保存的で生物学的許容性の高い歯科治療を示す「シリーズ　MIに基づく歯科臨床」の第2弾。急速な技術革新の陰には、歯内療法の真の目的が薄れてしまうことへの危惧を拭えない。医療全般に共通していることであるが、治療の目的は、「生体の治癒を最大限に“引き出すこと”」である。本書は、革新的な器具や技術を導入しつつ、生体の求めるエンドのゴールのあり方に迫る。
序
著者名一覧
謝辞

■CHAPTER 1　歯内感染の病因論
歯髄炎と根尖性歯周炎(根尖病変)の発症メカニズム
歯髄炎の発症メカニズム/歯髄炎の分類/根尖性歯周炎(根尖病変)の発症メカニズム

■CHAPTER 2　診査・診断・治療方針
臨床診査と診断の要点/鑑別診断と治療方針

■CHAPTER 3　う蝕象牙質への対応
MIの概念/切削治療の介入時期/う蝕象牙質除去の基準/浅在性う蝕への対応/深在性う蝕への対応

■CHAPTER 4　歯根未完成歯の歯髄処置
アペキシフィケーション,アペクソジェネシス,パルプ・リバスクラリゼーション
症例からみる歯髄の治癒/歯根未完成歯の根管治療における治癒のパターン(分類)/アペキシフィケーションのメカニズムと術式/アペクソジェネシスのメカニズムと術式/パルプ・リバスクラリゼーションのメカニズム/若年者の大臼歯の歯髄炎の治療方針

■CHAPTER 5　乳歯の根管処置
乳歯の根管の特徴/乳歯根管処置法の種類と選択基準/乳臼歯の根管処置の流れ/乳前歯の根管処置

■CHAPTER 6　根管のプレパレーション
根管治療における根尖部の治癒のバリエーション/抜髄処置/感染根管処置/抜髄処置と感染根管処置の根管拡大における相違点/治療の流れ/切削器具の種類と特性/器械切削装置の種類と特性

■CHAPTER 7　根管清掃・貼薬
根管清掃/推奨される清掃手順/根管貼薬/ラバーダム防湿

■CHAPTER 8　根管充填
根管充填の必要性──なぜ根管充填をするのか/根管充填の時期──根管治療は1回法か複数回法か/根管充填法の種類と術式/側方加圧法と垂直加圧法で何が違うのか?/症例別根管充填例/シーラーの重要性

■CHAPTER 9　CBCTとマイクロスコープを用いた歯内療法
複根管の根管治療,パーフォレーション,根管内の異物除去への応用
三次元でみることの重要性/CBCTの特徴/歯科用マイクロスコープの特徴/複根管の根管治療/根管充填材および破折ファイルの除去/パーフォレーションへの対応

■CHAPTER 10　歯根と根管の形態学
アンギュレーション・インクリネーション/髄室と根管の位置関係/平均的な歯と歯髄の形態/墨汁注入透明脱灰標本作製方法/上顎前歯の根管形態/下顎前歯の根管形態/上顎小臼歯の根管形態/下顎小臼歯の根管形態/上顎大臼歯の根管形態/下顎大臼歯の根管形態/根管の加齢変化

■CHAPTER 11　歯髄再生療法の現状と将来
マトリックスメタロプロテアーゼ-3(MMP-3)とは/in vitroにおける血管内皮細胞に対するMMP-3の増殖,遊走,アポトーシス抑制効果/MMP-3によるラット腹腔マクロファージからの炎症性メディエーター産性の抑制効果/歯髄創傷モデルにおけるMMP-3の創傷治癒促進効果/一部性歯髄炎モデルにおけるMMP-3の血管新生・歯髄再生促進効果

おわりに
索引