2018年11月21日の20時より、佐藤琢也先生のライブ講演会が行われた。
佐藤先生は、大学院在籍中に若手歯科医師のスタディーグループ「Club GP」を設立。UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)に留学し、インプラントや骨再生治療の分野で世界的に著名なDr.サーシャ・ジョバノビックに師事。その治療技術は海外でも高く評価され、現在もClub GPの活動を通じて後進の育成や科学的根拠に基づいた治療の普及に尽力している。
今回はテーマを『切開と縫合のセオリー』とし、低侵襲で審美性の高い外科の基本コンセプトについて解説された。
本レポートでは、講演のサマリーやライブ配信の様子を報告する。
また、12月6日(木)までの期間限定で「振り返り視聴」としてセミナーのオンデマンド配信が行われているため、見逃した方もぜひご活用いただきたい(記事末尾にご案内)。
Macro Surgery VS Micro Surgery
佐藤先生は冒頭、いくつかの長期経過症例を供覧しながら、マイクロサージェリーの有用性を語った。
その目指すところは、瘢痕がなく、左右対称で、負担の少ない治療結果であるという。マイクロスコープの使用でしか達成し得ない術式は存在するものの、マイクロスコープの使用はあくまでツールであってゴールではないことを強調した。
それでは、マイクロサージェリーとコンベンショナルな外科を比較した場合の優位性とは何であろうか。
佐藤先生は、エビデンスが少なく経験則で語られがちな分野であることに触れた上で、1本の文献を提示。その文献によると、治療成績自体に大きな差はないものの、血管の創生や治癒に大きな差が生じたのだという。
“低侵襲である”ことは、ただそれだけでその治療方法を選択するシンプルな理由になると佐藤先生は語った。
切開と縫合のセオリー
続いてトピックはメインテーマである切開と縫合のセオリーに入る。
切開やフラップのデザインにはある一定のルールがあり、その背景は虚血壊死や乳頭退縮の防止にあるという。
部分層弁と全層弁の違い、Remote flap designとLimited flap designの適応、血流の解剖、角化歯肉と歯槽粘膜の扱い方、減張切開のセオリーなど、口腔外科小手術を行う上で誰もが知っておきたいベーシックからアドバンスまでを詳細に解説した。
縫合のパートでは、マットレス縫合、連続縫合などの術式ごとに、オリジナルのビデオを用いて針と糸の動きを説明。
ときにジョークを交えながら、分かりやすさを最重視してレクチャーする佐藤先生。本動画を繰り返し見ながらトレーニングを積むことで、外科に苦手意識を持っている方でも楽しく臨床に臨むことができると感じさせる。
Case Presentation
フィナーレは佐藤先生の中でも印象的な3つのケースを供覧。「MIS(Minimally Invasive Surgery)による天然歯周囲歯肉の審美性の獲得」、「難易度の高い骨欠損症例におけるインプラントとMIS」というテーマのもと、低侵襲かつ患者満足度の高い症例を前に、オンライン会場からも感嘆の声が挙がった。
質疑応答と振り返り視聴
本セミナーは生放送で行われているため、全国から多数の質問がリアルタイムで寄せられた。
ウェブ経由で全国から寄せられた質問にその場で回答する佐藤先生
・部分層弁でパーフォレーションしないコツを教えてください
・ジオメトリックスーチャーはほどける心配はないのでしょうか?
・減張切開がうまくいきません。コツを教えてください
・縫合糸、針の使い分けの目安があれば教えてください
・前歯部のインプラントの埋入方向のトレーニングについて、等8問
振り返り視聴のお知らせ
ライブ配信は終了していますが、当日見逃した方のために振り返り視聴(録画配信)を設けています。これからお申し込みいただいてもセミナーを視聴することが可能です。
※振り返り視聴は2018年12月6日(木)24:00 までの期間限定サービスとなります。
本セミナーは終了しました