現役歯科医師が口腔内スキャナー『Aoralscan3』を臨床で使ってみた!使ったからこそわかる本当のレビュー / 遠藤 眞次

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臨床 2024/10/25

現役歯科医師が口腔内スキャナー『Aoralscan3』を臨床で使ってみた!使ったからこそわかる本当のレビュー

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・ジャパンクオリティ株式会社の『Aoralscan3』の実力を、現役歯科医師が徹底レビュー!

・『Aoralscan3』だからこそできることとは?

 

この記事は、デジタル・技術>口腔内スキャナー・3Dプリンター

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はじめに

この度筆者は、世界30,000台以上の導入実績がある口腔内スキャナー(IOS)、ジャパンクオリティ株式会社のAoralscan3を使用する機会を得たので、使用感のレビューをさせていただきたい。

 

IOS未導入の先生方にとっては、数あるIOSから、どの製品を導入するか迷ってしまっている方も多いのではないだろうか。本レビューが製品選択の一助になれば幸いである。

 

Aoralscan3の基本性能

Aoralscan3本体は240gと軽量で、スリムなデザインと相まって口腔内での操作性は良好だ。キャリーケースの大きさも小型で、持ち運ぶ機会がある先生方にとっては助かるだろう。

 

キャリーケース

キャスターは付いていないが、コンパクトで持ち運びが容易

 

ワンドには加熱機能が備わっており、スキャン中のチップの曇りを防止してくれる。ワンドチップは100回までオートクレーブ滅菌が可能だ。

 

スキャン深度は22mmと、補綴修復物のスキャンには十分な深度。加えて、粘膜面の印象にも特化しているのはAoralscan3の特徴だろう。

 

保存したデータはShining 3D Dental Cloudで管理されており、院外からでもブラウザーを経由して保存したデータにアクセスできる。Shining 3D Dental Cloudもシンプルなインターフェイスで、初めてのユーザーでもまったく問題なく使用できるだろう。

 

操作画面

Shining 3D Dental Cloudの操作画面はシンプルで使いやすい

 

ジャパンクオリティ株式会社のAoralscan3の特徴は本稿だけでは書ききれないため、「口腔内スキャナー選ぶならコレ一択!巷で噂の『Aoralscan3』の魅力4選」も、ご一読いただきたい。

 

筆者のイメージとしては、十分な性能を持ちながらもシンプル&コンパクトで、IOS導入のハードルを下げてくれる製品だ。

 

歯周病治療での使い方

歯周病治療でのAoralscan3の活用法を二例提示する。

 

まずはOHIにおける活用である。染め出し後の状態をAoralscan3でスキャンすることで、磨き残し部位を視覚的に患者に伝えられる。大臼歯部や前歯部舌側など、染め出したとしても患者に見えにくい部位では、特に優位性を発揮する。

 

どのIOSでも染め出し後のスキャンは可能であるが、Aoralscan3の優れた点は、口腔内の3Dデータを患者のスマートフォンに気軽に共有できることである。

 

スマートフォンの画像

画像は染め出し後のスキャンデータではないが、患者のスマートフォンにはQRコードやURLを用いて3Dデータが共有可能

問題点や治療内容を共有できるレポート作成機能も付随する

 

プラークコントロールのメインは自宅でのセルフケアである。自宅で自身のブラッシング苦手部位を、3Dで確認できることは最高のOHIではないだろうか。

 

次に早期接触部位の確認である。歯周病治療では炎症のコントロールに加え、力のコントロールが必要と考えられている。早期接触は異常な咬合状態ということができるが、患者自身が早期接触を自覚していることは少ない。

 

咬合圧モードで患者に現状を示すことで、染め出しと同様に視覚情報で早期接触があることを伝えられる。どのような治療でも、まず問題点を患者に理解してもらうことがスタートである。

 

咬合接触がカラースケールで表示

咬合接触がカラースケールで表示されており、直感的に咬合接触の有無を確認できる

 

う蝕治療での使い方

う蝕治療とIOSといえば、保険適用されたCAD/CAMインレーの光学印象だろう。筆者もAoralscan3による光学印象からCAD/CAMインレーを二例作製した。

 

作製例

右上4にCAD/CAMインレーを装着

 

適合精度としては従来の寒天アルジネート印象と大きな違いは感じられなかった。光学印象にかかった時間は、片顎の「本印象+対合印象+咬合採得」で約1分。メーカーが公表している片顎20秒以内ではスキャンできていないが、慣れればもっと早くスキャンできることを考えると、メーカーの公表値が偽りのない値であることがわかる

 

クリアランスやマージンラインの確認もできることはいうまでもない。加えて着脱方向も自由に設定できるため、形成後に一度スキャンをしてアンダーカットがあれば、すぐに再形成と再印象ができる点はIOSならではだろう。

 

咬合接触がカラースケールで表示

画像ではわかりづらいが、本ケースでは約1.5mmの厚みが確保されていることが確認できる

 

欠損補綴治療での使い方

ブリッジ

筆者はAoralscan3の試用期間にブリッジのケースがなく、実際にスキャンする機会には恵まれなかった。

 

メーカーの公式サイトには6ユニットブリッジのケースが掲載されている。何ユニットまでであれば、IOSで光学印象が可能かは議論があるところではあるが、ブリッジにも十分対応可能ということだろう。

 

Aoralscan3にはマージンの自動描出機能も備わっており、手動での修正も可能である。IOSによる光学印象では確実な歯肉圧排が必要であるため、その点はAoralscan3に限らず注意が必要だ。

 

 

義歯

筆者がもっともAoralscan3の有用性を感じたのは義歯臨床である。

 

粘膜面の印象では、歯とは異なりマッチングポイントが少なく、IOSがスキャン中に迷ってしまうことも少なくない。しかし、Aoralscan3では粘膜面のスキャンも歯のスキャンとさほど変わらない印象

 

マッチング機能を使用した部分床義歯の精密印象

「Aoralscan3のマッチング機能を使用した部分床義歯の精密印象」口腔前庭の最深部まで印象採得できている

鉤歯の歯肉側は床を設定しないため、印象は短い

 

さらに驚く点は、粘膜面マッチングにより咬合床を用いた咬合採得や機能印象がデジタルで行えることだ。

 

口腔内のスキャンデータとマッチングさせる

咬合床とシリコン印象材(GC エクザデンチャー)を用いて機能印象を行ったのち、口腔内のスキャンデータとマッチングさせる

 

筆者は以前よりIOSによる光学印象から部分床義歯の作製を行っていたが、機能印象を反映させた作業模型製作だけはアナログな手法に頼らざるを得なかった。

 

機能印象を反映した模型

従来では樹脂模型にオルタードキャスト法により石膏を注入し、機能印象を反映した模型を作製する必要があった(担当技工士:横浜トラスト歯科技工研究所 鈴木啓太氏)

(参照:鈴木啓太,藤田耕介,遠藤眞次.IOSにより採得された口腔内データから製作するデジタルデンチャーの実際. 歯科技工 2023年11月号.医歯薬出版.

 

ジャパンクオリティ株式会社のAoralscan3の登場により、咬合床の作製は従来通り必要ではあるものの、石膏を用いたオルタードキャスト法による模型製作は不要になった。

 

Aoralscan3による概形印象から3Dプリンターで咬合床のベースプレートを作製することも可能であり、waxをベースプレートに築盛する作業はアナログではあるものの、部分床義歯のフルデジタル化が一歩前進したことは間違いない

 

まとめ

IOSの進化は目覚ましく、どのメーカーのIOSであっても、スキャンスピードが遅くてイライラすることは格段に減ってきた。

 

Aoralscan3は、汎用性とコスパの良さを両立させた製品だ。筆者個人の感想ではあるが、義歯臨床でもIOSを活用したい場合はAoralscan3が最善の選択であるように感じる。

 

WHITE CROSSでは、ジャパンクオリティ株式会社のAoralscan3を30万円以上安く購入できる、無料の特別動画を公開中だ。割引を受けられる期間は2024年11月30日(土)までとなっているので、導入を検討している先生方はぜひチェックしてほしい。

 

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執筆者

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遠藤 眞次

歯科医師

医療法人社団MEDIQOLデンタルクリニック神楽坂 院長

臨床のかたわら、歯周治療やインプラント治療についての臨床教育を行う「Dentcation」の代表を務める。他にも、歯科治療のデジタル化に力を入れており、デジタルデンチャーを中心に、歯科審美学会やデジタル歯科学会等で精力的に発表を行っている。

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