マウスピース(スプリント)は、口腔顔面痛および、その分類のひとつである顎関節症に加え、睡眠時ブラキシズム、睡眠時無呼吸症候群など、多くの症例で使用されています。
このたび、2023年2月21日にマウスピースの作製方法・使用方法について、徳島大学大学院医歯薬学研究部 顎機能咬合再建学分野教授 松香芳三先生にご講演いただきました。
同講演のポイントを紹介いたします。
マウスピースの作製方法
松香先生は作製方法について、様式、印象採得、咬合採得、咬合接触面、調整など、各側面から解説されました。
装着様式は上顎型にエビデンスが多いのですが、下顎型も長期かつ多数の患者への実績が報告されていることから、どちらでも良いとされています。
印象採得は既製トレーとアルジネート印象材の単純印象で実施すること、咬合採得はワックス系あるいはシリコーン系の材料を用い、習慣性咬合位で実施することを挙げています。指導釘を用いて必要量の咬合挙上を行う際は、フェイスボウトランスファーを用いて設定した咬合器の使用が望ましいです。
咬合接触は両側の小臼歯・大臼歯が均等に接触し、接触面が咬合平面に平行かつフラットであること、下顎の側方滑走運動時に犬歯誘導あるいはグループファンクションを付与すること、平衡側臼歯が下顎偏心位によって離開することがそれぞれ望ましいとされています。
スプリントの咬合調整時の下顎位は、習熟していれば中心位や筋肉位などを用いても良いが、初期治療では習慣性咬合位での調整でも良いとし、調整時の患者の姿勢は座位が望ましいと話されました。
スプリントの材質は加熱重合レジンや、流し込みレジン、光重合型レジンが望ましく、松香先生はその中でも加熱重合レジンを推奨なさっています。あわせて短期使用以外では熱可塑性プレートを用いた吸引成型法による作製は望ましくないとされています。
また、クラスプの設置については、十分な精度が得られる場合は維持力がコントロールしやすくなり、特に夜間義歯では必要になることが多いとお話しされました。
装着後の調整間隔は3日~1週間の場合もありますが原則2週間。大幅な調整はスプリント咬合面に即時重合レジンを築盛し、装着・咬合させて余剰なレジンを削除調整しても良いとされています。
マウスピースの使用方法
初期治療で24時間使用すると、咬合位の変化や歯の移動が生じる可能性があることから、夜間装着が原則といいます。
松香先生は、非装着時の管理については水中保管、流水下でのブラッシングとともに、専用の洗浄剤の使用も推奨されました。洗浄剤のデンタルラボに約5分間漬けることで99.9%の細菌・真菌を取り除いた報告や、傷をつけることなく、歯磨剤より約10倍の細菌を除去できた報告も紹介されています。
マウスガード全利用者1400万人のうち、洗浄剤の使用割合は4分の1以下といわれます。使用しない主な理由のひとつが「歯科医師、歯科衛生士に推奨されなかった」、使用している理由の半数が「歯科医師の推奨」であることから、松香先生は医療関係者による推奨の大切さを述べられました。
マウスピース(ガード)・リテーナー専用洗浄剤 ポリデント デンタルラボ
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