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困った患者さんへの対応を心理学者と考える〜特に患者・歯科医師関係について〜

痛みには、「急性痛・慢性痛」、あるいは「侵害受容性疼痛・神経障害性疼痛・痛覚変調性疼痛」などの分類があるが、一般歯科臨床で接するほとんどの痛みは、う蝕や歯周病などの炎症による『急性の侵害受容性疼痛』である。これは、患者の訴える痛みの場所に原因が容易に見つかり、通常の歯科治療で痛みが早期に改善する。そのため歯科医師、患者ともに、歯科の痛みは短期間で治るものだと認識していることが多い。
しかし上記のように、痛みには様々な種類があり、患者の訴える場所に痛みの原因があるとは限らず、慢性化し治療に難渋する場合もある。これは、痛みには、『信号を伝える神経系に問題がある場合や、信号が到達する脳に問題がある場合などもあり、さらに、全ての痛みが心理社会的要因の影響を受けている』からである。ここで、心理社会的要因は、感情や思考、また家族やコミュニティ、組織での人間関係などによるストレスを指す。歯科の難治例と関係する心理社会的要因には、夫婦関係・家族の介護・職場のトラブルなどもあるが、患者―歯科医師関係の不良が重要とされている。
さて、一般人が抱いている歯科医院のイメージは、受診するとすぐに治療が始まり、歯科医師はいつも忙しそうで話しかけられない。患者はチェアーに座ると、顔にタオルをかけられ、口を開けて為すがままにされ、何をしているかわからないため、治療中の少しの痛みや違和感でも、歯科医師やスタッフのつぶやきや予期しない物音が不安を増大させて、痛みの難治化に繋がる場合もある。また口腔は他の器官と比べても敏感であることから、少しの痛みや違和感も感知出来る。しかし、自分の指で触れて調べることは可能だが、直視して確認出来ないため、不安による脳の過敏化(中枢性感作)が生じることがあり、これも難治性の痛みの一因となりうる。
ここで、治療による効果と副作用には、プラセボとノセボがある。プラセボ効果は、治療薬とまったく同じ色形の薬理作用にないものを服用したときに、治療薬と同じ効果が一定程度生じることを指す。そして、ノセボ効果は、プラセボ効果の逆で、薬理作用がないはずなのに、添付文章に記載されている副作用が出現する。最近の研究では、プラセボ効果、ノセボ効果ともに、脳の中で治療薬を服用した時と近似した反応が起きていることが明らかになり、それには、患者の医療者や薬に対する期待感や不安感が関係しているとされている。すなわち、患者の医療者への期待が高ければ治療効果が高まり、その一方で、不安を抱けば治療効果が低くなる可能性がある。
以上から歯科医師は治療を行う際に、歯科治療や口腔の特性による患者の心理的な負担を理解し、そして、適切なコミュニケーションをとって心理的安全性を保ち、患者の心理社会的要因を把握して良好な患者―歯科医師関係を構築することが治療の成功に繋がる。
その一方で、これらが出来ていない場合には、難治例となりうる。
前回のセミナーでは、開業医を訪れた、さまざまな「困った患者さん」との関わり方について、精神科医(宮地英雄先生)と考えた。今回は、「困った患者さん」における心理社会的要因、特に患者―歯科医師関係に焦点を当てて、それをどう考えて臨床に活かすかについて、心理学者(高橋美保東大教授)とディスカッションを行う。先生方の日々の診療がよりスムーズになり、患者さんが喜ぶための参考となれば幸いである。
症例 1 医療者の対応が患者さんの不安と症状を増大させていたと思われるケース
症例 2 患者さんの心理社会的要因に医療者の対応が痛みを増長させていたと思われるケース
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困った患者さんへの対応を心理学者と考える〜特に患者・歯科医師関係について〜

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  • 日時

    2024年11月1日(金)~12月2日(月)
    期間内であれば自由に視聴できます

    講演時間:約90分

  • 会場

    Webセミナー(WHITE CROSSにて配信)
    ご視聴の際は、本セミナーページにアクセスください。

    ↓ご視聴できない方はこちら
    https://whitecross.jp/faq

  • 費用

    8,800円(税込)

    領収書は、マイページ>申込み済みライブ配信>領収書 よりダウンロードいただけます

  • 対象

    歯科医師

  • 内容

    歯科全般・その他

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