3月27日の20時より、北原信也先生のライブ講演会が開催された。
講師の北原信也先生は、欧米諸国のインターディシプリナリーアプローチ(専門医連携)を日本において実践するなど、審美歯科業界を牽引するトップランナーの一人。東京SJCDの理事としても活躍している。
今回は『審美修復治療を変える「接着歯学」とは』をテーマに、近年の歯科治療で欠かすことのできない「接着」について解説。
本記事では講演のサマリーやライブ配信の様子を報告する。
また、今回のセミナーは 8月9日(金)まで録画配信(期間中見放題)が行われているので、これからの参加も可能。この機会にぜひ活用していただきたい。
[レポート]審美修復治療を変える「接着歯学」とは
なぜ今、「Adhesive Dentistry=接着歯学」なのか。
自身の臨床経験や、国内外の臨床トレンドの変遷を紐解きながら、その重要性について語る北原先生。
ダイレクトボンディングであっても、セラミック修復であっても、もはや接着の理論なしに長期予後は見込めないのだという。
数百のラミネートベニア修復を経験してきた北原先生であっても、かつては“とれる”ということに対する恐怖は当然あったそうだ。
しかしながら、接着で著名な研究室(昭和大学、伊藤和雄先生)に所属し、自身でも研究をすることで克服したのだという。
例えばエナメル質への接着にリン酸エッチングが有用なことは広く知られているが、象牙質は諸説あるというように、世界的にコンセンサスがとれている領域と、まだそうでない領域がある。そのボーダーを知ることで、接着の理論を身につけることができる。
では、接着の理論を身につけていると、何がいいのだろうか。
それは、単純に修復物が“とれない”というだけではなく、修復後に生じる褐線や不適合を防止することで審美性や長期予後に寄与したり、マテリアル選択に応用したりできることにあるという。
北原先生自身が行った実験から得た電子顕微鏡画像をもとにした解説は、非常に説得力がある。
また、北原先生の携わった研究から、接着強さが既製品の3倍向上したシランカップリング材も製品化されており、一流の臨床医がいかなるものか、思い知らされる。
セラミックサイドへの接着と、今なお難しいとされる象牙質サイドへの接着に分類した上で、最新の接着理論について余すことなく解説が加えられた。さらに、根管治療後の支台築造の接着についてもレクチャーが入る。すべて一つの症例を通して語られており、基礎系医学を離れた臨床医にも非常にわかりやすい内容となっているのが嬉しい。
最後に、修復マテリアル別に、歯質側・補綴物側・セメントでどのような選択をすればよいのか、北原先生がまとめ上げた表が提示される。
その上で、日進月歩の歯科材料に対し、その中身が何であるかまでを知ることが臨床の目を養うことにつながると強調された。
録画視聴のお知らせ
当日見逃した方のために録画視聴(録画配信)を設けています。
配信期間は8月9日(金)の24:00まで。一度ご覧になった方も、何度でもご視聴いただくことが可能です。
視聴画面・新規参加のお申し込みは下記画像をクリックの上、受講画面にお進みください。