7月4日の20時より、宮崎真至先生のweb講演会が開催された。
講師の宮崎真至先生は日本大学歯学部保存修復科の教授を務めている傍ら、多数の講演や研究や執筆活動を行う、コンポジットレジン修復のトップランナーの一人だ。
今回は『コンポジットレジン修復のサイエンス & テクニック』と題し、コンポジットレジンを用いた歯冠修復について、「歯質接着」「審美を実現する基礎知識」および「臨床テクニック」をキーワードとして講演した。とくに、テクニックに関してはライブデモを行いながら、臨床の場で要求される多彩な修復操作について解説を行った。
本記事では講演のサマリーやライブ配信の様子を報告する。
また、8月31日(土)までの期間限定で録画配信が行われているためご活用いただきたい(記事末尾にご案内)。
コンポジットレジン修復のサイエンス & テクニック
「上手い」「きれい」だけでなく、「サイエンス」。サイエンスがあるからこそテクニックが活かされる、というのが私の話のテーマになっています。サイエンスとテクニックのバランスがあってはじめて、臨床に活かされるような手技、予知性の高い修復ができるのです。
冒頭、修復治療成功のための哲学について語る宮崎先生。
著書『コンポジットレジン修復のサイエンス & テクニック』がベストセラーとなったときから一貫しているスタンスだ。
宮崎先生はまず、接着の歴史や理論について、軽快なテンポで易しく解説。
リン酸エッチングが開発されてから、長い歴史を経て、現在ではセルフエッチングやユニバーサルアドヒーシブなど様々な接着システムが確立されていることを振り返った。
さらに、エナメル質や象牙質の構造の違いや各システムの接着機構について、写真やイラストを用いて丁寧に解説。
重要だがついスキップしてしまいがちな内容について、楽しみながら短時間で理解できるのが嬉しい。
次に、レジンのサイエンスについても解説。
「製品の写真を撮るのが仕事なんです」と語る宮崎先生は、あらゆるコンポジットレジン材料を熟知し、その特徴への造詣が非常に深い。
解剖学的形態やシェードを合わせる勘所、ブラックトライアングルを埋めるテクニック、磨耗が起こるメカニズムや、術後知覚過敏が起こるメカニズム、隣接面破折が起こる理由と対処法など、臨床家が気になるポイントについて「サイエンス」の観点から余すことなく解説が加えられた。
デモンストレーション 1級窩洞の充填方法
まず1級窩洞について、デモンストレーションを行いながら解説した。
1級窩洞は咬頭を1個ずつ作っていくという方法があります。レジンコーンテクニックやドロップコーンテクニックと呼び、技工でいうところのワックスコーンテクニックのレジン版です。チップ先端をマージンに置いて、一つ近心咬頭をつくります。その次に遠心咬頭もつくります。斜走隆線を意識していきながら、つくった2つの咬頭の間の溝の位置を調整します。フロアブルレジンでも溝はできます。ペーストとペーストの山で、溝をつくっていくというテクニックです。
デモンストレーション 2級窩洞形成の充填方法
同様に、2級窩洞や5級窩洞の充填方法のデモンストレーションも行った。
どのデモンストレーションも、使用する機材の紹介があり、明日からすぐ臨床で実践したくなるものばかりであった。受講生の先生からも、「宮崎先生のテクニックに感動した」「自分でも応用できそう」などの感想が寄せられている。
普段使用しているインスツルメントや拡大鏡が用いられた
エナメル質や象牙質の構造、またエッチングシステムやレジンの機構を改めて理解することで、今までなんとなく選んでいたコンポジットレジン材料や、なんとなく行っていた前処理に対して、よりしっかりと目的意識を持って取り組めるようになるのではないだろうか。歯質や材料の知識を持ち、材料を適切に使用した上で、デモンストレーションで行われたテクニックを今後実践していきたい。
宮崎先生は最後に、「見て学ぶことも大切ですが、実際に自分でやってみて学ぶということが重要です。実際に自分で手を動かすことによって、何か明日の臨床のヒントが得られたり、何かひらめくものがあったりするはずです。その『何か』を私たちは求めているのですから。」と述べ、講義を終えた。
録画視聴のお知らせ
第1回の配信は終了していますが、見逃した方のために録画配信を設けています。第2回(前歯部編)の配信は7月31日(木)20:00〜です。これからお申し込みいただいても第1回、第2回両方のセミナーをご視聴いただくことが可能です。
※振り返り視聴は2019年8月31日(土)24:00までの期間限定サービスとなります。
※期間内であれば何度でもご視聴いただけます。
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