日本小児歯科学会 第59回大会「新しい時代の小児歯科 維新の風は南から」の画像です
レポート 2021/06/17

日本小児歯科学会 第59回大会「新しい時代の小児歯科 維新の風は南から」

WHITE CROSS編集部
Todoに追加しました
マイページのTodoリストを確認すると読み返すことができます。
Todo数が上限に達しました
追加済みTodoを完了してください。
エラーが発生しました
解決しない場合はお手数ですが運営までお問い合わせください。
Todoリストから削除しました
Todoリストに戻しました
エラーが発生しました
解決しない場合はお手数ですが運営までお問い合わせください。
お気に入り

2021年6月6日より15日間、日本小児歯科学会の第59回学術大会がWeb開催されている。主管は鹿児島大学。

日本小児歯科学会は、会員数が4,800人を超え(2021年3月末現在)、学術大会も59回目となる歴史と伝統ある学会。学術大会を全編Web開催とすることは今回が初めての試みとなる。事前登録は1,200名に登り、現在1,800人以上が参加する盛況な大会が開催中である。

 

本記事では、6月6日に先行配信された講演のレポートおよび大会の概要を報告したい。

 

大会テーマ「新しい時代の小児歯科、維新の風は南から」


大会長 山﨑要一先生(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 小児歯科学分野教授)の開会式挨拶

 

大会長を務める山﨑要一先生(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 小児歯科学分野教授)は開会式で次のように挨拶した。

 

新型コロナウイルスの感染拡大の勢いが衰えないことから、Web開催とすることを決定し、準備をして参りました。小児歯科学の最新トピックスと小児歯科臨床で大切なマインドに焦点を当てて企画しております。
鹿児島でお会いできないことは誠に残念ではございますが、これまで様々なご事情で現地参加が難しかった皆様にも、ご自宅などのリラックスした環境下で学術大会をお楽しみいただけるという新たな可能性も期待されています。

 

特別講演 

 ◆特別講演1「スタンフォードにおける睡眠医学 : 小児歯科領域の重要性」

西野精治先生(スタンフォード大学医学部精神科/スタンフォード大学睡眠生体リズム研究所)

 

 

 

ベストセラー『スタンフォード式 最高の睡眠』の著者として知られる西野精治先生。

 

睡眠医学の歴史は実は浅く、1950年代にレム睡眠が発見されたことに端を発するという。 米国初の睡眠障害外来を設立したスタンフォード大学は、以降中心的な役割を果たしてきた研究機関だそうだ。

 

睡眠医学について、知られていない健康被害や経済損失などといったトピックをもとに易しく解説し、特に小児の発育段階において睡眠が重要であることを文献的に示された。さらに、米国における歯科医院を含んだチーム医療も紹介した。

 

 

 ◆特別講演2「口腔環境とがん~予防は小児歯科から.未来のがん患者を増やさない為に~」
杉浦剛先生(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 顎顔面機能再建学講座 顎顔面疾患制御学分野)

 

 

 

口腔外科および口腔がんを専門とし、鹿児島大学病院の副病院長を務める杉浦剛教授。

 

参加者に口腔がんを自分ごととして捉えてもらえるよう、冒頭にショッキングな症例を提示。普段なじみのない口腔がん臨床を鮮烈に印象付けた。その上で、口腔がんの疫学や前がん病変を解説。がんと口腔細菌叢・腸内細菌叢の関係性といった最新のトピックについても分かりやすく軽快なテンポで講演された。

シンポジウム

◆シンポジウム1「口腔機能発達不全症の基礎と臨床」

「子どもの口腔機能の診かた」 田村文誉先生(日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック)

「舌圧検査は役に立つか?」 津賀一弘先生(広島大学大学院医系科学研究科先端歯科補綴学)
「小児歯科臨床における口腔機能発達不全症」 稲田絵美先生(鹿児島大学病院発達系歯科センター小児歯科)

 

 

 

平成30年に保険収載された「口腔機能発達不全症」は、従来の歯科臨床において主流だった形態学ではなく、機能を診る必要がある。シンポジウム1では、3名の歯科医師がそれぞれの立場や経験から、口腔機能発達不全症の診断と治療的介入に必要な知識について講演した。

 

 

 ◆シンポジウム2「小児歯科医療における咬合治療の灯を絶やさないために」

「企画主旨および基調講演」 山﨑要一先生(第59回日本小児歯科学会 大会長)
「私の経験している咬合治療の壁と光」 枡富由佳子先生(医療法人枡富歯科医院)
「小児歯科ブームの裏でーこれから行うべき咬合治療とはー」 石谷徳人先生(イシタニ小児・矯正歯科クリニック)

 

 

 

小児歯科医療における基本姿勢は、う蝕や歯周疾患などの単なる疾患対応型の医療提供に止まることなく、包括的なアプローチを行うことで、健康な歯列と咬合を育成し、より良い口腔、ひいてはより良い人生を送るための支援をすることにあるという。基調講演での症例提示に加え、2名の現役開業歯科医が、小児期から咬合治療を行う重要性を語り、その実際について解説した。

 

教育講演

◆「すべての子にチャンスを!~心の復興を求めて!~」
三浦一広先生(NPO 法人奄美青少年支援センター「ゆずり葉の郷」所長)

 

 

 

奄美大島在住で、青少年支援センターの所長と奄美合気道拳法の師範を務める三浦氏。非行、家庭内暴力、ひきこもり、不登校など様々な課題をかかえる青少年の支援活動に、30年以上取り組んできたという。その支援者は3万人、年間の相談件数は3,000件を超える。

 

三浦氏は、入所する子どもたちと向き合い心の飢えを解消。少年警護隊を組成し、仲間との交流や地域社会への貢献を通して自信や自尊心を回復していった。青少年の悲痛な実態と、奄美の奇跡とも言われる大逆転劇を迫真の言葉で語った。

 

その他の多彩なプログラム

先行配信された3つのプログラム以外にも、115のポスター展示、15の商社展示、認定医セミナーや共催セミナーなど、多彩なプログラムが用意されている。

 

Web開催ということで、好きな時間や場所でじっくりと学術に触れることができる、またとない機会になっている。


ポスター展示一覧(実際のサイトより)

 

 

***

 

 

幕末、日本近代化の礎を築いた維新の志士たちは、薩摩藩を中心に立ち上がり、「明治維新」という革命のうねりをつくった。

 

現在、疾病構造や人口構造の変化、患者ニーズの多様化により、臨床歯科医療は大きな変革期を迎えている。
Web開催という風のもと、鹿児島の地から届く新しい時代の小児歯科に触れてみてはいかがだろうか。

 

参加申込

第二次参加登録 6月20日(日)24:00まで

○ 歯科医師 13,000円

○ 歯科衛生士・その他 7,000円

 

クリックで参加登録ページへ

執筆者

WHITE CROSS編集部

WHITE CROSS編集部

臨床経験のある歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士・歯科関連企業出身者などの歯科医療従事者を中心に構成されており、 専門家の目線で多数の記事を執筆している。数多くの取材経験を通して得たネットワークをもとに、 歯科医療界の役に立つ情報を発信中。

記事へのコメント (0)

人気記事ランキング

おすすめLiveセミナー

Top / ニュース / 記事一覧 / 日本小児歯科学会 第59回大会「新しい時代の小児歯科 維新の風は南から」