10月27日、歯科医師会館にて、公益社団法人日本歯科医師会 定例記者会見が開催された。
当日の議題は以下の通り。
① オンライン資格確認原則義務化への課題に関する調査報告
② 令和4年度生涯研修セミナーの中間報告
③ 歯科医師による新型コロナワクチン接種状況
会見の内容をダイジェストでお届けする。
冒頭挨拶を務める 公益社団法人日本歯科医師会会長 堀憲郎先生
冒頭に同会会長 堀憲郎先生より挨拶があり、来年度の予算編成の時期がきたことを報告。3月に中間報告を行った「2040年を見据えた歯科ビジョン」の実施状況についても、 改めて来年3月あたりに報告会ができるよう同会理事会で依頼したという。
また堀先生は、オンライン資格確認原則義務化への課題に関する調査報告と、2024年秋に予定されている現行の保険証原則廃止について言及。同会の正会員を対象に実施した「オンライン資格確認原則義務化への課題に関する緊急アンケート調査」の速報結果について報告した。
① オンライン資格確認原則義務化への課題に関する調査報告
堀先生は、9月16日〜10月12日に、満60歳以上の歯科医師会正会員25,482名を対象に「オンライン資格確認に関する緊急アンケート調査」を実施した旨を報告。
有効回答数11,840名のうち、「オンライン資格確認対応困難」と回答した者は1,995名(19.3%)。主な理由として以下が挙げられた。
・高齢で数年後に廃院予定のため
・レセプト請求件数が少なく、オンライン資格確認を活用できないため
・義務化の詳細がよくわからないため
・インターネット環境が整わないため
・レセコンメーカーが対応していないため
同会は、やむを得ない理由で対応できない医療機関が締め出されることは避けたいとして、特段の措置を講じていただきたいと述べた。今回の調査では、自由解答欄も設置。
今後はそこに寄せられた理由の中から「やむを得ない」と思われる内容を抽出し、近々に厚生労働大臣もしくは保険局長宛に要望書を提出する予定とのこと。
② 令和4年度生涯研修セミナーの中間報告
続いて、学術・国際渉外・学会を担当する常務理事 尾松素樹先生より、令和4年度生涯研修セミナーの中間報告が行われた。
1964年に開始した生涯研修セミナーは、国民に最良の歯科医療を適切に提供するため、知識と技術を研鑽する重要な研修教材として役割を果たしている。
従来は各地に講師が赴き対面式で行われていたものの、昨今の感染症拡大に伴い、本年度は現地会場だけでなくサテライト会場を実施した。その結果、大きなトラブルもなく無事終了。第1回は1,456名、第2回は1,076名と、従来より多くの会員に参加いただくことができた旨を報告した。
③ 歯科医師による新型コロナワクチン接種状況
歯科医師による新型コロナワクチン接種状況(黄色は前回報告より変更があった箇所)
質疑応答
Q .「オンライン資格確認に関する緊急アンケート調査」について、「義務化の詳細がよくわからないため」との回答があったが、ニュアンスはどのようなものか。ただ調べていないだけなのか、複雑すぎてわからないのか
A .選択肢がこの内容になっていた。具体的にどうわからないのかは、今後自由記載欄の回答を確認して行く予定。
Q .導入しない理由が「やむを得ない」かどうかはどのように判断するか
A .当然最終的には国が決める。これまでは導入しない医院の理由が不明だった。今回の調査でその理由の洗い出しができたため、今後「やむを得ない」理由をしっかり精査していく。
Q .回答者の5分の1が対応困難と回答されているが、同会としての所感は?自由解答欄の内容は報道されるのか。
A .(割合は)多いと思う。自由解答欄の内容は、特筆すべき内容が出てきた場合は改めて報告予定。
Q .集計方法は?今回年齢が60歳以上だったが、その他の年齢でも調査を実施するのか。
A .緊急ということもあり、往復ハガキで募集した。その他の年齢での調査については現段階で考えていないが、自由解答欄で注目すべき内容が出てきた場合は検討する。
日本歯科医師会定例記者会見アーカイブ
2022年4月21日
2022年5月26日
2022年6月30日
2022年7月28日
2022年8月25日
2022年9月29日
2022年10月27日
執筆者
WHITE CROSS編集部
臨床経験のある歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士・歯科関連企業出身者などの歯科医療従事者を中心に構成されており、 専門家の目線で多数の記事を執筆している。数多くの取材経験を通して得たネットワークをもとに、 歯科医療界の役に立つ情報を発信中。