このコラムは、「歯科医院経営の健全化を実現する集患」をテーマにしたものです。
特に、地域医療の観点から、地域内での「医院認知度の向上」を、看板を使用して確実に実現する方法を紹介していきます。
集客や集患は、「個人の経験や勘に頼ったこれまでの方法論」では期待する効果は見込めないことが多いのが現状です。私は、「人間の感性を科学的に読み解く再現性のあるロジカルな集客の仕組み」が必須と考えています。
これまで私自身が行ってきた「地域で選ばれる歯科医院」になるための看板戦略から、再現性が高く、かつ著しく効果が出たものを全6回に渡りお伝えしております。
第2回目は、地域の生活者に自院を「発見」してもらえる看板についてです。
地域内での認知度が低い歯科医院には、新規の患者さんの来院は望めません。
「発見されない」歯科医院は、「発見される」歯科医院に変える必要があります。
はじめに
歯科医院の看板は、地域内の通行人が見るもの。
当たり前のことですが、この当たり前のことを認識できていない歯科医院経営者は、残念ながら未だ多くいるようです。
その証拠が、長年にわたって地域で歯科医院を開業していても、地域の人たちから認知されていない歯科医院の存在です。
私の友人のX先生は、実直な性格で患者さんからの信頼も大きい歯科医師です。
彼は、地元で長年歯科医院を開業していました。20年間ずっと同じ場所で歯科医院を経営し「地域の人々の歯の健康を守ってきた」と控えめながらもそう自負していました。
あるときX先生は、自院の看板をリニューアルすることにしました。
古ぼけた看板を新しいデザインのものにすることにしたのです。その結果、以前とは見違えるような看板になりました。
新しい看板を見て、新規の患者さんが来院しました。その患者さんが帰り際にこんなことを言ったそうです。
近所に新しい歯医者さんができて嬉しい。通いやすくなって助かります
X先生はこの言葉を聞いて愕然としました。
医院は20年前からずっと同じ場所にあったんですよ。近所に住んでいながら医院の存在を知られていなかったことに、心からがっかりしました
まるでコントのようですが、これは実話です。X先生の歯科医院は、近所の住人にさえ認知されていませんでした。
その原因は、通行人に向けて自院を訴求していなかったことにつきます。このエピソードは決して特殊なものではなく、多くの歯科医院が同じ状況にあるはずです。
歯科医院の看板を「集患装置」に変える3段階確率論
通行人が看板で歯科医院の存在を「発見」し、その看板に掲示されている情報で医院の特徴を把握して「魅力」を感じ、医院に「誘導」されて来院に至る。
集患看板としての看板は、単純化すればこの3段階で新規の患者さんを獲得できるようになっています。
例を用いながら、わかりやすく図説してみます。
通行量が5000人の道路沿いに2軒の歯科医院が立地しているとします。同じ条件であるにも関わらず、A歯科とB歯科の患者数は2倍の開きがあります。それは、「発見確率」「魅力確率」「IN誘導確率」が異なっているからです。
それぞれの確率をほんの数パーセント高めるだけで、新規集患数は大きなものになっていきます。
つまり集患看板の3段階確率論とは、「発見確率」「魅力確率」「IN誘導確率」の3つの確率を少しずつ高めることで、通行人(地域住人)の感性誘導が可能になり、集患が最大化されるということです。
その第一歩となるのが、通行人や地域住人に看板を通じて医院を「発見」してもらう率を高めること。つまり、「発見確率」の向上です。
「発見確率」を高める看板とは?
「発見される」看板のためには、通行人目線で看板を考えなくてはなりません。
歩行者やドライバーは、前方を向いて移動しています。つまり、その通行人の視野に「自然に入ってくる看板」ほど、発見確率の高い看板になるのです。
看板を設置する際、通行人の視線を前提にして、看板の設置場所や角度、高さなどを考慮する歯科医院は多くありません。
通行人から「発見されない」から、地域住人の記憶に残らず、医院そのものの存在を認知されないのです。
また、「発見確率」には、歯科医院の存在と同時に、業態認知をしてもらうことも含みます。どういうことかというと、医院名だけでなく「専門領域」を通行人に訴求する必要があるということです。
「○○歯科」という屋号だけではなく、「矯正歯科」「小児歯科」という具合に、医院で大きく扱っている診療科目を看板で掲出してこそ、その診療を必要とする人に強く訴求できるわけです。
自費診療を強化しようと考える歯科医院なのに「○○歯科」と屋号だけ掲出しているだけでは、歯の痛み・腫れなどの患者さんが訪れることになり、そのような主訴診療に力が注がれ、結果として自費診療率が上がらないことにもなりかねません。
「うちの医院ではこういう診療をメインで行っていますよ」という業態認知を、通行人に明確に知ってもらう必要があるのです。
「発見確率」の高い看板事例
発見確率の高い看板事例として、北海道札幌で開業している「ニコ小児歯科」の自立看板を紹介しましょう。
同医院は、「子どもたちの明日の笑顔のために」を医院コンセプトとした小児歯科専門医院です。小児歯科専門医は、厚生労働省の認可制となっていて、全国で1200名、北海道で60名しかいません(2017年現在)。ニコ小児歯科の堀稔院長は、小児歯科専門医として、札幌で子どもたちの歯の健康を守っています。
ニコ小児歯科医院は看板を設置するにあたり、自院の専門性をシンプルにうち出すことにしました。
設置場所は敷地内の道路沿いです。通行車両からの視認性のよい場所に、2種類の自立看板(タワーサイン)を設置することにしました。
まず、通行人に一瞬で「小児歯科専門医」であることを認知させるために、動物のキャラクターで造形サインを作りました。
通行人の目に突然飛び込んでくるのは、ユーモラスなリスのフォルムです。
キャラクターのリスが道路を向いて立っています。よく見ると、それは看板…タワーサインであることがわかります。
ユーモラスなリスのフォルムの中に、「ニコ小児歯科医院」という医院名と「予防・矯正で笑顔を育てる」というコピーが描かれています。
キャラクターのフォルムをタワーサインにしたのは、遠くからでも通行人(特に通行車両のドライバー)の目に飛び込む「異形認識効果」を作るためと、その形から「小児歯科」をイメージさせるためでした。通行人は、看板を発見すると同時にこの歯科医院が小児歯科専門の医院であることを認知します。
実際このタワーサインを設置することで、同医院の認知度は、地域内で極めて高くなっています。
また、敷地内の反対側に、歯の造形看板を設置しました。この看板も通行人の視野に自然に入る「異形認識効果」が働いています。
シンプルに「歯」を前面に描き、その下に医院名のみ掲出しました。
歯の形状をした看板で、ここに歯科医院があることを通行人に「発見」させています。
「発見される看板」は、「発見される歯科医院」でもあります。
地域の人々に医院を発見してもらうことは、集患のための第一歩であり、最重要課題でもあります。
看板はそのための最適なツールなのです。
電子書籍版「野立て看板活用事例」をプレゼント
本コラムをお読みになった方限定で、電子書籍版「野立て看板活用事例」をプレゼントします。
以下のURLからアクセスしてください。(完全無料)https://www.ai-pub-book.com/presentfrfl
[お問い合わせはこちら]