世界を目指す歯科学生や歯科医師を支援する「ローンスターズ・プロジェクト」。
このプロジェクトは、日本の歯科界のさらなる活性化を期待し、世界の舞台でリーダーシップを発揮し活躍できる歯科医師を生み出すために、志高く一生懸命頑張っている学生や若手歯科医師を支援するために行われている。
世界を目指す歯科学生や歯科医師を支援。ローンスターズ・プロジェクトとは?
今回は、日本で開催されたLONE STARS TOKYO MEETING 2019のレクチャーの全貌が公開されたので紹介する。なお、本セミナーの収益はすべてローンスターズが行う留学支援活動に充てられるという。
LONE STARS TOKYO MEETING 2019とは
開催時の様子
2019年6月2日に東京医科歯科大学第講義室にて3名の米国専門医がそれぞれ1時間半の講演を行い、スピーカー達が海外で経験したものをシェア。海外の手法の直輸入ではなく、日本に合うスタイルを考えながら、日本らしいオリジナルな人材と日本の歯科の可能性を皆で生み出すために、参加者180名と熱い議論が交わされた。
勉強会ではなく、非営利団体若手歯科医師支援組織であるローンスターズは、若手歯科医師に対する研修基金を設けることを目的として、歯科教育貢献サポーターと力を合わせファンドレイジング活動を行っている。そのため3名のスピーカーは講演料をすべてローンスターズ・プロジェクトに寄付し、今回は東京ミーティングでの全ての売り上げを用いて、ローンスターズ・トラベルグラントを設けることが出来たという。
今回公開された動画は、東京ミーティングのレクチャーを録画・編集したものである。『予告編』として、スピーカーの紹介ならびに企画趣旨を無料で公開しているので、あわせてご覧いただきたい。
ローンスターズ・プロジェクト
#1 杉田龍士郎先生「全顎補綴治療に必要な咬合診断」
全顎補綴治療、と聞くと自分には縁のない世界だと感じる先生も多いのではないでしょうか?しかし実際には 気づいていないだけで潜在的に全顎治療が必要なケースというのは多々あります。患者の主訴にとらわれて、そういうケースを見逃してはいないでしょうか?あるいは、臼歯部咬合が崩壊しているなど、明らかに咬合再建を含む全顎治療が必要なこともあるでしょう。どこから手をつけていいかわからず、途方にくれたことはありませんか?
そのようなケースに遭遇したときどうするか。重要なのは診断です。患者の口腔を一つの単位として捉えて総合的な診断を下すことを包括的歯科診断-Comprehensive Diagnosis-と米国では呼びます。日本でも「1口腔単位の診断・治療」ということが叫ばれて久しいですが、1口腔単位の治療というのは右上1にカリエスがあるとか、左下6に重度歯周炎があるなど、患者の口腔内に存在する病気を明らかにしてそれを羅列する作業ではありません。カリエス、ペリオ、ウェアー、デントフェイシャル、おおまかにわけてこの4つのカテゴリーに対する診断とリスクアセスメントを総合的に行うことに他なりません。今回はその中でも日本で誤って理解されていることが少なくない「咬合」をテーマに、「中心位」「咬合高径」をキーワードとして、米国で最も広く受け入れられている全顎補綴治療のシステムについて解説します。
#2 瀧本晃陽先生「歯内療法領域における診査・診断」
歯科医院を受診する患者さんの中で、歯の痛みや違和感を主訴とする方は少なくありません。まず、それらの症状が何に由来しているのかを知る必要があり、その原因に対する適切な処置によって症状を取り除くことが歯科医師には求められます。また、患者本人が「歯が痛い」と訴えても、実際には「歯」が原因ではない痛みも存在します。症状の原因を特定し、それに対する治療方針を決定するためには診断名が必要となり、正確な診断のためには必要な診査項目と診査法が存在します。本講演では、歯の痛みの生物学的背景およびエンド 由来の疾患を鑑別診断するために必要な診査と、米国の学部・専門医教育で用いられている歯髄・根尖歯周組織疾患の臨床分類についても解説します。
#3 Min Seiko先生「ペリオ新分類による臨床応用の理想と現実」
アメリカ歯周病学会とヨーロッパ歯周病学会によって約20年ぶりに改変されました。新分類では、インプラント疾患分類追加や歯周炎 Staging, Grading システム等の新項目が加わり、歯周炎に罹患した患者のリスクアセスメントと歯周治療含め包括的治療の難易度を表現できる様になり、大きな改変となりました。2018年にヨーロッパ歯周病学会やアメリカ歯周病学会で新分類が報告され、学会誌には新分類について一冊分のボリュームを用いて詳しく説明されています。現在、テキサス大学ヒューストン校歯学部では、すでに歯学部生教育に導入されていて、2019 年9月から完全に新分類がカルテ記載に使用されます。しかし、未だ新分類について活発な討論が行われ、臨床応用に関して全てが明白になっている訳ではありません。新分類の臨床応用に対する理想と現実に対して、わかりやすく解説します。
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若手歯科医師に対する海外研修支援機構、ローンスターズ・プロジェクトとは、米国、日本の歯科医師、歯学部生からの発起人の賛同を受け、日本の若手歯科医師に発達した歯科教育である米国専門医教育を “知る”、そして “学ぶ” 機会を増やし、将来、世界で活躍する日本人歯科医師を輩出し、日本の歯科の更なる発展を実現することを目指しています。若手歯科医師に対する研修基金を設けることを目的として、歯科教育貢献サポーターと力を合わせファンドレイジング活動を行っています。
私たちは、“日本の歯科のために何か役に立ちたい”と考える人と繋がり、日本の歯科教育の課題を解決するために、若手歯科医師に対する海外研修支援機構を実現します。自分が引き起こす歯科界の変化の可能性を信じやりたいことを思い切りチャレンジできる魅力的な歯科界を創造する夢を皆さまと一緒に実現していきたいと思います。
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