日本社会全体の高齢化・事業承継が、社会課題となって久しい。それは歯科医療においても同様である。2020年の帝国データバンク全国企業「後継者不在率」動向調査によると、歯科医師の後継者不在率は90%超だという。
そのような中で、近年多くの事業会社や投資会社が歯科医療界に参入してきており、歯科医院のM&Aが活発化してきている。一方で、多くの歯科医院経営者は、いきなり事業会社や投資会社とやり取りをすることへのハードルを高く感じるのではなかろうか。
そこにおいて、日本歯科医療投資株式会社代表取締役で歯科医師の水谷友春氏は、日本初となる「歯科医院売却価格シュミレーター」の提供を開始した。シュミレーターは、全15問・完全無料・個人情報不要で、歯科医院の予想売却価格の見積結果を出してくれるという。
WHITE CROSSでは、水谷氏に、シュミレーターをサービスインさせた背景について話を伺った。
インタビューに答える日本歯科医療投資株式会社代表取締役の水谷友春氏
これまで多くの歯科医師の先生方を対象に、M&Aをテーマとした講演を行い、ご相談を受けてきました。その中で、M&Aという言葉の響きだけで抵抗感を覚える方や、M&Aの実態についてご存じでない方が数多くいらっしゃり、悪い誤解が多くあるように感じてきました。
M&Aで事業承継をすると、無論、すべてがこれまで通りとはいきませんが、「従業員がクビにされる、院長の給料が大幅に下がる、クリニックのカラーがガラッと変わる」など、現実にはほとんど起き得ないことを不安に感じられている方が非常に多いです。そこにおいて、正しい知識を啓発していくことが大切だと考えてきました。
そこで当シュミレーターは、個人情報を取得することなく全15問の3分で回答していただく中で、「M&Aによる事業承継を行うにはどのような要素が重要なのか」などを自然に意識してもらうことを目的に作らせていただきました。
事業承継について考え始めた先生はもちろん、将来を見越して自院の価値について知っておきたいという先生方に、気軽にさわっていただけたらと考えています。
その先に、日本の歯科医療界において、適切な事業承継が行われていくことを願っています。
執筆者
WHITE CROSS編集部
臨床経験のある歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士・歯科関連企業出身者などの歯科医療従事者を中心に構成されており、 専門家の目線で多数の記事を執筆している。数多くの取材経験を通して得たネットワークをもとに、 歯科医療界の役に立つ情報を発信中。