・iTOPの基本をスタッフ等に指導できるレベルのプロフェッショナルを育成する「iTOPエデュケーターセミナー」。 ・4日間ひたすらOHIについて学ぶiTOPエデュケーターセミナー後半では、遂に実技テストが実施される…! |
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はじめに
株式会社ヨシダ東京本社では9月19〜22日の4日間、「iTOPエデュケーターセミナー」が開催された。
iTOPエデュケーターセミナーは、iTOPイントロダクトリーセミナー受講者を対象とした、iTOPの基本を同僚のスタッフ等に指導できるレベルのプロフェッショナルを育成するセミナー。
4日間のセミナーでは、より患者の口腔ケアへのモチベーションを高め、治療効果を長期に維持するための知識と技術がとことん学べるカリキュラムが組まれており、十分な訓練を受けた講師との1対1のトレーニングセッションが何度も行われる。
今回、メイン講師を務めたのはフランカ・バラノビッチ・フーバー先生。フランカ先生は1991年にイタリアのジェノバ大学を卒業した歯科医師で、2008年にiTOPセミナーを受講。それからはiTOPのインストラクターとして、世界各国で講師を務めている。
メイン講師のフランカ・バラノビッチ・フーバー先生
エビデンスベースの講義と、講師陣の熱意溢れる実技指導が盛りだくさんの4日間。今回はセミナーの後半部分をダイジェストでお届けする。
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Day3.口腔と全身の健康はどう関わっている?患者の行動変容についても徹底深掘り!
セミナー3日目の午前の講義では、豊富な論文とともに口腔と全身の健康の関わりについて、詳しい解説がなされた。
まずフランカ先生は、口腔や全身の健康に影響する要因を、以下の4つに分けて紹介した。
① ストレスの管理
② 最適な栄養摂取
③ 定期的な運動
④ 良質な睡眠
① 〜 ④ のどれかに問題がある場合、口腔内にもその影響が出る可能性があるため、患者のことをよく知り、現在の患者の生活はどんな状態なのかということを把握した上で、サポートする必要があると伝えた。
続いてフランカ先生は、世界で初めてプラークの蓄積が歯肉炎発症の原因と発表した1965年のハロルド・ルー先生の論文1)を紹介し、その上でストレスや食生活、運動が、プラークの細菌層、ないしは歯肉や全身の健康に与える影響についての論文2)も併せて紹介した。
それに次いで、ある腫瘍学の専門家が提唱した、健康的な食生活を送るために摂取するべき、以下の5つの食品についても述べた。
・抗酸化作用のある食品
・硝酸塩が含まれた野菜やジュース
・オメガ3脂肪酸を含む食品
・腸内細菌に有効に働く食品(プロバイオティクス)
・食物繊維を含む食品
他にも、細菌感染の始まりや、細菌によるコロニー形成の機序、口腔内細菌が全身を巡るメカニズムなどについても詳しく説明し、ヒトが健康でいるためには、良い口腔衛生状態をキープし、健康的な食生活を送ることが重要であると伝えた。
中でも、「口腔内のバイオフィルムをかき乱すこと、すなわち機械的清掃を行うことは、すべての細菌との戦いの柱となる」といった言葉は特に印象深い言葉であった。
午後の部の講義のメインテーマは、ずばり「行動変容」。
フランカ先生は「口腔の健康は患者の行動にかかっている」と伝え、OHIを行う上でもっとも重要なカギとなり得る行動変容について、たくさんの論文や症例をもとに、熱く語った。
歯科診療において、「患者とのコミュニケーション」というものは、常にむずかしいトピックとして取り上げられる。
しかし、「患者たちは、自分のことをよく考えてくれて、自分の人生に思いっきり関わってくるような、歯科医療従事者を求めている」とフランカ先生はいう。
具体的な行動としては、以下のようなことを指した。
・患者がどんな生活をしているか、患者の人生や置かれている状況について理解して、アプローチを行うこと
・力強く情熱的に、信念をもつこと
そして、「私たち(歯科医療従事者と患者)は、歯科治療における同盟者であり、ともに進む仲間」と熱く語った。
患者の行動変容は、私たちのアプローチやアイディアの提示によっても影響されると説明する様子
では、私たちはなぜ患者を失うことがあるのか。
ビジネスにおいて顧客を失う理由でもっとも多いのは、「価値を感じないから」という理由だと、フランカ先生はエビデンスをもとに解説。
そして歯科医院の場合、「患者は何を求めてやってくるのか」「患者にはどのように情報を伝えれば良いか」「そのときにやってはいけないことは何か」ということについて、詳しく説明した。
私たちが患者に情報を伝える際、効果的に受け入れられやすくするには、以下の4つのポイントが重要だと、フランカ先生はいう。
① ゴールセットすること
② 計画を立てること
③ 患者が自分で検証すること
④ フィードバックすること
続けて、iTOPにおける行動変容のプロトコールや、そのプロトコールを実践することで、歯科でのメインテナンスで非常に高い効果が得られることをエビデンスベースで語り、午後の講義を終えた。
3日目の実習では、翌日の午前中にブラッシングのテストが実施することが発表された。
そのため実習時間は、さまざまな清掃用具の使い方について、改めて講師陣に質問が殺到。午前・午後の実習ともに、講師陣は受講生に対し、繰り返しTouch 2 Teachで指導を行っていた。
繰り返しTouch 2 Teachで指導を行う講師の先生方
また、この日の実習では、受講生が講師に対してブラッシングを行う様子もみられ、iTOPインストラクターになるためのステップが着実に踏まれていることを実感した。
フランカ先生に実際にブラッシングを行う受講生
Day4.ついに実技テスト!4日間のセミナーの集大成を迎える最終日
いよいよ迎えたテスト当日。
まずはじめに、池亀氏よりiTOPの講師やインストラクター、サポーターになる上での注意事項について説明が行われた後、早速テストの実施方法についての説明が行われた。
今回のテストの実施方法は、以下の通りであった。
・今まで組んだことがないペアで実施
・歯ブラシ、フロス、歯間ブラシ、シングルブラシ、音波歯ブラシの5種類の清掃用具からランダムに2種類を選ぶ
・選んだ2種類の清掃用具を用いて、ペアの相手を患者と想定してOHIを行う
ハイドロソニックプロを用いたテストの様子
テスト終了時だけでなく、テスト中にも、講師陣から良かった点や改善する点について随時フィードバックが行われ、受講生がより適切なOHIができるよう、的確なアドバイスが提供された。
テスト中も随時フィードバックが行われる
午後からは再び行動変容についての講義が行われ、今回のエデュケーターセミナー全体を通しての質疑応答の時間が設けられた。
「歯磨剤はどんなものが良いか」「洗口液を使うタイミングはいつがベストか」「ブラッシングは1日何回、何分行うのがベストか」という質問に対し、フランカ先生はあらゆるエビデンスをもとに、懇切丁寧に回答した。
そして今回のエデュケーターセミナーのフィナーレとなる、LEGOブロックを使ったワークショップが行われた。ワークショップの内容は、「今回のセミナーで学んだこと」をテーマに、4人グループで共同制作を行うというもの。
グループそれぞれがテーマを決めて作品づくりを行い、受講生の想いが独創的に表現された。
LEGOブロックを使って無我夢中で作品を制作する受講生
セミナー最後には、フランカ先生自らが受講生一人ひとりにサティフィケートを授与。サティフィケート授与後は、フランカ先生からの力強いハグもプレゼントされた。感無量の受講生たちに対し、終始優しい言葉をかけていたフランカ先生の姿が印象深かった。
受講生一人ひとりに熱いハグをするフランカ先生
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フランカ先生が患者の健康を願う熱い想いと、日々の臨床への向き合い方が、痛いほど伝わった4日間のエデュケーターセミナー。
受講生の方々は、フランカ先生をはじめ、すべての講師の先生に対し、憧れや尊敬の念を抱いたのではないだろうか。
クラプロックス製品の魅力はもちろん、口腔の健康を担う歯科医療従事者に必要な知識と考え方、技術が4日間で一気に学べる、非常に充実したプログラムであった。
「患者の健康のために自分たちは何ができるのか」ということをエビデンスベースで学びたい方や、今一度自分の臨床を振り返ってみたい方には、ぜひ受講していただきたい。
患者にセルフケアの重要性を確実に伝える方法が学べる!iTOPセミナーの詳細はこちら
クラデン社が開催するiTOPセミナーは、患者が一生涯正しいブラッシングが継続できるよう、口腔衛生に関する知識を提供しながら、患者と一緒に考え、トレーニングを行うプログラム。
適切なプロケアとセルフケアの両輪を回せる術が学べ、ブラッシングに関する知識だけでなく、技術も同時に身につけることができる。
今回ご紹介したエデュケーターセミナーが開催されるのは1年後!ただし、エデュケーターセミナーの受講には、イントロダクトリセミナーへの受講が必須となる。
2024年下半期に開催されるiTOPイントロダクトリセミナーの募集枠は残りわずか!ぜひこの機会に、多くの歯科医療従事者に世界レベルのOHIを学んでいただきたい。