2018年9月29日より2日間、ウエスタ川越にて日本歯科審美学会の第29回学術大会が開催された。
主管は明海大学歯学部 機能保存回復学講座 歯科補綴学分野。
日本歯科審美学会は、患者や国民に対する質の高い審美歯科医療の提供を目指し、認定医・認定士・ホワイトニングコーディネーターを含めた資格承認などを積極的に取り入れている学会である。
昨年は富山県で国際歯科審美学会(IFED)の世界大会を行い注目を浴びた。
設立30年の節目となる今年の学術大会は埼玉県川越市で開催される。川越市は、蔵づくりや時の鐘、菓子屋横丁など小江戸の街並みが特徴で、参加者はそれらの空気を楽しむこともできる。
川越市では東京オリンピックのゴルフ競技会場になる
今回の大会テーマを『ほほえみをあなたに -That's what we are here for-』に設定した背景は、患者さんがほほえむことで家族や友人などの周囲の方々も微笑む・・そんな輪を広げることで、善循環による社会貢献を再認識することだという。
審美歯科というだけあり、矯正・保存・補綴・顎顔面補綴など、それぞれのアドバンストセミナーも用意された幅広い内容の大会となる。
今大会の大会長を務める藤澤政紀先生(明海大学歯学部機能保存回復学講座.写真)は開会の挨拶としてこのように述べられた。
日本歯科審美学会として埼玉で学術大会を行うのは初めてで、また30周年という節目の年に大会長を勤めることができ光栄です。ぜひ、時の鐘や小江戸も楽しんでいってください。実は抽選に外れてしまってポスター会場が分かれてしまいましたが、ほほえみをあなたにというテーマですので、そこはどうぞ微笑んで許してください
今回の会場では大学生によるジャズフェスティバルも開催されており、活気溢れた会場となる。本日18:00 から行われる日本歯科医学会会長懇親会の後は30周年記念祝賀会・会員懇親会(@川越プリンスホテル)が予定されており、会場から無料タクシーを用意いただけるとのことだ。
見所① 審美歯科ならではのテーマ
特別講演は歯周組織にフォーカス。教育講演は笑顔によるインプレッションの大切さを実習形式で学ぶことができる。さらには米韓からも講師を招き、多彩な講師陣が講演を行っていく。話題になった新しいトピックとして、web上での医療広告掲載に関する問題や、特定商取引法によるホワイトニングのクーリングオフに関する問題も取り上げる。
W. Johnston Rowe, Jr., DDS, AAACD
理事長講演
「これからの日本歯科審美学会を見据えて」
特別講演
「天然歯とインプラント周囲における審美的ソフトティッシュ・マネージメント」
海外講演(AACD・KAED)Sister Academy Session
「Conservative Cosmetic Dentistry: Responsible Esthetics In Practice」
「Unfair game(What is the reason why the treatment of maxillary anterior implants is diffi-cult?)」
教育講演
「素敵なスマイルを身につけよう―インプレッショントレーニング ® ―」
教育講演(歯科衛生士) 求められる歯科衛生士へ―さらなるキャリアアップをめざして―
「ライフステージに適した審美歯科における歯科衛生士の貢献とキャリア形成」
「輝く笑顔のために―歯科衛生士としてできること―」
教育講演(歯科技工士) デジタルデンティストリーにおけるインターディシプナリー・アプローチ
「デジタルインプラントデンティストリーにおけるインターディシプリナリーワークフロー」
「The new concept of esthetic digital implant dentistry!」
シンポジウム 患者さんにとっての審美歯科治療―クーリングオフ制度と医療広告―
1.医療法の広告規制について
2.歯科治療・美容医療サービスに関する消費者トラブルについて
3.歯のホワイトニング治療 ―説明と同意―
4.ディスカッション
市民公開講座
「素敵な笑顔でよく噛める―そのために皆さんがやること、知っておくべきこと―」
見所② 幅広いジャンルのアドバンストセミナー
アドバンストセミナー[矯正] 審美歯科治療に役立つ矯正装置
「アライナー矯正の留意点」
「補綴前処置に最適な見えない小矯正治療法ー2D リンガルシステムー」
アドバンストセミナー[補綴] 審美補綴におけるデジタルデンティストリーの現状と将来
「デジタル技術を用いた審美補綴の実際―咬合機能と形態の融合―」
「審美補綴はどう変わるか?―デジタル化による「造形美」と「機能美」―」
アドバンストセミナー[顎顔面補綴] 義歯,顎顔面補綴における審美とQOL
「Dentogenic を考慮した前歯部人工歯排列」
「顔面補綴における審美と QOL」
「顎補綴と QOL」
アドバンストセミナー[保存] 保存補綴の境界
「ダイレクトボンディングでどこまでできるのか」
「審美修復治療における MI を考える」
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執筆者
WHITE CROSS編集部
臨床経験のある歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士・歯科関連企業出身者などの歯科医療従事者を中心に構成されており、 専門家の目線で多数の記事を執筆している。数多くの取材経験を通して得たネットワークをもとに、 歯科医療界の役に立つ情報を発信中。