ニューヨーク州立大学バッファロー校の研究チームは、3Dプリンターで抗生物質入りデンチャーを作成する新技術について、Materials Today Communicationsにて発表した。
出典: YouTube_3-D Printed Dentures That Bite Back at Infection
生物分解性・透過性のある超小型カプセルにポリエン系抗生物質であるアムホテリシンBを内包させ、定期的に抗生物質を放出する機能を持たせた新素材を用いた3Dプリンティング技術だという。
米国においては、義歯患者の約2/3が、細菌感染による炎症などの症状に頻繁に苛まれているという。
この技術を用いて作成された義歯は、義歯そのものが細菌の増殖を抑制することができ、義歯使用中にもその効果を発揮するため、高齢者、入院患者、そして障害者などにおいて有効であるという。
強度試験の結果、一般的な手法で製作された義歯と比較して、曲げ強さは35%劣るが、プリンティングされた人工歯が欠けることなどはなかったという。それに加えて、新素材の厚みによる抗生物質の有効性の違いなどについても研究された。
この先、グラスファイバーやカーボンナノチューブを用いて強度を高める技術や、義歯のリライニング技術についての研究が行われるという。
研究チームの、Praveen Arany氏は、
この革新的な3-Dプリンティング技術のもたらす一番のインパクトは、コストや時間の削減です。開業医において、チェアサイドで義歯が出来上がるようになるでしょう。
などと述べている。また、この技術は、スプリントやステント、補綴物などにも適用可能だという。
光学印象に、CAD/CAMや3-Dプリンティング・・・近年の歯科医療におけるテクノロジーの発展には目を見張るものがある。