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ビジュアル 歯周病を科学する

ビジュアル 歯周病を科学するの画像です
本書は「サイエンストランスファー」=「科学者が最新の情報を発信し、臨床医が情報を受けとり、うまく利用する」ことを目的に編纂された。Periodontology 2000の編集委員を務めた天野敦雄氏を監修に迎え、最先端の歯周病の科学を発生から疫学、リスクファクター、病因論まで国内第一線の選抜された研究者が分担執筆。そこに数千もの臨床データを蓄積してきた岡 賢二氏が科学の臨床への生かし方を提示した近年まれにみる本格書。
CHAPTER1 歯周病の発生

1.歯周病の発症

(1)感染因子・歯周病菌
口腔微生物叢
歯周病菌メンバー
細菌検査法
歯周病菌は常在菌?
歯周病菌の口腔内定着時期

(2)歯周病菌と歯周組織の拮抗
日和見感染
宿主の戦略
歯周病菌の戦略

(3)バイオフィルムのecological shiftと病原性変化
P. gingivalis の増殖を促すポケット環境
バイオフィルムの病原性変化
P. gingivalis の血液獲得

(4)バイオフィルムの病原化と歯周炎の慢性化
バイオフィルムの病原化
歯周病菌の細胞内での生息
歯周組織破壊への免疫応答
歯周組織破壊に関与する宿主因子

(5)歯周病の発症・まとめ
歯周病の発症と進行
歯周病治療の目標

2.歯周組織破壊へのロードマップ

(1)口腔内の生体防御機構とバイオフィルム
歯周病とバイオフィルムの関係
口腔の生体防御基盤とは

(2)バイオフィルムと歯周組織における免疫応答
歯周病進行と免疫応答の変遷

(3)歯周免疫応答の遷延化
歯周病における免疫応答の特殊性
歯周組織へのリンパ球の動員・集積による炎症の遷延化

(4)歯周ポケット形成と歯槽骨吸収
結合組織の破壊
歯槽骨の破壊

3.歯周病の多様な臨床像

(1)歯周症から歯周病へ(病因論・診断・治療法の歴史的変遷)
病因論・診断の歴史的変遷
治療法の変遷

(2)歯周病の分類と診断(病態診断と特徴的臨床像)
歯周病の分類
歯周病の病態

(3)歯周病の治療(歯周病治療の基本的な流れ)
歯周治療の基本
治療計画の立案および基本体系
歯周基本治療(原因除去療法)
歯周外科治療
歯周組織再生療法
これからの歯周組織再生療法
口腔機能回復治療(oral rehabilitation)
サポーティブペリオドンタルセラピー(歯周病安定期治療supportive periodontal therapy:SPT)、メインテナンス(maintenance)

CHAPTER2 歯周病の疫学とリスクファクター

1.歯周病の有病率とリスクファクター

(1)歯周病有病者率の疫学調査
日本と世界の調査の比較
古典疫学調査と近年の疫学調査の比較

(2)歯周病の疫学的リスクファクター:細菌因子、宿主因子
リスクファクターとは
細菌因子
宿主因子

(3)歯周病の疫学的リスクファクター:環境因子(喫煙、栄養、飲酒、ストレス)
喫煙
栄養
飲酒
ストレス

2.咬合と歯周病

(1)咬合と歯周病の進行
歯周組織破壊のメカニズムについて
咬合性外傷が歯周治療や矯正歯科治療に及ぼす影響について
歯周炎患者の咬合状態について
咬合状態と歯周病進行に関する臨床研究
歯周病患者におけるブラキシズムの実態
まとめ

(2)咬合調整の方法と時期
咬合状態の検査について
咬合調整の時期
咬合調整の適応症
咬合調整に使う器具
咬合調整と暫間固定
まとめ

(3)歯周病治療の補綴的咬合修復
ブラキシズムの診断
歯周病患者における補綴治療の開始時期
補綴物の清掃性について
力のコントロールが可能な補綴物のデザイン
メインテナンス
まとめ

3.歯周病と全身疾患の疫学

(1)歯周病と全身疾患の疫学調査概説(ペリオドンタルメディスンの疫学的根拠と妥当性)
歯周病がリスクとなる疾患とは
ペリオドンタルメディスンのエビデンスレベル

(2)歯周病と糖尿病
歯周病リスクとしての糖尿病
歯周病が糖尿病の病態に与える影響

(3)歯周病と動脈硬化・虚血性心疾患
虚血性心疾患のリスクとしての歯周病
歯周炎によるCHD発症のメカニズム
歯周病とメタボリックドミノ
肥満と歯周病

(4)歯周病と早産・低体重児出産
歯周炎はPB/LBWリスクを高めるのか
歯周治療はPB/LBW発生の予防に繋がるのか

(5)歯周病と骨粗鬆症
骨粗鬆症のリスクとしての歯周病
骨粗鬆症は歯周炎の進行に影響を及ぼすのか
歯周炎の存在が骨粗鬆症に影響を与えるか

CHAPTER3 歯周病病因論・感染因子
1.バイオフィルムに生息する歯周病菌

(1)バイオフィルムマトリックス
EPSの構造と機能
細菌のバイオフィルムからの乖離

(2)バイオフィルムでの細菌間情報伝達
細菌高密度環境下での相互作用
クオラムセンシング
バイオフィルムの形成過程におけるクオラムセンシングのはたらき
新規クオラムセンシング分子
宿主-細菌間シグナル伝達機構

(3)P . gingivalis のバイオフィルム形成
バイオフィルムvs.プランクトニック

(4)バイオフィルム細菌の抗生物質耐性獲得戦略
細菌の抗生物質耐性獲得機構
細菌集団の抗生物質耐性獲得機構
バイオフィルムの抗生物質耐性獲得機構
歯周病治療における化学療法の限界

2.歯周組織内に生息する歯周病菌

(1)歯周病菌の細胞侵入メカニズム
P. gingivalis の細胞侵入
P. gingivalis の細胞侵入メカニズム

(2)歯周病菌の細胞傷害メカニズムと歯周病の慢性化
歯周病菌による細胞傷害
慢性化へのメカニズム

(3)歯周病菌の組織内生息戦略
P. gingivalis の細胞内動態
P. gingivalis の組織内潜伏

3.歯周病原細菌red complexの宿主傷害戦略

(1)Porphyromonas gingivalis
付着・定着の分子基盤
直接的組織傷害因子ジンジパイン
間接的組織傷害因子
代謝産物
免疫補体系からの回避
長線毛遺伝子型と歯周病原性
P. gingivalis 外膜小胞の歯周病原性
歯周病菌の鉄獲得機構

(2)Treponema denticola
構造的特徴
定着機構
菌体成分による組織・細胞傷害
免疫かく乱作用にともなう組織傷害
その他のビルレンス因子

(3)Tannerella forsythia
細菌学的特徴と歯周病原性因子
付着、組織・細胞傷害因子
バイオフィルム形成による病原性

4.歯周病菌の毒素と代謝物質
(1)歯周病菌の産生する毒素
内毒素:リポ多糖
外毒素

(2)Aggregatibacter actinomycetemcomitansの毒素
ロイコトキシン(leukotoxin)
細胞膨化致死毒素
(CDT:Cytolethal Distending Toxin)
CagE

(3)細菌代謝物、短鎖脂肪酸(酪酸を中心に)
白血球に対する作用
上皮細胞に対する作用
歯肉線維芽細胞に対する作用

5.口臭の発生と原因物質

(1)口臭の発生(口臭症の分類と発生機序)
口臭症の分類
口臭の発生機序

(2)口臭症の原因物質と検査・診断
原因物質
検査・診断

(3)口臭症の治療
真性口臭症の治療
仮性口臭症、口臭恐怖症の治療

6.歯周病菌のゲノム科学と臨床応用

(1)歯周病菌のゲノミクス-プロテオミクスと分子標的治療戦略
歯周治療における分子標的治療の期待

(2)疾病活動診断細菌検査と標的分子同定の戦略
将来の歯周病細菌検査

(3)分子標的治療の戦略
分子標的治療としての免疫療法とゲノム創薬

CHAPTER4 歯周病病因論・宿主因子

1.宿主免疫と歯周組織破壊

(1)歯周組織における自然免疫
物理・化学的バリア
細胞成分
抗菌性ペプチド
自然免疫におけるToll様受容体の役割

(2)歯周組織における適応免疫
抗原提示細胞
ヘルパーT細胞
Th17
細胞傷害性T細胞
制御性T細胞
ナチュラルキラーT細胞(NKT細胞)

(3)適応免疫における抗原認識
T細胞
B細胞・抗体

(4)歯周組織破壊とサイトカイン
病変の進行と免疫応答

(5)歯周病原細菌による免疫応答のかく乱

2.歯槽骨吸収の分子機構

(1)骨の構造と代謝
解剖学的および組織学的構造
骨の吸収・添加(骨リモデリング)の分子基盤
骨リモデリングに関与する細胞

(2)歯周病の歯槽骨吸収と破骨細胞

(3)破骨細胞の特異的阻害剤ビスフォスフォネート
有用性
ビスフォスフォネート関連顎骨壊死
ビスフォスフォネート関連顎骨壊死への将来展望

3.歯周病の遺伝的背景

(1)遺伝体質と歯周病感受性

(2)遺伝子関連疾患にみられる歯周病の病態
好中球減少症
Papillon-Lef?vre症候群
Down症候群
Ehlers-Danlos症候群
Ch?diak-Higashi症候群
低ホスファターゼ症

(3)歯周病の発症と進行に影響を与える遺伝子多型
遺伝子多型とは何か
遺伝子多型と病気との関連
歯周病と遺伝子多型
薬物性歯肉増殖症と遺伝子多型

4.歯周病と全身疾患の病因論

(1)Periodontal Medicineの科学的分子基盤
歯周病は全身的に影響を及ぼしうる感染症か?
歯周病とメタボリックシンドロームの関連を説明する科学的分子基盤・マクロファージー脂肪細胞相互作用説の関与の可能性
歯周病と低体重児出産の関連を説明する科学的分子基盤

(2)歯周病と糖尿病の関連
糖尿病がインスリン抵抗性を惹起する想定機序

(3)歯周病と動脈硬化・虚血性心疾患
歯周病による軽微な炎症の影響

(4)歯周病と低体重児出産
歯周病原性細菌の直接的な関与の可能性
炎症性サイトカイン等の液性因子の関与の可能性

5.歯と歯周組織が制御する組織修復

(1)歯と歯周組織の関係
歯と歯周組織:その喪失と再生の関係

(2)歯周炎の病態像と治癒像
治癒のパターン

(3)臨床例からみる治癒像
治癒の実際
治癒へと導く王道

6.歯周組織再生療法

(1)歯根膜の生物学
歯根膜とは
幹細胞の保管庫(reservoir)としての歯根膜
遺伝子発現から知る歯根膜の特徴
新規遺伝子PLAP-1(periodontal ligament associated protein-1 )の発見

(2)歯周組織再生療法の変遷
歯周組織再生療法とは
歯周組織再生医工学(periodontal tissue engineering)
歯周組織再生療法の現状
現状の歯周組織再生療法に関する科学的根拠

(3)サイトカイン療法の可能性
PDGFを用いた歯周組織再生療法
PDGFからGEM21?
FGF-2とは
FGF-2の歯周組織再生誘導効果の検討
FGF-2による歯周組織再生誘導のメカニズム
サイトカインを用いた歯周組織再生療法の将来展望

(4)細胞移植治療の可能性とperiodontal tissue engineeringの未来
細胞移植による歯周組織再生療法の必要性
移植細胞の選択
まとめ

CHAPTER5 病因論の臨床へのサイエンストランスファー

1.病因論を臨床にどう生かすか?

(1)長期症例を病因論から分析する
臨床に生かす3つのキーワード
CASE1 軟組織に侵入した歯周病菌のコントロールにより再発を10年間予防
CASE2 優れたSRPの技術にて菌の好む環境を改善し14年間良好
CASE3 喫煙は長期的には最大のリスクファクター
CASE4 重度歯周炎でもSRPと歯周外科により歯周病菌と宿主の均衡を20年間維持
CASE5 病因論をふまえた治療の重要性
歯周治療は長い年月を患者と歩むもの
CASE6 発症予防自体が歯周治療である

用語解説

ビジュアル 歯周病を科学する

  • 著者

    天野 敦雄
    岡 賢二
    村上 伸也

  • 出版社

    クインテッセンス出版

  • ページ

    348ページ

  • サイズ

    A4判

  • ISBN

    978-4781202549

  • 価格

    17,600円(税込)

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