10月25日、都内某所にて、千葉を中心に18医院を展開する医療法人佑健会(拠点:千葉県習志野市、理事長:河野恭佑、以下「佑健会」)、埼玉を中心に5医院を展開する医療法人奉優会(拠点:埼玉県川口市、理事長:吉田元、以下「奉優会」)、両法人統合の調印式*1が開催された。
*1:調印式とは、締結手続における一段階として代表者が合意に達した書面にサインをするための式典こと。
日本全国23箇所に歯科医院を展開する、日本最大級となる医療法人の誕生に、歯科界における各企業の取締役など、多くのゲストが見届け人として駆けつけた。
式典では、両法人の代表である河野恭佑理事長、吉田元理事長による調印の儀が滞りなく執り行われた。
調印書にサインをする吉田先生(左)と河野先生(右)
株式会社日本テクノロジーベンチャーパートナーズ代表の村口和孝氏よる祝辞では、適切にファイナンスを行い事業規模をスケールアップさせていくという、一般社会においては当たり前の概念を歯科医療に当てはめることの価値。その視点から見た際に、今回の法人統合がこれからの日本の歯科医療界において持つ意味が語られた。
統合の経緯
奉優会 吉田元理事長コメント
DX化、新しい診療圏の確保、我々が進めてきた専門医制度。これからの時代にこれらを推し進めていく中で、小規模医院におけるCS経営というものはおそらく限界を迎えると思います。
今回の合同合併は、これまでの扉を開いて業界の進歩における新しい歯科業界のスタイルとなり、結果として患者様により良い治療を提供できることになると確信し、奉優会は、佑健会が持つ高い医院運営力とその理念に賛同、合流することを決意いたしました。
私自身、一般歯科における技術はもちろん、インプラント認定医や、各社公認インストラクター等の資格を取得するなど、インプラント治療における高い技術を取得して参りました。同法人の所属医師も同様に高い技術を所持しており、その技術を佑健会に還流することで、法人全体のさらなる医療技術向上の追求が可能となります。
思い返せば、8年前に妻と2人でモアナ歯科を開業し、総勢100名のスタッフと、いっときも気を抜かずに走り抜けてきました。振り返るとヒト・モノ・カネ・情報、特にヒトに恵まれた8年で、最高の仲間に出会い、本日を迎えることができました。ここにいる全ての方に感謝申し上げます。
佑健会 河野恭佑理事長コメント
佑健会は、「患者さま一人ひとりとの関係をつくる」ことを基本理念に、一人ひとりに最適な治療を提供し続けることを追求し続けてきました。
そして、より多くの人にその治療をお届けするためには、治療を求める患者様の近くに医院を開設する必要があると考え、3年で100医院から150医院を目標に、日本一の大型医療法人へと展開する計画です。
僕は吉田先生と出会って、久しぶりに感動をしました。これから先、奉優会と共に戦っていくことは、佑健会にとって大きなチャンスだと思っています。
歯科は国民の一番近くにある素晴らしい診療科です。先人が大切にしてきたこの業界を引き継いで、新しい形を作り、それを認めてもらって患者さんに還元をしていく。やるからには日本一、世界一。皆さんのお力を借りながら加速していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
***
う蝕が社会問題となりはじめ、歯科医療の充実が叫ばれた1960年代。国は歯学部の新設を推進し、現在の歯科医院数は68,000軒を超えるまでとなった。
結果として、良質な歯科医療が全国で広くあまねく提供され、8020達成者は5割を超えている。これは、先人の弛まぬ努力の結果であるとともに、現在に至る歯科医療機関のあり方が正解肢であったことの現れだ。
一方で、時代の変化とともに、疾病構造や人口構造は大きく変化した。国策も、超高齢社会に対応するため、地域包括ケアシステムを構築し、歯科医療機関の大規模化を推進している。
歯科医院の大規模化は、多様化する患者ニーズに対応するとともに、他産業との競争力を高め、優秀な人材を歯科に迎え入れるための一つの手段たりうる。
個の歯科医師が医院を守ってきた一時代は終わりを告げ、歯科医師同士で共創する時代が幕を開けようとしているのかもしれない。 そのときには、今回の統合は、時代の移り変わりを象徴する出来事になるのであろう。同法人の今後の躍進に期待したい。
執筆者
WHITE CROSS編集部
臨床経験のある歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士・歯科関連企業出身者などの歯科医療従事者を中心に構成されており、 専門家の目線で多数の記事を執筆している。数多くの取材経験を通して得たネットワークをもとに、 歯科医療界の役に立つ情報を発信中。