患者さんに選ばれるためのエリアマーケティング 第3回「歯科ブランディング実現の第一歩は医院の魅力を発信すること」 / 小山 雅明

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経営 2019/12/04

患者さんに選ばれるためのエリアマーケティング 第3回「歯科ブランディング実現の第一歩は医院の魅力を発信すること」

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このコラムは、「歯科医院経営の健全化を実現する集患」をテーマにしたものです。

特に、地域医療の観点から、地域内での「医院認知度の向上」を、看板を使用して確実に実現する方法を紹介していきます。

 

集客や集患は、「個人の経験や勘に頼ったこれまでの方法論」では期待する効果は見込めないことが多いのが現状です。私は、「人間の感性を科学的に読み解く再現性のあるロジカルな集客の仕組み」が必須と考えています。

これまで私自身が行ってきた「地域で選ばれる歯科医院」になるための看板戦略から、再現性が高く、かつ著しく効果が出たものを全6回に渡りお伝えしております。

 

第3回目は、歯科ブランディング実現の第一歩についてです。

 

看板の目的は「自院が来院して欲しい患者さんに認知してもらうこと」

歯科医院を地域内の通行人や住人に発見してもらうだけでなく、さらに自院ならではの特徴や魅力を感じ取ってもらう必要があります。

発見しただけでは、通行人は自院の患者さんにはなってくれません。「発見した」歯科医院が自分の需要に合うどうかを、通行人や住人は無意識のうちに判断しているからです。

 

例えば、保険診療でのむし歯治療を求めている患者さんが、自費診療に力を入れている歯科医院の看板を発見したとします。そして、その看板に掲出されている情報が、歯科医院名と住所、連絡先、院長先生の名前だけであったとします。

 

患者さんの居住地域に近い場所に歯科医院が立地していることがわかった場合、その方はかなりの確率でその歯科医院に来院することになるでしょう。 

しかし、自費診療に力を入れている歯科医院に保険診療での治療を望む患者さんが来院すれば、それはお互いにとって満足のいくものではなくなります。

 

両者の不満足は、歯科医院が看板で自院の特徴や魅力を伝えていなかったことから起きたものです。 

看板は、ただ歯科医院名と住所を知らせるためにあるのではなく、自院が来院してほしいと思う患者さんに認知してもらうためにあるのです。

 

 

事例 つじむら歯科医院(神奈川県伊勢原市)

つじむら歯科医院は、THP(トータルヘルスプログラム)という、北欧式の予防歯科を取り入れた独自のプログラムに力を入れています。そのため、来院されるほとんどの患者さんはこのプログラム受診が目的です。

 

その一方で、歯の痛みや腫れの治療といった急患は少ないようです。なぜなら、保険診療での治療を望む患者さんはほぼ来院しないからです。 

その理由は、こちらの看板にあります。

 

  

銀色の地に金文字で歯科医院名を掲出しただけの看板。通行人がこの看板を見ると、瞬時に「高級感」をイメージします。看板の高級感から、この歯科医院は「自費診療をメインにしている」と、暗喩させることになります。

 

そして事実、この看板を設置してから、保険診療を望む患者さんは激減したといいます。

つまり、自院が望む患者さんだけに訴求する看板で、自院の魅力を伝えることができたということです。

 

歯科医院の「魅力」とは?

歯科医院の魅力とは、例えば、歯科医師のキャリア、歯科診療の専門性、スタッフの対応、院内環境の告知など、通行人が看板を見て「この歯科医院はこういう環境でこのようなスタッフや歯科医師が対応してくれる」という具体的なイメージを瞬時に抱かせることを意味します。

それ以外にも、院長先生の歯科診療に対する思いや診療コンセプト、あるいは、歯科医院としての地域への貢献などといった「理念」部分も、通行人には魅力として感じられます。

 

看板で歯科医院の魅力を発信するためには、情報を絞り込み、さらに一瞬で通行人に認知されるような工夫をしなければなりません。

看板は、移動する通行人が目に止める媒体です。立ち止まってじっくりと看板の内容を読んでもらうことはできません。ほんの数秒で、歯科医院の魅力が伝わる演出が重要になってきます。

 

そのためには、一例として、イラストで表現したり、コピーで発信したりといった方法があります。

 

 

イラストで表現

  

子どもたちが親しみをもちやすい動物のキャラクターをガラス面で展開することで、子どもに優しい小児歯科としてのイメージを作っています。

  

 

こちらの看板は、ファンシー系のイラストを使い「小児歯科」を表現しています。また、歯科医院独自のサービスとして、「無料送迎バス」「キッズスペース完備」を大きく謳っています。

 

 

コピーで表現 

  

「平日夜8時まで受付」「日曜診療」という文言をシンプルな形で入れることで、このサインを見た人すべてが歯科医院の「魅力」に気づいてくれます。

 

 

子どもにとっての咬合の重要性や、「安心・安全な治療」を心がける歯科医院の取り組みを、わかりやすい言葉で掲出しています。

 

歯科医院の魅力を発信する意味

先生ご自身がひとりの患者として歯科医院を選ぶとしたとき、医院や歯科医師、スタッフの魅力が感じられる歯科医院と、そのような情報がまったく出ていない歯科医院では、当然前者の方を通院先として選ぶ可能性が高くなるでしょう。

 

通える距離にそのような歯科医院がない限界集落のようなケースは別ですが、全国で歯科医師数が10万人を超えた現在、どの地域であっても複数の歯科医院が立地しています。

そのような現実を見ても、歯科医院のコンセプト、顔の見える歯科医師・スタッフ、想像しやすい院内環境、歯科医院独自の情報などを看板として簡潔に訴求する方が、確実に患者さんから選ばれやすくなるものです。

 

これからの歯科医院には、ブランディングは避けては通れない課題となっていきます。歯科医院のブランディングは次の公式で実現できます。 

「認知度」×「好感度」=ブランド力

 

認知度は、前回紹介した「発見確率」の向上で可能になり、好感度は、これまで述べてきた「魅力確率」アップのための取り組みで向上していきます。

前回の記事はこちら(第2回「発見されなければ集患できない ー地域の生活者に自院を「発見」してもらえる看板とは?」)

 

歯科医院のブランディングを実現するためにも、看板による魅力発信は欠かせません。 

 

 

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前回の記事はこちら

第1回「新患数を大きく増やす診療圏適正化」

第2回「発見されなければ集患できない ー地域の生活者に自院を「発見」してもらえる看板とは?」

執筆者

小山 雅明の画像です

小山 雅明

工学博士

アイワ広告株式会社 代表取締役社長

集客サインコンサルティングの第一人者として、有名外食チェーン店の集客アドバイザーをはじめ、数多くの飲食店、小売業など、業種を問わずV字回復に導く。これまでに、11,000件を超える企業・店舗を繁盛店に導いている。
「集客看板の3段階確率論」「看板偏差値」などの独自理論を作り出し、集客を感性工学による科学的研究から押し進めている。
NHK、テレビ東京、日本テレビ、TBSなどの番組でたびたび取り上げられ、雑誌・新聞メディアでの連載や取材記事多数。
「人の心は色で動く」(三笠書房)、「看板の魅力で集客力がアップする」(かんき出版)、「看板偏差値」(日労研)、「一冊の本で人生が変わる」(エーアイ出版)をはじめ、20冊以上の著書がある。

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