・クラプロックスを歯科医院で取り扱うなら必ず知っておくべき!患者さんの口腔内の健康を一生涯維持するための「iTOP」の概念とは? ・患者さんが喜ぶ・共感できる・継続できる!最強のOHIが学べるiTOPセミナーの内容を徹底レポート。 |
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はじめに
株式会社ヨシダ東京本社では5月12日、「iTOPイントロダクトリーコース」が開催された。
iTOPとは、「individually Trained Oral Prophylaxis」の略称であり、世界各国で実施されているTBIの実習を含む講習会。今回はオールスマイルデンタルクリニック分院長の菅原美里先生と、フリーランス歯科衛生士の前田奈美さんが講師を務めた。
クラプロックスの歯ブラシは、プラークが落ちないから好きじゃない。
なぜクラプロックスに人気があるのかわからない。
いまこんな風に考えている歯科医療従事者にこそ受けていただきたい、患者さんの一生涯の健康を守るブラッシング指導とサポートの方法を学べるセミナーを、ダイジェストで紹介する。
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iTOPの概念に沿った歯ブラシがクラプロックス
フランスのリヨン大学に勤めていた菅原美里先生は、現地でiTOPやクラプロックス製品に長年触れ続け、日本にその素晴らしさを広めた第一人者。午前の部では、そんな菅原先生からiTOPの概念について詳しい講義があった。
菅原先生はまず初めに、受講者に対して「クラプロックスの歯ブラシや歯間ブラシを初めて使ったとき、どう感じたか?」と質問。さまざまな意見が出る中、菅原先生自身は「柔らかすぎて全然磨けない」「本当に磨けてるの?」「歯間ブラシのワイヤーが細くて曲がりやすい」と最初に感じたといい、患者さんにおすすめした際のネガティブな反応についても言及した。
iTOP講師の菅原美里先生
しかし、この歯ブラシの圧倒的な柔らかさや歯間ブラシのワイヤーの細さには、すべて理由があるという。そしてクラプロックス製品は、iTOPで推奨されている患者教育の考えをもとに作られた製品であると説明した。
そしてiTOPは、疾患がある方のためのものではなく、いま疾患がない方が100歳になっても健康でいられるようにするための理論であると解説。加えて、正しいプラークコントロールを習慣化するには、「楽しい・効果がある・痛くない」ことである必要があり、反対に「めんどくさい・効果がない・痛い」ことは習慣化できないと語った。
ブラッシングは実践でしか学べない!「Touch to Teach」の必要性
続いて菅原先生は、iTOPの提唱者であるジリ・セデルマイヤー先生について紹介。セデルマイヤー先生はもともとチェコの歯科医師で、ドイツの大学で公衆衛生学の教授を務めたという。
学生の試験では、自分の口腔内をブラッシングさせて、上手にブラッシングできなければ不合格にしていたというセデルマイヤー先生。そんなセデルマイヤー先生が提唱したiTOPでは、「Touch to Teach(教えるために触る)」という考えを大事にしていると伝えた。
「ブラッシングは、ダンスや運転と同じで、本や動画だけでは学べず、実践でしか学べない」と語る菅原先生。実際に患者さんの手を持って、土臭く、コーチングし続けるということが、iTOPの核であると伝えた。
iTOP提唱者であるジリ・セデルマイヤー先生(写真右)
口腔内のバイオフィルムを100%除去するのはむずかしい!ではどう考える?
続いて菅原先生は、バイオフィルムに対する考え方について言及。口腔内という細菌の繁殖にうってつけの環境下では、時間の経過とともにどんどんと細菌が増殖していくため、100%のバイオフィルムを除去することはむずかしいのではないかと問いかけた。
クラプロックスの歯ブラシが目指すのは、「徹底したプラークの除去」ではなく、「プラークをかき乱す」ということ。菅原先生は、プラークが成熟する機序について説明した上で、プラークに含まれる細菌が歯や歯肉に悪影響を与えないうちに、1日1回必ずプラークの層を崩すことが重要と説明した。
クラプロックスの歯ブラシが目指すのは「プラークをかき乱す」こと
では、どのような道具を使ってプラークを除去すれば良いか。菅原先生は、iTOPが考える良い道具の3つの条件について紹介した。
① acceptable(受容性):患者が使ってみたいと思う
② effective(効果的):効果的にプラーク除去できる
③ atraumatic(非外傷性):自分の歯や歯肉を傷つけない
クラプロックス製品はこの3つの条件をすべて満たした上で、プラークがもっとも停滞しやすい歯頸部と歯間部にアプローチするために作られているという。
ここで菅原先生は、歯間ブラシとフロスの有効性を比較した論文を2本紹介。フロスよりも歯間ブラシの方が歯肉の炎症を抑制することや、歯周病菌を減らすことを示した。それに加え、18〜22歳の若年者に対する研究では、被験者の歯間部2,608ヶ所中、2,408ヶ所(92.3%)に歯間ブラシが挿入できたといい、歯間ブラシは年齢問わずすべての方に有効であると語った。
そしてクラプロックスの歯間ブラシは、健康な方の歯間部にも挿入できるよう、ワイヤーが非常に細く、それでいてブラシの毛は長く作られていると説明。そのため、より歯や歯肉にやさしい歯間ブラシであることを示した。
菅原先生は、エナメル質を研磨したような歯面の滑沢さではなく、健康的な歯面の滑沢さを目指してほしいという。クラプロックスのようなやわらかい歯ブラシでブラッシングを行うことは、自分の歯や歯肉を守ることに繋がり、歯肉がクリーピングする力を妨げないと語った。
iTOPの講師の口腔内写真。長年クラプロックス製品を使い続けており、歯肉退縮が起きていない。
菅原先生は最後に、Apple創設者のスティーブ・ジョブズの言葉を引用し、「歯を削り続けますか?歯石を取り続けますか?それとも、歯ブラシやTBIによって世界を変えますか?」と問いかけ、まずは自分や自分の周りにいる家族や友達から、正しいブラッシング方法を伝えていってほしいと締めくくった。
クラプロックス製品を堪能!歯ブラシや歯間ブラシ、フロスの使い方を徹底的に学ぶ
午後の部で講師を務めた歯科衛生士の前田奈美さんは、歯科衛生士歴20年以上のベテラン歯科衛生士。
まず初めに前田さんは、予防歯科の根本的本質は「患者自身が健康な口腔であることを楽しむこと」であり、自分の歯を自分で守るという意識をもつことが重要だと語った。そして自身のこの考えがiTOPの概念とマッチしていることを知り、一受講生としてiTOPセミナーに参加したことがクラプロックス製品との出会いだったという。
iTOP講師の前田奈美さん
iTOPやクラプロックスに出会ったことで、今までの歯科衛生士としての概念がガラッと変わったという前田さん。午後の部では、クラプロックスの各製品について解説し、実習を通してその魅力を最大限に伝えた。
実習で使用したクラプロックス製品は、以下の9つ。
① 歯間ブラシCPSプライムスタート
② デンタルフロス834
③ 歯ブラシCS5460
④ 歯ブラシCS12460ベルベット
⑤ 歯ブラシCSスマート
⑥ クラプロックスキッズ
⑦ シングル歯ブラシCS1006
⑧ シングル歯ブラシCS1009
⑨ HYDROSONIC PRO(音波式電動歯ブラシ)
セミナー受講生に配布されたクラプロックス製品
今回は、クラプロックスの主要製品である ①・③ の特徴と当日の実習内容について紹介する。
① 歯間ブラシCPSプライムスタート
クラプロックスの歯間ブラシは、細くしなやかで、強度のあるサージカルワイヤーを使用している。適切に使用すれば、約200回曲げることができる耐久度をもつという。
また、サイズ展開が細かく、他社製品の4Sサイズでも入らないような狭い歯間部にも使えるサイズも取り揃えているため、健康な口腔内の歯間部にも挿入しやすく作られている。
当日の実習では、まず前田さんによるデモが行われ、専用プローブ『Interdental Access Probe(IAP)』を用いて歯間部のサイズを測る方法についての解説があった。
IAPによって歯間部のサイズを計測するデモの様子
そして各歯間部のサイズを記入する『Interdental Access Card=IAC』への記入方法や歯間ブラシの挿入ポイントについてレクチャーを受けた後、隣の席の受講生とペアになって相互実習を行った。
相互実習の様子
③ 歯ブラシCS5460
普通の歯ブラシの10倍以上の植毛数を誇る、クラプロックスの歯ブラシCS5460。ブラシの毛にはナイロンよりも柔らかく、コシ・弾力に優れるクーレン繊維を採用していることで、歯や歯肉にやさしくアプローチしながら、プラークを効果的に除去することができる。
クラプロックスの歯ブラシで指導する前の状態(写真左側)と、指導後の歯肉(写真右側)の比較。右側上下臼歯部にあったクレフトの改善がみられる。
クラプロックスの歯ブラシは、適切に使用すれば3ヶ月耐久することから、メインテナンスと同じ間隔で交換できるため、「歯ブラシの交換し忘れを防げる」というメリットも享受できる。
ブラシの当て方としては、ブラシの50%が歯、50%が歯肉に当たるようにして、いつもの半分程度のブラシ圧(約80g)で、円を描くようにくるくる動かすことが鉄則。また、歯や歯肉に対して45度の角度で当てやすいよう、人間工学に基づいた8角形のハンドルにデザインされている。
クラプロックスの歯ブラシの使用方法
実習では、CS5460・CS12460ベルベット・CSスマート・クラプロックスキッズの4本の歯ブラシを使って、自身の口腔内を徹底的にブラッシング。受講生からは「ツルツルになった!」「気持ち良い!」といった喜びの声があちこちで聞こえ、大盛況のセミナーとなった。
自身の口腔内をブラッシングする受講生の様子
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実習中は、講師の先生方がTouch to Teachで多くの受講生に指導し、適切なブラシ圧や歯ブラシの動かし方、歯間ブラシの挿入方法などを何度も根気よくレクチャーしている姿が印象的であった。
予防歯科に関わる歯科医療従事者であれば、多くのヒントが得られること間違いなしのiTOPセミナー。クラプロックスユーザーの歯科医療従事者であれば、必ず受けるべきセミナーだと感じた。
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