象牙質知覚過敏の実態はあまり明確になっておらず、再発の可能性も高いことから、臨床で対処に困る疾患の一つです。
2021年7月13日に開催されたシュミテクトWeb講演会では、日本大学歯学部 保存学教室修復学講座教授 宮崎真至先生に、「象牙質知覚過敏症を科学する」と題してご講演いただきました。
象牙質知覚過敏の痛みの発生のメカニズムに関する最近の知見や、知覚過敏の対処法をお話しいただきましたのでご紹介いたします。
Tooth Wear(歯の損耗)とは?
近年注目されている言葉に Tooth Wear、歯の損耗という概念があります。
Tooth Wear はう蝕以外の原因による歯質損失の総称であり、咬耗や摩耗などの機械的な損耗、非う蝕性歯頸部歯質欠損(NCCL)、酸蝕だけでなく、象牙質知覚過敏症を含むこともあります。
これらは単独で起こるのではなく複合して起こる疾患であるため、知覚過敏の原因には、食生活や咬合を含めた様々な可能性を考慮する必要があります。
酸蝕症を防ぐちょっとした食事の工夫
Tooth Wear のなかで、歯頸部に限局して発生したものを特にNCCLと呼びます。主な原因として、アブフラクション、摩耗、酸蝕があります。
酸蝕の外因性の原因の一つとして、酸性度の高い飲食物の摂取が挙げられます。
一般的に炭酸飲料やアルコール飲料はpHの低いものが多く、食事指導の際にはそれらの摂取を知覚過敏症状が気になる間は控えることも大切です。
カルシウムは歯の脱灰を抑制する効果があることから、ご講演ではチーズを食べながらワインを楽しむといった工夫が紹介されていました。
象牙質知覚過敏もTooth Wear の一つ
Tooth Wear の一つである象牙質知覚過敏症は、様々な刺激に対する反応として露出象牙質に誘発された短く鋭い痛みを特徴とします。
実態があまり明確ではなく、再発の可能性も高いことから、臨床では対処に困る疾患です。
象牙質知覚のメカニズム
象牙質知覚のメカニズムは、主に、
①象牙芽細胞そのものが受容器として働き、歯髄に存在する神経線維に伝導する
②象牙質内に神経終末が存在し、刺激に対して反応する
③象牙細管内の組織液が刺激によって動きを生じ、象牙質付近に存在する自由神経の終末を刺激する(動水力学説)
という3つの考え方があります。
現在は③の動水力学説を中心としながらも、原因は一元的ではなく多元的であるとする考え方が主流です。
知覚過敏抑制材の使い方のポイント
象牙質知覚過敏が発症してしまった場合は、知覚過敏抑制材の使用を考慮します。
知覚過敏抑制材には、大きく分けて①知覚の鈍麻、②組織液の凝固、③象牙細管の封鎖(蓋)の作用を持つものに分類できますが、いわゆる「薬が効かない」という事態を避けるためにも①から③の順番で使用することが重要です。
本Web講演会のダイジェスト版動画をこちら(リンク挿入)よりご視聴いただけます。
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