厚生労働省は1月13日、令和2年度における保険医療機関等の指導・監査等の実施状況について発表した。
今回の発表によると、指導や監査によって歯科から国に返還された金額は5億3,591万3,000円。前年度よりも3億2,708万5,000円多い結果となった。
一方で、医科と薬局を含む保険医療機関全体の返還金額としては59億5,925万円と、前年度よりも49億1,430万円少なくなったという。
※ 返還金額には、令和元年度以前に指導や適時調査、監査を実施し、令和2年度中に確定した金額が含まれる。
また、指導・監査の件数については、歯科において個別指導が525件、新規個別指導が781件、監査が23件行われた。
令和2年度は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、個別指導や新規個別指導、適時調査の実施の見合わせ等を行っていたため、実施件数が前年度に比べ大幅に減少したという。
区分/年度 | 令和元年度 | 令和2年度 |
個別指導 | 1,348 | 525 |
新規個別指導 | 1,500 | 781 |
集団的個別指導 | 4,707 | 0 |
適時調査 | 10 | 0 |
監査 | 28 | 23 |
合計 | 7,593 | 1,329 |
指導・監査等の実施状況等の比較(単位:件)
今回、保険医療機関の指定取り消し処分を受けた歯科医療機関は15軒、保険医の取り消し処分となった歯科医は14人であった。
保険医療機関の指定取り消し処分の原因としては、架空請求や付増請求、振替請求、二重請求といった不正請求がそのほとんどを占めている。
他にも、監査拒否による指定取り消し処分の件数も増加しているとのこと。
これらの半数は、保険者や医療機関従事者、または医療費通知に基づく被保険者等からの情報提供によって、取り消し処分が行われている。
***
今回の報告によると、医科において、保険医療機関の指定取り消し処分を受けた医療機関は4軒、保険医の取り消し処分となった医師は4人と、歯科よりも1/3程度の数であったという。
医科よりも歯科の方が件数が多いという結果に、驚かれる先生方は多いかもしれない。
今後、歯科はもちろんのこと、医科や薬局においても、このような不正を行う機関が年々減少していくことを願う。
出典
執筆者
WHITE CROSS編集部
臨床経験のある歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士・歯科関連企業出身者などの歯科医療従事者を中心に構成されており、 専門家の目線で多数の記事を執筆している。数多くの取材経験を通して得たネットワークをもとに、 歯科医療界の役に立つ情報を発信中。