前編：小児不正咬合の症状は多岐に渡ります。その上、不正咬合に対する考え方や治療法も数多くあり、何をすれば良いのか混乱状態にあるというのが現状であると考えております。本シリーズでは、小児不正咬合という状態を複数の視点から共通点を考え、また小児発達発育期における成長の原則は普遍的なものであるということから、異なるアプローチをそれぞれの視点から考察していきます。今回は筋機能療法を主体とした乳歯列期～混合歯列期の治療について解説いたします。
後編：不正咬合を考える上で大切なのは、ヒトの顎顔面骨格の基本的な成長原理の理解です。三次元的に成長する顎顔面骨格では、水平方向と垂直方向の成長の不調和が不正咬合と深く関わっています。生後の顎顔面骨格が主に垂直方向に成長することを踏まえると、垂直的な問題をどのように特定し、どのようにコントロールするかが不正咬合治療には欠かせません。今回は、垂直的成長をコントロールするための乳臼歯オーバーレイクラウンを用いた混合歯列期の治療法について、症例を交えてお話しいたします。