治療結果を左右する要因と術式選択
1)骨の欠損形態
2)解剖学的特徴
3. 骨内欠損の深さが3~6mmならば再生療法を選択する
4. プロービング値によって切除療法と再生療法の分岐点は判別可能か?
1)プロービング値6mmが示すこと
2)プロービング値だけでは決定できない
5. 文献に見るGTR、エムドゲイン療法、骨移植の使い分け
1)根分岐部病変
2)骨内欠損
6. 手術前の考慮点
1)歯根間距離と切開ライン
2)骨内欠損部の頬側、口蓋(舌)側の骨の厚み
3)骨内欠損部の深さ・開口度
4)再生に必要な残存リソース量
Chapter 3-4 再生療法はどうして難しいのか
1. 再生療法を成功させるためには、何を考慮すべきか?
1)歯周組織の再生が難しい理由
2)フラップデザインと血液供給
3)再生療法の成功につながる症例選択のポイント
2. 臼歯部での深くて狭い骨欠損への再生療法
3. 浅くて広い骨欠損への再生療法
4. 水平性骨欠損と浅い垂直性骨欠損への再生療法
5. 囲繞性骨欠損への再生療法
Chapter 3-5 一次手術・二次手術のフラップデザインはどのように決定すればよいか
1. 一次手術におけるフラップデザインの基本的な考えかた
1)角化歯肉と骨幅が十分に存在し、パンチングによる埋入が可能な場合の考慮点
2)前歯部領域におけるフラップデザインの考慮点
3)臼歯部領域におけるフラップデザインの考慮点
2. 二次手術におけるフラップデザインの基本的な考えかた
Chapter 3-6 GBRにおける骨移植材とメンブレン選択のキーポイント
1. インプラント埋入時の骨のボリュームと治療の難易度
2. インプラント表面が歯槽骨内にある場合のGBR(Type I)
3. インプラント表面が歯槽骨外にある場合のGBR(Type II)
4. 審美領域でのGBR
5. メンブレンの特性
Chapter 3-7 抜歯即時埋入(Simultaneous approach)を成功させるにはどうしたらよいか
1. インプラント周囲の骨が吸収する理由
2. 前歯部における抜歯即時埋入の考慮点
1)唇側骨の考慮点
2)軟組織の考慮点
3. 臼歯部における抜歯即時埋入の考慮点
1)初期固定に関する考慮点
2)インプラント埋入ポジションに関する考慮点
3)感染予防としての開口部の閉鎖
4. 骨の厚さから考えるインプラントのポジショニング
5. 抜歯即時埋入とリスクヘッジから考える上皮のマネジメント
Chapter 3-8 ソケットリフトを選択する場合の考慮点 ―生物学的治癒から考察した安全なアプローチ法―
1. 臨床において、骨高径をどう考えればよいか?
2. インプラント埋入部位の骨形態(近遠心的・頬舌的)をどう考えればよいか?
1)Zone Aにおけるソケットリフト
2)Zone Bにおけるソケットリフト
3. どのようなアプローチ法が求められるか?
4. ソケットリフトにはどんなインプラントが適しているか?
5. 免荷期間はどれくらい設定すればよいか?
6. ソケットリフト時のリスクマネジメントとして考慮すべきこと
1)上顎洞内の病変の存在
2)シュナイダー膜の穿孔
Chapter 4 PROSTHODONTICS
岡崎英起
Chapter 4-1 マージン(フィニッシングライン)の位置は何を基準に決定するか
1. 補綴物にメタルクラウンやメタルセラミックスを選択する場合
1)メタルクラウンを選択する場合
2)メタルセラミックスを選択する場合
3)臨床での注意点
2. 補綴物にオールセラミックスやラミネートベニアを選択する場合
1)オールセラミックスを選択する場合
2)ラミネートベニアを選択する場合
3)臨床での注意点
3. 保険診療の範囲内の治療を選択する場合
1)硬質レジン前装冠を選択する場合
2)メタルクラウンを選択する場合
4. 複合的な要素を持つ症例におけるマージン設定例
Chapter 4-2 支台築造のマテリアル選択に基準はあるか
1. 支台築造時に念頭に置くべきエビデンス
1)根管治療歯が抜歯に至る原因
2)ダウエルコアの材料別に見る根管治療歯の強度
2. 歯冠部に3?4壁の歯質が存在する場合の支台築造
3. 歯冠部に2壁の歯質が存在する場合の支台築造
4. フェルールは獲得できているが、残存歯質量が少ない場合の支台築造
Chapter 4-3 補綴物のマテリアル選択に基準はあるか
1. 最終補綴物装着の際、広範囲の連結固定が必要な場合(歯周病、歯冠歯根比の問題など)の
マテリアル選択
2. 3?5歯までの欠損補綴におけるマテリアル選択
1)歯周組織の性状はどうか?
2)支台歯の色調はどうか?
3)治療費はどうか?
3. 単冠処置が可能な場合におけるマテリアル選択
4. 参考症例:審美修復にジルコニアを使用した症例
Chapter 4-4 ポーセレン修復物の術後の破折や脱離を防ぐにはどうすればよいか
1. 術後にポーセレンがチップもしくは破折してきた場合、何が考えられるか?
2. 術後にポーセレンだけでなく、コーピングまで破折してきた場合、何が考えられるか?
3. 術後にポーセレン修復物が脱離してきた場合、何が考えられるか?
4. 症例にみる修復物破折防止への配慮
Chapter 4-5 咬合再構成はどのような手順で行うか
1. 診査・診断からテンポラリークラウン装着までの流れ
1)総合診断・治療計画
2)初期治療
3)確定的外科処置
4)補綴処置
2. 咬合高径決定の基準
1)平均的歯冠長を考慮して検討する方法
2)CEJの平均値から検討する方法
3)顔貌を分析して検討する方法
4)安静空隙を用いる方法
3. プロビジョナルレストレーションの製作手順
1)上下顎支台歯模型の印象採得
2)咬合採得
3)フェイスボウトランスファー
4)ファイナルプロビジョナルレストレーションの調整
4. ファイナルプロビジョナルレストレーションから最終補綴物への移行法
1)クロスマウント法
2)シークエンシャルセメンテーション法
* * *
INDEX
column Interdisciplinary Approach実践の秘訣
1. インターディシプリナリーアプローチの核心
2. 患者との距離や信頼関係の重要性
3. メインテナンス期を乗り切るキーポイント
4. 若い歯科医師諸君へ
Chapter 1 DIAGNOSIS
岡崎英起 & 赤野弘明
Chapter 1-1 『この歯は保存可能か否か』の診断法 ― 一歯単位での考えかた―
(執筆:岡崎英起)
1. 歯肉縁下う蝕、歯冠破折などにより歯冠が崩壊している場合
2. 歯根周囲に大きな透過像が見られ、痛みや腫脹を伴う場合
3. 根管内異物やパーフォレーションなどが見られ、痛みや腫脹を伴う場合
4. 筆者が考える保存の可否の判断順序
Chapter 1-2 『この歯は保存可能か否か』の診断法 ―歯列全体から検討する考えかた―
(執筆:赤野弘明)
1. 歯単体として保存可能かどうか?
1)歯自体の問題
2)アタッチメントの問題
3)位置の問題
2. 機能・審美においてKey toothであるか?
1)審美的要因におけるKey tooth
2)機能的要因におけるkey tooth
3)物理的構造体の安定の観点から考えるKey toothとEichnerの分類
3. 将来問題が生じた場合、対処が簡便に行えるか?
Chapter 2 ENDODONTICS
牛窪敏博(編集/執筆)
Chapter 2-1 根管治療を行う上で『歯を保存するか否か』の意思決定はどのように行うか
(執筆:松倉裕規)
1. イニシャルトリートメント時に、う蝕や充填物が大きくて全体的な残存歯質量が著しく少なくなる場合の対応法
2. 歯肉縁下に及ぶう蝕が存在し、挺出か歯冠長延長術が必要な場合の対応法
3. 再根管治療の意思決定
Chapter 2-2 治療をしたのに痛みや違和感が取れないのはなぜか
(執筆:牛窪敏博)
1. 痛みの原因は残髄か、根尖破壊か、それとも術後疼痛(フレアーアップ)か?
1)ペリオドンは痛みの原因となりうる
2)残髄および根尖破壊による痛みとその対応
3)術後疼痛(フレアーアップ)による痛みとその対応
2. クラックもしくは歯根破折が原因の痛みか?
3. 見落とし根管やパーフォレーションが原因の痛みか?
1)見落とし根管による痛みとその対応
2)パーフォレーションによる痛みとその対応
4. その痛みは、本当に歯が原因なのか?
Chapter 2-3 作業長はどのように決定すればよいか
(執筆:梅田貴志)
1. 作業長とは、そもそもどこからどこまでの長さか?
2. 作業長はどのように測定すればよいか?
1)エックス線写真による計測
2)電気的根管長測定器による計測
3)手指感覚・根尖部の状態観察による方法
3. 臨床的に作業長測定を容易にするテクニック
1)リファレンスポイント
2)歯冠側フレアリング形成
4. 電気的根管長測定器の0.5の値は本当か?
Chapter 2-4 根尖部はどれくらい拡大すればよいか
(執筆:千葉加名代)
1. 根尖部拡大の考えかた
1)根尖部を拡大する意味
2)歯内療法の目的を踏まえた根尖部の拡大・形成こそが大事
2. 拡大基準の問題点として、何が想定されるか?
3. 拡大基準はどのように決定すればよいか?
4. 臨床ではどのように根管拡大・形成を行うか?
1)NiTi製ロータリーファイルによる拡大・形成
2)作業長決定までの拡大・形成ステップ
3)K3XFファイルによるフルレングス形成
4)BioRaceによるフルレングス形成
5)再根管治療時の拡大・形成
Chapter 2-5 根管洗浄は何をどのように使用すれば効果的か
(執筆:野田哲朗)
1. そもそも根管内の洗浄は必要か?
2. 根管洗浄液として、何を選択したらよいか?
1)NaOClの特徴と使用上の注意点
2)EDTAの特徴と使用上の注意点
3)EDTAとNaOClによる交互洗浄
4)クロルヘキシジンによる根管洗浄は可能か?
3. 根管洗浄液の運搬方法は何がよいか?
1)シリンジ+ニードルによる洗浄(positive pressure)
2)音波による洗浄液の運搬(passive sonic irrigation)
3)超音波による洗浄液の運搬(passive ultrasonic irrigation)
4)negative pressure
Chapter 2-6 根管貼薬剤は何をどのように用いればよいか
(執筆:牛窪敏博)
1. 急性症状の患者にホルムアルデヒド製剤を使用すると、どうなるか?
1)ホルムアルデヒド製剤の功罪
2)急性期の対処法
2. なぜ根管内貼薬する必要があるのか? なぜ複数回治療を行う必要があるのか?
3. 水酸化カルシウム製剤を効果的に使用するには
1)水酸化カルシウム製剤とは
2)水酸化カルシウム製剤の臨床応用のコツ
Chapter 2-7 根管充填はどのように行えばよいか
(執筆:牛窪敏博)
1. どのような充填材(コアマテリアル)が妥当なのか? シーラーの是非は?
1)コアマテリアル選択時の考慮事項
2)シーラー選択時の考慮事項
2. 根管充填材の到達位置による予後への影響は?
1)病理学的な観点から見る根管充填材の到達位置
2)治療成績の観点から考える根管充填材の到達位置
3. すべての症例に適応できる充填方法はあるか?
1)根尖最狭窄部が存在する場合の根管充填法
2)根尖破壊または根未完成歯で根尖が開いている場合の根管充填法
3)内部吸収が存在する場合の根管充填法
4)米国の歯内療法専門医が採用するCWCTとは
・CWCT: continuous wave condensation technique 実践ステップ
Chapter 2-8 なぜファイルが根尖方向になかなか進まないのか
(執筆:牛窪敏博)
1. ブロックもしくはリッジへの対応法
1)ブロックへの対応法
2)リッジへの対応法
2. 石灰化根管への対応法
1)石灰化根管の素因
2)石灰化根管への臨床的対応法
3. 破折ファイルへの対応法
1)術前に破折ファイルが存在する場合の考えかた
2)術中にファイルが破折した場合の考えかた
3)破折ファイルを除去すると決定した際の考慮点
4)ステージングプラットフォームテクニックによる破折ファイルの除去
Chapter 2-9 エンドペリオ複合病変が疑われる場合はどのように対応すればよいか
(執筆:牛窪建介)
1. 根尖病変があるので根管治療を開始したが、同時進行でペリオの処置中に歯根破折を疑わせる垂直性骨欠損が見つかった場合の対応法
2. エックス線写真では根分岐部に透過像があるが、ペリオ的な要因はなく、ファーケーションプローブも入らない場合の対応法
3. エンドペリオ病変を疑い治療を進めようと思うが、どこから治療を行うのかわからない場合の対応法
Chapter 2-10 根未完成歯への対応はどのようにすればよいか
(執筆:牛窪敏博)
1. 歯髄保存療法(バイタルパルプセラピー:vital pulp therapy)とは
1)歯髄保存療法の分類
2)間接覆髄法の臨床術式
3)直接覆髄の臨床術式
4)断髄の臨床術式
2. アペキソゲネーシス(apexogenesis)とは
1)アペキソゲネーシスの定義
2)アペキソゲネーシスの臨床術式
3. アペキシフィケーション(apexification)とは
1)アペキシフィケーションの定義
2)アペキシフィケーションの臨床術式
4. リバスキュラリゼーション(revascularization)とは
1)リバスキュラリゼーションの定義
2)3Mix-MPによるリバスキュラリゼーションの臨床術式
Chapter 2-11 外科的歯内療法の意思決定とその術式とは
(執筆:尾上正治)
1. 通常の根管治療にて根管へのアクセスが困難、または安全に根管内の障害物を除去できない場合は、外科的歯内療法を検討する
1)どんなときに外科的歯内療法が適応となるのか?
2)非外科的再根管治療で質の高い再根管治療が不可能ならば、外科的再根管治療を選択する
2. 以前の非外科的再根管治療が失敗しているならば、外科的再根管治療を検討する
1)『非外科的再根管治療では成功が望めない症例』を知る
2)いつ治療介入するか?
3)治療法選択における考えかた
3. 歯根端切除術が困難な場合は、意図的再植術を検討する
1)意図的再植術の適応症
2)意図的再植術の禁忌症
3)意図的再植術における注意点
Chapter 3 PERIODONTICS
赤野弘明
Chapter 3-1 歯周外科はどのような状況で行う必要があるか
1. 病態の改善と病態進行予防のために行う歯周外科
1)病態の改善
2)病態進行の予防
2. 審美的改善のために行う歯周外科
3. 補綴に必要な歯質を確保するために行う歯周外科
4. biologic width(生物学的幅径)の確保のために行う歯周外科
Chapter 3-2 各種縫合法はどう使い分ければよいか ―目的・材料・手技の使い分け―
1. 縫合針の構造を理解する
2. 縫合糸の選択基準を整理する
3. 縫合の種類と適応症を整理する
4. 臨床のシチュエーション別・縫合法の使い分け
1)簡単な(骨整形を含まない)歯周外科、抜歯での縫合法
2)歯肉の骨面への適合が重要となる場合の縫合法
3)再生療法(GTR、GBR)、インプラント手術などでの縫合法
5. 縫合時の注意点を理解する
Chapter 3-3 再生療法の適応症とは
1. もっとも失敗のリスクが低い治療法はどれか?
2. 治療結果を左右する要因と術式選択
1)骨の欠損形態
2)解剖学的特徴
3. 骨内欠損の深さが3~6mmならば再生療法を選択する
4. プロービング値によって切除療法と再生療法の分岐点は判別可能か?
1)プロービング値6mmが示すこと
2)プロービング値だけでは決定できない
5. 文献に見るGTR、エムドゲイン療法、骨移植の使い分け
1)根分岐部病変
2)骨内欠損
6. 手術前の考慮点
1)歯根間距離と切開ライン
2)骨内欠損部の頬側、口蓋(舌)側の骨の厚み
3)骨内欠損部の深さ・開口度
4)再生に必要な残存リソース量
Chapter 3-4 再生療法はどうして難しいのか
1. 再生療法を成功させるためには、何を考慮すべきか?
1)歯周組織の再生が難しい理由
2)フラップデザインと血液供給
3)再生療法の成功につながる症例選択のポイント
2. 臼歯部での深くて狭い骨欠損への再生療法
3. 浅くて広い骨欠損への再生療法
4. 水平性骨欠損と浅い垂直性骨欠損への再生療法
5. 囲繞性骨欠損への再生療法
Chapter 3-5 一次手術・二次手術のフラップデザインはどのように決定すればよいか
1. 一次手術におけるフラップデザインの基本的な考えかた
1)角化歯肉と骨幅が十分に存在し、パンチングによる埋入が可能な場合の考慮点
2)前歯部領域におけるフラップデザインの考慮点
3)臼歯部領域におけるフラップデザインの考慮点
2. 二次手術におけるフラップデザインの基本的な考えかた
Chapter 3-6 GBRにおける骨移植材とメンブレン選択のキーポイント
1. インプラント埋入時の骨のボリュームと治療の難易度
2. インプラント表面が歯槽骨内にある場合のGBR(Type I)
3. インプラント表面が歯槽骨外にある場合のGBR(Type II)
4. 審美領域でのGBR
5. メンブレンの特性
Chapter 3-7 抜歯即時埋入(Simultaneous approach)を成功させるにはどうしたらよいか
1. インプラント周囲の骨が吸収する理由
2. 前歯部における抜歯即時埋入の考慮点
1)唇側骨の考慮点
2)軟組織の考慮点
3. 臼歯部における抜歯即時埋入の考慮点
1)初期固定に関する考慮点
2)インプラント埋入ポジションに関する考慮点
3)感染予防としての開口部の閉鎖
4. 骨の厚さから考えるインプラントのポジショニング
5. 抜歯即時埋入とリスクヘッジから考える上皮のマネジメント
Chapter 3-8 ソケットリフトを選択する場合の考慮点 ―生物学的治癒から考察した安全なアプローチ法―
1. 臨床において、骨高径をどう考えればよいか?
2. インプラント埋入部位の骨形態(近遠心的・頬舌的)をどう考えればよいか?
1)Zone Aにおけるソケットリフト
2)Zone Bにおけるソケットリフト
3. どのようなアプローチ法が求められるか?
4. ソケットリフトにはどんなインプラントが適しているか?
5. 免荷期間はどれくらい設定すればよいか?
6. ソケットリフト時のリスクマネジメントとして考慮すべきこと
1)上顎洞内の病変の存在
2)シュナイダー膜の穿孔
Chapter 4 PROSTHODONTICS
岡崎英起
Chapter 4-1 マージン(フィニッシングライン)の位置は何を基準に決定するか
1. 補綴物にメタルクラウンやメタルセラミックスを選択する場合
1)メタルクラウンを選択する場合
2)メタルセラミックスを選択する場合
3)臨床での注意点
2. 補綴物にオールセラミックスやラミネートベニアを選択する場合
1)オールセラミックスを選択する場合
2)ラミネートベニアを選択する場合
3)臨床での注意点
3. 保険診療の範囲内の治療を選択する場合
1)硬質レジン前装冠を選択する場合
2)メタルクラウンを選択する場合
4. 複合的な要素を持つ症例におけるマージン設定例
Chapter 4-2 支台築造のマテリアル選択に基準はあるか
1. 支台築造時に念頭に置くべきエビデンス
1)根管治療歯が抜歯に至る原因
2)ダウエルコアの材料別に見る根管治療歯の強度
2. 歯冠部に3?4壁の歯質が存在する場合の支台築造
3. 歯冠部に2壁の歯質が存在する場合の支台築造
4. フェルールは獲得できているが、残存歯質量が少ない場合の支台築造
Chapter 4-3 補綴物のマテリアル選択に基準はあるか
1. 最終補綴物装着の際、広範囲の連結固定が必要な場合(歯周病、歯冠歯根比の問題など)の
マテリアル選択
2. 3?5歯までの欠損補綴におけるマテリアル選択
1)歯周組織の性状はどうか?
2)支台歯の色調はどうか?
3)治療費はどうか?
3. 単冠処置が可能な場合におけるマテリアル選択
4. 参考症例:審美修復にジルコニアを使用した症例
Chapter 4-4 ポーセレン修復物の術後の破折や脱離を防ぐにはどうすればよいか
1. 術後にポーセレンがチップもしくは破折してきた場合、何が考えられるか?
2. 術後にポーセレンだけでなく、コーピングまで破折してきた場合、何が考えられるか?
3. 術後にポーセレン修復物が脱離してきた場合、何が考えられるか?
4. 症例にみる修復物破折防止への配慮
Chapter 4-5 咬合再構成はどのような手順で行うか
1. 診査・診断からテンポラリークラウン装着までの流れ
1)総合診断・治療計画
2)初期治療
3)確定的外科処置
4)補綴処置
2. 咬合高径決定の基準
1)平均的歯冠長を考慮して検討する方法
2)CEJの平均値から検討する方法
3)顔貌を分析して検討する方法
4)安静空隙を用いる方法
3. プロビジョナルレストレーションの製作手順
1)上下顎支台歯模型の印象採得
2)咬合採得
3)フェイスボウトランスファー
4)ファイナルプロビジョナルレストレーションの調整
4. ファイナルプロビジョナルレストレーションから最終補綴物への移行法
1)クロスマウント法
2)シークエンシャルセメンテーション法
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INDEX
column Interdisciplinary Approach実践の秘訣
1. インターディシプリナリーアプローチの核心
2. 患者との距離や信頼関係の重要性
3. メインテナンス期を乗り切るキーポイント
4. 若い歯科医師諸君へ
歯内・歯周・補綴治療の臨床判断
「こんなときどうする?」を解決するヒント26
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著者
赤野 弘明
岡崎 英起
牛窪 敏博 -
出版社
クインテッセンス出版
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ページ
260ページ
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サイズ
A4判
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ISBN
978-4781203706
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価格
13,200円(税込)