12月21日の19時、DENTAL SQUARE JAPAN のライブ講演会が行われた。
DENTAL SQUARE JAPAN(以下、DSJ) は主宰の築山鉄平先生をはじめとし、米国で専門医を取得したボードメンバーにより結成されたスタディーグループ。世界水準で実践可能な日常診療の普及を目指し、複数の専門医が連携しながら緻密なカリキュラムを提供している。
今回はテーマを『世界水準の歯科臨床をあなたのクリニックへ』とし、適切で質の高い歯科臨床に必要な原理原則について、5人の専門医がその入口を開いた。
本レポートでは、クリスマス特別企画として無料公開されている講演のサマリーやライブ配信の様子を報告する。
また、2019年1月21日(月)までの期間限定で「振り返り視聴」としてセミナーのオンデマンド配信が行われているため、見逃した方もぜひご活用いただきたい(記事末尾にご案内)。
世界水準の歯科臨床をあなたのクリニックへ
冒頭、主宰の築山先生はDSJ設立の理念と日本歯科医療の課題について語る。
DSJの考える“質の高い歯科医療”とは、マスタークリニシャンによる美しい症例のみを意味するものではないという。真の患者利益の追求のため、予測医療の観点からメインテナンスを実践し、科学的根拠や先人の積み上げた定石を敬った再現性の高い日常臨床を行うことにあると強調。本日はその一端を紹介したいと続けた。
コロンビア大学の歯内療法科を修了し、米国歯内療法専門医を取得した田中利典先生。
実はエンドにおける苦手意識は、日本に限ったことではないという。スウェーデンの調査を提示し、いかにエンドが歯科医師にストレスやフラストレーションを与えやすい治療であるかを解説。今回はテーマを「歯種別エンドの勘どころ」として、根管治療時に注意が必要な歯種とそのポイントについて疫学や解剖学の観点から解説した。
米国補綴専門医の土屋嘉都彦先生は冒頭、「咬合理論」は比較的エビデンスの薄い分野であり、多くの先人の意見を集約したコンセンサスベースの分野であるという前提を強調した。その上で、日本を代表する経営者・稲盛和夫氏の格言を引用し、“複雑なことを単純に考える”ことがまさに咬合を理解する際に大切になると語る。
目指すべきゴールとしてのMutually Protected Articulation、中心位採得、診断用ワックスアップなど、予知性の高い補綴治療を実現するための知識について、分かりやすい解説が加えられた。
テキサス州ダラスで歯内療法専門医としての臨床に従事する嘉村康彦先生。今回はテキサスからライブ中継するというチャレンジングな企画となった。
テーマは「細菌目線で語る根尖性歯周炎」。通常歯内療法は、当然のことながら“術者目線”で語られる。嘉村先生はここであえて普段は敵の“細菌目線”で考察。例えば根管形成においては、いかにして歯科医師の機械的清掃から逃れ、繁殖するかという視点になる。同一の概念ながら見方を変えることで新たな知見が得られると、受講生からも目からウロコといったコメントが寄せられた。
タフツ大学卒業後、つきやま歯科医院にて補綴専門医として活躍する木戸淳太先生。
審美的な笑顔を患者さんに提供することは、全世界の歯科医療従事者共通の願いである。どの患者にも当てはまる方程式は存在しないものの、判断の拠りどころや行動の目安となる“基準”は確かに存在し、歯科治療のスターティングポイントであると木戸先生は述べる。FACE→LIP→GINGIVA→TEETHの順に精査・評価することの重要性と、そのポイントについて、文献を紐解きながらロジカルな解説が行われた。
築山先生は、国内外の文献を紐解きながら「質の高い治療とは?」「真のEBDとは?」といった問いに答えていく。
中でもスウェーデンのアクセルソン教授とリンデ教授が1981年に発表した論文は、継続的なメインテナンスの効果を証明し、その価値を高めた業績であるという。また、米ヨンショーピング市での研究と国内の疫学データを突合することで、予防だけでなく治療も同等に重要であるという仮説を検証。予防と治療が両翼として機能することで真の患者利益が追求できると強調した。
最後に、大陸の考えを取り入れながらも心持ちは日本を忘れず、日本人の文化に根付かせていく「和魂洋才」のコンセプトを地元太宰府天満宮の由来より引用し提言。「氾濫する情報に左右されることのない自律した歯科医師を目指し、共に学びましょう」と結ばれた。
質疑応答と振り返り視聴
本セミナーは生放送で行われているため、全国から多数の質問がリアルタイムで寄せられた。
ウェブ経由で全国から寄せられた質問にその場で回答するDSJボードメンバー
・フレアアップが起きる原因は何でしょうか?予防する方法があれば教えてください
・留学や高いレベルの英語能力は今後必須でしょうか?
・2級2類ケースでのアンテリアガイダンスの付与方法
・シーラーの選択方法について。BCシーラーを使っていますか?
・カリエスリスクアセスメントで使用しているシステムについて、等13問
振り返り視聴のお知らせ
当日見逃した方のために振り返り視聴(録画配信)を設けています。これからお申し込みいただいてもセミナーを視聴することが可能です。
※振り返り視聴は2019年1月21日(月)24:00 までの期間限定サービスとなります。
DENTAL SQUARE JAPAN コースのご案内
今回のセミナーに登壇したDSJボードメンバーによるコースやハンズオンセミナーが開催されています!
ライブセミナーを受講して興味を持った方や、講師の先生により詳しく話を聞いてみたいと思った方はぜひアクセスしてみてください。