本書は、著者らが日常臨床において用いている根管形成法「JHエンドシステム」について、その理論と実践法を詳細に解説し、口腔、咀嚼機能の健全な回復と全身との調和を目指したものである。また、歯内療法についての基本的な考え方、テクニックに加えて、細菌学、免疫学を考慮して根尖病巣ばかりでなく、う蝕、歯周病、咬合などの診断・治療も言及している。
序章　歯内疾患における咬合の関与
　はじめに
　1.歯内療法学におけるドグマ
　2.歯内疾患と咬合の関係-「水平思考」を導入する必要性-
　3.顎関節症(咬合病、顎機能不全症)
　4.歯ぎしり
　5.歯内疾患の認識を変える
　6.実際の症例
　まとめ

第1章　歯内療法学総論
　はじめに
　1.歯内療法学のサイエンス
　2.歯内療法学のアート
　3.歯内療法と他分野の境界領域
　まとめ

第2章　歯内疾患の細菌検査
　はじめに
　1.歯内疾患関連細菌
　2.細菌検査
　3.細菌の特定方法
　4.バイオフィルム感染症
　まとめ

第3章　齲蝕と歯髄炎
　はじめに
　1.歯髄疾患の病因論
　2.象牙質-歯髄複合体
　3.齲蝕活動性
　4.齲蝕の治療
　5.歯髄の診査・診断
　6.歯髄炎の治療法
　まとめ

第4章　根尖病変の病態
　　-病理学、炎症学、免疫学および分子生物学的側面-
　はじめに
　1.根尖病変
　2.生体防御細胞
　3.細胞性免疫応答
　4.体液性免疫応答
　5.免疫グロブリン産生細胞
　6.多クローン性B細胞活性化
　7.細胞機能の解析
　8.炎症性分子
　9.動物実験モデル
　まとめ

第5章　根尖性歯周炎の診断と感染根管治療の予後
　はじめに
　 1.感染根管
　 2.根尖性歯周炎
　 3.原因因子
　 4.根尖性歯周炎の診査および診断(リスク評価)
　 5.感染根管治療
　 6.根管貼薬
　 7.難治性根尖性歯周炎
　 8.感染根管治療の失敗
　 9.エックス線写真の評価
　10.急発
　11.根管治療の予後評価
　12.再治療の判断
　まとめ

第6章　JHエンドシステムによる根管形成法
　はじめに
　1.根管形成の目的
　2.根管形成法
　3.日本におけるバーティカルコンデンセーション法の変遷
　　　-大谷歯内療法研究会のあゆみ-
　4.JHエンドシステム
　5.JHエンドシステムによる根管形成の実際
　まとめ

第7章　JHエンドシステムによる根管充填法
　はじめに
　1.根管充填の目的
　2.根管充填法
　3.根管充填の時期
　4.根管の乾燥
　5.仮封
　6.JHエンドシステムによる根管充填法
　7.実際の臨床例
　まとめ

第8章　外科的歯内療法
　はじめに
　1.外科的歯内療法の目的
　2.適応症と非適応症
　3.診査
　4.外科的歯内療法の分類
　5.組織再生を考慮した外科的歯内療法
　6.術式
　7.意図的再植
　8.外科的歯内療法の予後
　9.実際の症例
　まとめ

第9章　歯内-歯周複合疾患
　はじめに
　1.歯周疾患の臨床症状
　2.歯内疾患が歯周組織に及ぼす影響
　3.歯周疾患が歯髄に及ぼす影響
　4.歯周疾患と歯内疾患の鑑別
　5.歯髄および歯周膿瘍の鑑別
　6.歯内―歯周複合疾患の治療法
　7.歯内―歯周複合疾患の予後
　まとめ

第10章　歯内疾患と全身とのかかわり
　はじめに
　1.菌血症
　2.口腔疾患と全身疾患の関係
　3.Focal infection theory(病巣感染説)
　まとめ

付表
索引