2021年2月11日(祝)、インプラント治療に携わる数々のスタディグループがその垣根を越えて知識/経験を共有するOsseointegraiton Study Club of Japan(以下、OJ)の「ミッドウィンターミーティング2021 スタディグループの祭典 〜ニューリーダー集結〜」が、無料ウェブ開催される。
OJ会員の誓い
① 個人としての意見や発言は遠慮せずに述べる。しかしながら、その発言は他人の人格を否定するものであってはならない。
② 違う意見や考えを理解すべく質問や意見を述べる。ただし、その違いを認めるべきところは認め、理解する努力を怠らない。
③ 他の考えや治療コンセプトに違いがあればその理由を探り理解する努力をするが、違う考えを自身が採用せずともその内容が敬意に値するものであれば、尊敬の念をもつことを忘れてはならない。
OJは、米国カリフォルニアに拠点を置くOsseointegration Study Club of Southern California(以下、OSCSC)を親会に2002年に設立され、今年で創立20周年を迎える。
36年の歴史を誇るOSCSCは、インプラントの父である故ブローネマルク先生が、「米国においてオッセオインテグレーテッドインプラントが正しく発展するように」とロイヤナセ先生に依頼され、発足した由緒ある会である。
OJとOSCSCとの交流
OJは、
・ 毎年2月に開催されるミッドウィンター
・ 毎年7月に開催される年次ミーティング
・ OSCSCとの交流
の3つの活動で構成されている。
第10周年記念大会の様子
その中でも、ミッドウィンターはインプラントを研鑽する若手歯科医師の登竜門となっている。
毎年OJの一般会員が、学会でいうところの認定医にあたるOJ正会員になるために、日本のインプラント治療を牽引してきた先達の前でコンペティション形式でプレゼンテーションを行う。そして、毎年その上位6名が年次ミーティングで講演の切符を、更に上位2名がOSCSCでの講演を行う切符を手にする。
新型コロナウイルス の感染拡大に伴い、歯科医療の学びが激減している。そのような中、WHITE CROSSではミッドウィンターを無料でウェブ開催するに至った思いとその見所について、OJ会長の瀧野裕行先生にインタビューを行った。
インプラント治療の灯火を、次世代につなげていくために
Q. 無料ウェブ開催に至った思いについてお聞かせください
OJは、インプラント治療に携わる臨床家がスタディグループの垣根を超えて集まって発足しました。当時は、今では想像できないほどインプラント治療は混沌としていました。その状況を打開するべく、インプラントの知識や経験が共有し合う場を作るために千人近い臨床家が集まった日のことを、今でも鮮明に覚えています。ファウンダーや理事には、日本の歯科医療を牽引されてこられた錚々たる先生方が名を連ねておりました。
様々な変遷がありましたが、それから20年間をかけて「それぞれのスタディグループのフィロソフィーが調和されながら、建設的にぶつかり合う有意義な場」に成長してまいりました。
その活動の中でも、ミッドウィンターは若手の先生方の登竜門として、その価値を提供してきました。ミッドウィンターでは、若手の先生方がご自身が身につけてきたインプラント治療の全てを15分間のプレゼンテーションにして発表を行い、それに対して正会員の先生方が採点をいたします。
この15分間という時間には大きな意味があります。1時間かける講演も当然素晴らしいのですが、その内容を削ぎ落として、削ぎ落として、吟味して凝縮していく・・・その結晶を伝えるのにちょうど良い時間なのです。その結晶に対して、日本のインプラント治療を牽引してきた重鎮の先生方がコメントし、質疑応答がなされます。そのやりとりを通じて、トップランナー同士でも全く違う視点や切り口をもたれていることを知ることもできます。
若手の先生方の磨き上げてきた結晶と、各スタディグループのフィロソフィーがぶつかり合い、建設的な化学反応を起こしていく様には感動すら覚えます。
このコロナ禍の影響を受け、昨年の年次ミーティングは中止されました。そこで今年のミッドウィンターこそはなんとかリアルの会場で・・・という思いで準備してきたのですが、緊急事態が再度発令されたことから叶わなくなりました。そこで「こういう時にこそ、これまでの20年間のO Jの蓄積を活かして、より多くの人が参加して学べる形式でミッドウィンターをボランティア開催しよう。」と声をかけたところ、全会一致で賛同いただくことができ、今回の無料ウェブ開催が実現しました。
Q. 今回のミッドウィンターの見所を教えてください
OJは今年で、20周年を迎えます。私が会長に就任して最初の仕事がこのミッドウィンターなのですが、これまでの歴史を振り返って先人たちの蓄積を大切にしながら、その一方で「初心に帰り、新しいOJを作り上げていく第1歩目」に位置付けたいと考えております。
これまであまりOJと関わりがなったスタディグループのニューリーダーの皆さんの中にも、真摯にインプラント治療に取り組んでこられた方々がいらっしゃいます。そこでミッドウィンターの登竜門としてのあり方をそのままに、常連のスタディーグループとは違う顔ぶれにご登壇いただきます。登壇される先生方は、しっかりインプラントを研鑽されている先生ばかりですので、素晴らしいミーティングになると考えています。
これまでOJに関わってこられた先生方にとっては、これまでにない新しい化学反応を目の当たりにしていただき、これからの新しいOJにご期待いただける場になると思います。
また、OJを知らない先生におかれましても、「若手の先生方の磨き上げてきたその結晶と、各スタディグループのフィロソフィーがぶつかり合い、建設的な化学反応を起こしていく様」をご覧いただくことの価値は大きいと存じ上げます。歯科医師としての年次やキャリアに関わらず、新しい学びを得ていただける場になると考えております。
2019年ファイナリストの平塚智裕先生(中) カリフォルニアで開催されたのOSCSCにて
特に若手の先生方におかれましては、学んでみたいスタディグループを見つけたり、講演に参加してみたい先生を見つけたりと・・・ある種、ショーケースのように各スタディグループのフィロソフィーに触れることができる場でもあります。
そして、ぜひとも「次の登壇者になりたい」という思いを持っていただければと願います。私自身もそうでしたが、ミッドウィンターに登壇する前と後とでは歯科医師として見える景色が全く変わり、大きな成長を感じることができます。日本全国のインプラント治療を牽引されてきた重鎮の先生方の目に触れることで、声をかけられることも増え、歯科医師としてのチャンスが飛躍的に増えます。ぜひ、その様を目の当たりにして、モチベーションにしていただければと思います。
Q. 参加を検討されている先生方へのメッセージをお願いします
今回は、コロナ禍が世界を一変させていく中で、歯科医療の学びの火を絶やさないためにも無料でのウェブ開催とさせていただきました。また、OJにとっても初心に帰っての第1年目となります。このミッドウィンターを起点に、より多くの皆様と新たなO Jを育て上げ、日本社会におけるインプラント治療の価値を高めていきたいと考えております。
そのきっかけになる素晴らしい学びの場とさせていただきますので、ぜひご参加ください。
執筆者
WHITE CROSS編集部
臨床経験のある歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士・歯科関連企業出身者などの歯科医療従事者を中心に構成されており、 専門家の目線で多数の記事を執筆している。数多くの取材経験を通して得たネットワークをもとに、 歯科医療界の役に立つ情報を発信中。