スポーツで生じる口腔内外傷を防ぐ手段として、マウスガードの装着が認知されつつあります。2022年6月29日、マウスガードの必要性や、ケアの指導などについて、大阪歯科大学歯科保存学講座准教授 吉川一志先生にご講演いただきました。
その内容の一部をご紹介します。
スポーツにおけるマウスガードの重要性
最初に、吉川先生は日本スポーツ振興センターによる障害見舞金給付状況の報告をもとに、スポーツ時の口腔内外傷の多さを示しました。本報告における、学校のクラブ活動などで生じた各障害の件数として、口腔内外傷である「歯牙障害」は「視力・眼球運動障害」、「外貌・露出部分の醜状障害」と並ぶ多さとなっています。
こうした口腔内外傷の多さもあり、さまざまなスポーツでマウスガードの装着が推奨されるようになってきました。
装着感・快適性に関するアンケート調査
マウスガードは次の3種に大別されます。
① ストックマウスガード(市販され、選手自身での調整不可能)
② マウスフォームドマウスガード(市販され、ある程度選手自身で調整可能)
③ カスタムメイドマウスガード(歯科医師が一人ひとりの歯列にあわせて作る)
競技種目・特性に応じた作製や、優れた適合性を目指せるカスタムメイドマウスガードについて、吉川先生が高校野球日本選抜チームの選手92名にアンケート調査を行ったところ、24%の選手が「会話しにくい」と回答したそうです。野球は声を掛け合って選手間の激突を防ぐため、会話を妨げない調整の必要性を吉川先生は強調しました。
ほかに、違和感がある、吐き気がする、呼吸しにくいなどの意見が出ましたが、一方で「調整で楽になってきた」「怪我を防ぐのであれば調整して使っていきたい」など、前向きな意見もいただけたといいます。
こうした研究が進められるとともに、スポーツマウスガードなどの口腔内装置を使用するアスリートもまた増えてきています。
間違ったケアで汚れがたまりやすくなる
マウスガード(マウスピース)を清潔に使うための課題として、使用後のケアが挙げられます。ニオイなどの原因となる汚れ・細菌は、装置の凹凸や細かい構造に隠れると水やブラシだけでは除去が難しくなります。
熱湯消毒や、歯磨き粉と歯ブラシでの清掃を考える選手もいますが、熱湯はマウスガード(マウスピース)の変形、歯磨き粉と歯ブラシは細かな傷の原因となります。吉川先生が行った調査では、マウスガードの素材を歯磨き粉や、硬い歯ブラシを用いて磨くと適正な力でも傷がついたといいます。傷がつくと汚れや細菌の温床となりかねません。
1日の汚れを落とすための2つの洗浄方法
推奨される洗浄方法として挙げられたのが、ハンディータイプの除菌・洗浄スプレーと、ポリデントデンタルラボのような錠剤タイプです。スプレーだけだと少しずつ汚れがたまるため、錠剤タイプでしっかり1日の汚れを取ることが大切です。錠剤タイプはマウスピース・リテーナー専用のものもあり、除菌率はスプレータイプと同等の99.9%です。
錠剤タイプですみずみまできれいにするためには正しい使用が大切です。軟らかい素材が変形しないよう時間を決めて浸したのち、専用のブラシに洗浄液をつけて優しく磨き、流水でよくすすいでいただくよう、お話しするのがよいそうです。
マウスガード(マウスピース)を清潔かつ気持ちよく使っていただくため、錠剤タイプの毎日の使用を患者さんに薦めてほしいと、先生はお話しされました。
マウスピース(ガード)・リテーナー専用洗浄剤 デンタルラボ
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