米国 コロンビア大学歯学部と医学部の研究チームが、歯周病の発現の主要制御因子となる41個の遺伝子を特定したと、昨年の the Journal of Dental Research において発表した。
遺伝子の発現には個人差があるが、「患者さんごとに歯周病を引き起こしている遺伝子の発現を抑える化合物を患部に注入することで歯周病の進行を食い止める」という新しい歯周病治療法につながることが期待されており、実用化に向けた研究が進められている。
遺伝子と聞くと、難しくて理解しずらい領域の話と感じるかもしれないが、2017年現在、実はすでに多くの企業が遺伝子関連のサービスを提供している。海外勢で有名なところでは、2006年にシリコンバレーで創業した 23andMe などがある。
23andMe は、Googleの共同創業者の妻が始めた 一般人向けの遺伝子検査サービス の提供会社である。
日本法人もあり、
・ 将来子供がもつかもしれない50項目以上の遺伝性疾患が検査により妊娠前に調べられる。
・ 遺伝子検査をすることで、病気が発送する前に病気のリスクを知ることができる。
・ あなた専用の治療方法を確立する。
などを遺伝子検査の結果として得られるメリットとして描いている。
一般人向けのサービスとの提供に加えて、現在では収集した膨大な遺伝子データを活用した新薬開発を目指すなどの取り組みを行っている。
日本発の遺伝子解析サービスでは、2013年に現役の東京大学大学院生が創業した ジーンクエスト などが知られている。こちらも、「生活習慣病などの疾患リスクや体質の特徴など約290項目についての遺伝情報が得られる。」としている。290項目の中には、慢性歯周炎や顎関節症など歯科医療に関わる検査項目も含まれている。
出典: YouTube IBM BlueHub Video Chapter3 - Five Dreams ジーンクエスト編「Genequest - 遺伝子情報 x α」
23andMe 、ジーンクエスト ともに、申し込むと簡単な検査キットが送られてくる。そちらで唾液などのサンプルを取り送り返すと解析をしてくれ、後日解析結果を得ることができる。
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執筆者
WHITE CROSS編集部
臨床経験のある歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士・歯科関連企業出身者などの歯科医療従事者を中心に構成されており、 専門家の目線で多数の記事を執筆している。数多くの取材経験を通して得たネットワークをもとに、 歯科医療界の役に立つ情報を発信中。