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ニュース 2020/05/01

明日の歯科医療に向けて 日本歯科医師会など業界団体の動向

WHITE CROSS編集部
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新型コロナウイルス(以下、COVID-19)の感染拡大に対し、政府は緊急事態宣言の延長に向けて調整に入っている。

 

日本社会において、歯科医療は医療の一部であり、生きる力を支える医療として社会の基幹インフラと言える役割を果たしてきた。歯科医療においてもCOVID-19の影響が深刻化してきている中で、国や都道府県などとの窓口になる各業界団体の重要性が高まっている。歯科医療従事者が一丸となって、各団体のアクションについて正しく理解し、呼応していくことは、半年後、1年後の日本社会における歯科医療のあり方につながってくる。

日本歯科医師会・日本歯科医師連盟・東京都歯科医師会・東京都歯科医師連盟・日本歯科衛生士会の、この数日間の対応についてまとめた。

日本歯科医師会

堀 憲郎会長 テレビ出演

4月30日(木)の朝6:00 - 8:00に放送されるTBS「あさチャン!」に日本歯科医師会の堀 憲郎会長が出演し、歯科医療の置かれている状況や受診について語った。

 

掘会長は冒頭で、中長期的な日本社会における歯科医療の供給を維持していくことの大切さや、歯科医院経営もまたCOVID-19の影響を受けていることを語った。

 

また、街の声として、歯科医療受診への不安や歯科医療は不要不急ではないかと捉える声に対して、

 

・ 歯科治療を通じたCOVID-19の感染は1件もないこと

・ 歯科において不要な治療はないが、緊急性をどこで判断するかについては、自分(患者)で判断するのではなくかかりつけ歯科医によく相談してほしいこと

・ 高齢者、在宅や施設にいる人の口腔管理・口腔環境が放置されてしまうと、誤嚥性肺炎になって命に関わることが生じることが懸念されること

 

などを訴えかけ、各種報道が生んだ誤解に基づく歯科医療への恐怖を緩和し、歯科医院にどのように受診するべきかについての情報を提供した。

 

 

新聞での国民へのメッセージ広告

5月1日(金)付の読売新聞、毎日新聞、そして全国地方新聞において、日本歯科医師会は「国民の皆様へ」としてメッセージ広告を掲載した。掘会長のメッセージと一貫して、

 

・ 緊急性の少ない治療、定期検診、訪問診療などの延長の検討の依頼

・ 痛みや腫れなどを放置すると重症化や全身へ影響を及ぼす可能性や誤嚥性肺炎への懸念など

・ 患者ごとに状態が様々であるため、まずかかりつけ歯科医への相談してほしい旨

 

などを訴えかけ、

 

歯科医師、スタッフにとって感染リスクが高いとされる歯科医療現場ですが、これまで歯科治療を通じて患者さんの感染の報告はありません。更に感染予防策を徹底し、国民の皆様の健康を守るために取り組んでいきます。

 

という言葉で締めている。

日本歯科医師連盟 STAY HOME & ORAL CARE

日本歯科医師連盟は、これまでも国民に向けて、口腔健康と歯科医療の大切さについての啓発活動を行ってきた。COVID-19の感染予防において、丁寧な口腔ケアは誰もができる大切な施策の一つであることから、ゴールデンウィークの過ごし方について「STAY HOME & ORAL CARE」 をスローガンとした動画とポスターを作成し、配信している。

 


出典_YouTube_内閣官房_「STAY HOME & ORAL CARE」

 

日本歯科医師連盟 STAY HOME & ORAL CAREポスター

STAY HOME & ORAL CARE


緊急事態宣言下の日本において、自粛が求められている。歯科医院の受診の仕方と共に、歯科医療から一般の国民に向けて伝えられるスローガンとして活用されることを願う。

東京都歯科医師会・東京都歯科医師連盟 歯科医療供給体制を維持できる対応を要望

各都道府県歯科医師会・歯科医師連盟が、COVID-19の感染拡大に伴い、中長期的に歯科医療供給体制を維持できる対策を考え、国・都道府県に対応を求めている。4月28日(火)には、東京都の歯科医師会・歯科医師連盟は東京都議会自民党に対して、以下の要望書を送った。

 

今般の新型コロナウイルスの急速な感染拡大の中、都内歯科医院では院内感染に端を発 する感染拡大を防ぐことに細心の注意を払い、入念な感染予防対策を講じ、国民の口腔の 健康維持のため診療を行っております。


歯科治療の特徴として、患者と医療者が密接し飛沫感染の可能性が高いということがあ げられています。


緊急事態宣言の発令後も、政府の指針に基づき主に緊急性の高い治療を続けています が、各種報道により、診療患者数の激減、そして、不要不急と位置付けられた在宅診療、 介護施設への訪問や一般診療の中での口腔ケアの患者も大幅に減少しています。


この事態の早期終息が予測できない中、財政的に逼迫し、歯科経営の悪化を招き閉院を 余儀なくされることも見込まれることから、変わらぬ良質な歯科医療提供体制を維持する ため以下を強く要望いたします。


 

 
1. 休業、時短による歯科診療報酬経営の悪化のため、家賃補助、従業員の給与の支援制度 の早急な創設

1. 医療崩壊を防ぐため、医療機関へのマスク、消毒薬、グローブ等の衛生用品の緊急追加 配布等、今後の安定的な供給体制の確立

歯科医療の業界団体として、歯科医療の提供体制を守りながら、歯科医療従事者を守っていくために具体的行動がとられている。

日本歯科衛生士会 武井 典子会長 

日本歯科衛生士会の武井典子会長は28日(火)、そのホームページにて、『歯科衛生士として「新型コロナウイルス」に向き合う!~自分を守り、人を守り、心の健康を保とう~』として、全国の歯科衛生士に向けたメッセージを掲載した。メッセージを通じて、武井会長は、

 

・ 歯科衛生士の、歯科衛生士業務における不安への理解

・ COVID-19感染症の長期化が予測されるなかで、歯周病等の重症化予防や定期健診の中断が、患者の全身状態にも影響を与える可能性
・ COVID-19感染症に向き合いながら、歯科医療従事者として自らを守っていくことの大切さ

・ 医科歯科連携の推進と歯科衛生士だからこそ果たせる責任
・ 歯科訪問診療が行われない期間の長期化により、在宅・施設における療養者や要介護者の口腔衛生や口腔機能が低下し、要介護度が上がり、誤嚥性肺炎等における入院が増大する可能性
・ 地域包括医療のなかで、医療と介護との連携を築きながら、オンラインによる安全な食支援や肺炎予防を継続していくことの重要性

 

などについて語りかけ、この時代だからこその歯科衛生士の職業の重要性を伝えている。

 

 

COVID-19の影響は深刻だが、どの時代においても、そして未来においても歯科医療が不要になることはない。歯科医療従事者自身を守りながら、その提供体制を維持していけるように、各業界団体は日夜実務者としての責務を果たそうとしている。

執筆者

WHITE CROSS編集部

WHITE CROSS編集部

臨床経験のある歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士・歯科関連企業出身者などの歯科医療従事者を中心に構成されており、 専門家の目線で多数の記事を執筆している。数多くの取材経験を通して得たネットワークをもとに、 歯科医療界の役に立つ情報を発信中。

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