"名古屋から世界へ" をスローガンにしたシンポジウム、Greater Nagoya Dental Meeting(GNDM)の第4回目大会が2020年1月19日に名古屋にて開催される。
今回は「歯科の匠に迫る」をテーマに、それぞれの分野で匠の技を世界に発信している講師が名古屋に集結。
歯科の本質である「技」に、あらゆる角度から迫ることができるであろう。
また、昨年から開催されているDHセッションに続き、今回からは歯科技工コンテストも行われる予定だ。
会を重ねるごとにますますパワーアップしていくGNDM。「2020年勉強はじめ」として、ぜひ参加してはいかがだろうか。
第4回 Greater Nagoya Dental Meeting 大会長 Dr. 飯田吉郎
第4回テーマ「歯科の匠の技に迫る」 講演内容
今回のテーマは、「歯科の匠の技に迫る」である。
デジタル時代の今だからこそ、今大会では、手仕事の極みである「ダイレクトレストレーショントゥースプレパレーション」と「歯周形成外科」を取り上げるという。
それぞれの分野で匠の技を世界に発信し続けている講師陣に迫っていく。
メイン会場
Dr. 青島徹児『Diastema Closing & Class 4 Restoration Technique』
Direct Restorationは世界中で行なわれている修復治療の一手法であり近年では、より審美的かつ自然な仕上がりになるよう Composite Resin(以下CR)の色調や光透過性、光の屈折率、蛍光性などを天然歯に近似させるよう開発が進んでいる。そのような点からも以前より増して、審美的結果を得るための material が整ったと言える。
しかしながら前歯の Direct Restoration において、最新の material を使用したからといって、よい結果が得られるわけではなく、色調以外にも形態的バランスやカントゥア、表面性状、艶感など審美的結果を得るためにクリアしなければならないハードルは多数存在する。
今回 Diastema や Class 4 を中心に前歯にターゲットを絞り、基本となる penta-laminar concept からなる各 Aging Stage におけるシェードテイキングテクニック、マメロンの読み取り方法、正中離開、矮小歯、ブラックトライアングルの閉鎖など審美的結果を得るためのテクニックを紹介したいと思う。(抄録より)
Dr. 岩田淳『補綴修復治療に求められる支台歯形成とは』
支台歯形成は日常臨床で行われる最も多い治療術式の一つである。そして補綴修復装置と生体が審美的、機能的、構造力学的、生物学的にも調和するような支台歯形成、支台歯形態が成されなければならない。
支台歯形成の歴史を紐解くと、補綴修復装置の素材や装着材料の変化により、支台歯形成も時代とともに様々に変化してきている。特に近年では接着性修復治療・MI修復治療が発展し、支台歯形成も一つの転換期にあると感じる。また補綴修復治療においてデジタル化が進み、モニター上で簡単に支台歯形態やマテリアルスペースの確認などが可能となった。しかし依然として、支台歯形成は歯科医師が口腔内でアナログ的に行う必要があり、それは非常に繊細で補綴修復治療の成功を左右するものである。
本講演では支台歯形成の具体的なテクニックを、様々な臨床例を通じて解説させていただきたい。(抄録より)
Dr. 閔成弘『VISTA : 天然歯・インプラント周囲何組織マネージメントの最前線』
2018年にオランダ、アムステルダムにて歯周疾患・インプラント周囲粘膜疾患の新分類が発表された。前回の分類発表からおよそ20年ぶりの改変となる。歯肉歯槽粘膜疾患の歯肉退縮に大きな改変があった様に、今まで解明できなかった臨床疑問が、エビデンスの蓄積によって解決できる様になった。新分類で大きく取り扱われた項目は、1. 矯正治療による歯肉退縮、2. 歯肉縁付近の補綴物や充填物による歯肉退縮、の2点である。
過去、付着歯肉と角化歯肉の必要性のみが議論されてきたが、今回の新分類で大きく取り扱われたトピックが歯肉の厚みである。歯肉退縮治療と予防、そしてインプラント周囲軟組織の厚みがインプラント周囲骨に及ぼす影響等に関する論文が年々多くなっている様に、現在の軟組織移植術の適応症は以前より幅広くなっている。
講演内容は、最新研究データによってアップデートされた科学的根拠に基きながら、VISTA にて天然歯及びインプラント周囲軟組織のマネージメントを行なった症例を解説していく。(抄録より)
Dr. 鈴木真名『Dose Restoration of Lost Papilla Achievable —Myth or Reality—』
審美修復治療において歯間乳頭部の欠損は大きな問題となり、その欠損部位の再建なしに審美修復は成り立たない。一般的に乳頭とは歯間部位における軟組織を意味するが、臨床では欠損部位にも再建が行われることから、ここでは広い意味でポンティックやインプラント間の部位も乳頭とさせていただく。
そうすると、乳頭には6つのパターンがあるということになる。すなわち、“Tooth-Tooth” “Tooth-Pontic” “Tooth-Implant” “Implant-Implant” “Implant-Pontic” “Pontic-Pontic” である。そして、これら6つのパターンはそれぞれ環境に違いがあり、再建を考えるうえで考慮すべきポイントも変わってくる。
そこで本講演では、乳頭の欠損がある症例に対する審美修復について、6つのパターンに対応した症例とともに考察していきたい。(抄録より)
DHセッション
Dr. 柴原由美子『伝え方改革〜患者さんのモチベーションを高める7つの秘訣〜』
「患者さんのモチベーションを高める」ことに対して、「難しい」と感じている医療者も多いのではないだろうか。私は言葉や人間の心理について本格的に学び、現場での実践を通して多くの気づきを得た。特に驚いたことは、人間の心と行動に「言葉」が多大な影響を与えること、自身の考え方や言葉を変えることで、患者さんの反応が大きく変化することである。
今回は、「モチベーションが上がらない本当の理由」、「モチベーションを下げてしまう ”NG” の伝え方と ”響く” 伝え方」など、私の経験や臨床現場でよく見かける事例を用いて、具体的な言葉の使い方のコツを解説する。「簡単で・効果的」な伝え方を知ることで、患者さんとさらに深い信頼関係を築き、毎日のコミュニケーションが楽しく、ストレスフリーになることを切に願っている。本講演を通して、「ほんの少しの伝え方の違いが、大きな差を生むこともある」ということを、実感していただきたいと思う。私が重要だと考える ”7つの秘訣” について皆さんと一緒に考え深め、明日からの臨床でお役に立つことができれば幸いである。(抄録より)
Dr. 今泉三枝『0歳児からの口腔機能育成〜0から2歳児の歯科室に訪れた子どもたち〜』
良好な子どもの口腔育成には、正しい咀嚼や嚥下、食行動の学習、それらを支える体幹や姿勢など基本的な生活習慣の確立が重要である。しかし、一般的に子どもが歯科医院に訪れるのは歯が萌出した後が多く、支援の機会を逸することが少なくない。そこで、当院で行っている「0から2歳児のための歯科室」では、歯が萌出する前から歯科医療機関にてう蝕や歯ならびはもとより、子どもの成育全般に対し良好な生活習慣の確立をめざし、定期通院を基本とした予防歯科医療を提供している。今回は、この歯科室に訪れた親子の様子を供覧する。
乳幼児の身体や口腔内の状態に沿った食育指導法、正しい顎位と顎運動の育成法を伝え、個別対応にて正しい育成サポートをする意義は歯科医療現場で必要性が高まっている。
味覚や摂食の調節機能、睡眠リズム、歯みがきや指しゃぶりなどの口腔感覚の基礎もこの時期に確立される。カリエスマネジメントにおいても、歯の萌出前から保育者に情報の提供を行ない、う蝕の進行ステージごとのメインテナンスのスタートと継続を促す。この大切な人生のスタートに歯科衛生士の関わりは、子どもたちが正しい生活習慣を獲得し、カリエスフリーのまま、生涯にわたる健やかなライフステージをあゆむための重要な意義を持つ。(抄録より)
DH 中山かおり『歯周再生療法におけるアシスタントワーク』
「いつまでも自分の歯で噛みたい」という希望を持ち、「なんとか自分の歯を残せないか?」と歯科医院を受診する患者は少なくない。歯周組織再生療法はそんな患者の希望を叶えるチャンスを有する外科処置である。しかし、歯周組織再生療法は他の歯周外科処置に比べ、難易度が高い。炎症のコントロール、プラークコントロール、咬合管理などの術前の準備はもちろんのこと、手術の手技から術後の管理までより高い質が求められる。
より良い結果を得るためにはDr.が常に術野に集中し、より精度の高い処置を行えるように、手術に関する知識を十分把握した上で、術野の確保、器具の提供など的確にアシストが行われることが重要となる。
本講演では、歯周再生療法におけるアシスタントワークについて解説したい。(抄録より)
DH 片山章子『プロケアのアート&サイエンス』
生体にとって不要な異物を取り除き、歯・歯周組織を本来の営みにもどすためのプロケアのあり方・手順に『黄金の法則』はあるのでしょうか。
昨今、微粒子パウダーの発展を中心にプロケアの器材は進化を続け、同時にプロケアの本流は変化しているようにも見えます。何十年前から継承されてきた方法や考えに侵襲のリスクをともなう施術があったとすれば、器材の進化とともに施術が革新していくことは自然なことだと言えます。
しかし、私たち歯科衛生士が歯・歯周組織の調和を壊すことなく、同時に個々人の口腔内の実状にあてはまる的確なプロケアを施術するには、まず口腔内の状態を知る<観察眼>と、器材の性能を理解し選びとる<選択眼>が必要です。そして、<観察眼と選択眼:サイエンス>を使い、革新的な器材を使いこなすための<基本の型:アート>を習得する智恵こそが、変わることのない『黄金の法則』なのです。
そこで本会では、継承し続けなくてはならない実践的なアート&サイエンスをご提示し、みなさんにとって有意義な時間となるよう私なりに尽力したいと考えています。(抄録より)
ランチョンセミナー
Dr. 飯田真也『ENA HRi を用いたコンポジットレジン修復』(提供:株式会社フォレストワン)
日々の修復治療にコンポジットレジンを使用しない日はないであろう。現在市場には実際の臨床の場におけるニーズに応えるべく各メーカーから低侵襲なだけでなく、高い物理的性質や審美性を兼ね備えた製品が数多く流通している。Micerium社のコンポジットレジン「ENA HRi」がフォレストワンから国内販売されて4年が経過したが、この製品が他のCR製品と比較して一線を画する理由とそのコンセプトについて再確認してみたいと考える。
また特に臼歯にフォーカスを絞り、その中でも日常臨床でよく遭遇する2級修復を取り上げてみたい。2級修復といっても軽度な隣接面カリエスから複雑窩洞のメタルインレーなどが脱離した大きな修復までバリエーションがある。両者ともに2級修復ではあるが、残存している辺縁歯質の量や歯根間距離などが違うため、画一的な方法では実は良好な形態回復が困難なことも少なくない。なぜ難しいのか?その理由について分析し、実際の要点について臨床例を供覧することで解説したいと考える。(抄録より)
DH 大塚英里『歯科用内視鏡(ペリオスコピーシステム)を用いた低侵襲で確実な歯周治療』(提供:株式会社モリムラ、株式会社デンタリード)
現代医療において、低侵襲という概念は明確な方向性として認識されている。内視鏡を用いた手技は最小限の侵襲で検査や手術を行うことが可能であり、医科だけでなく歯周治療に応用されるようになった。
歯科用内視鏡「ペリオスコピーシステム」は、歯肉縁下の歯根表面や歯石等の沈着物を20〜40倍に拡大して視ることができるシステムで、ディスプレイで歯周ポケット内の画像を確認しながらデブライドメントを行うことが可能である。本ランチョンセミナーでは、ペリオスコピーシステムを用いた根面デブライドメンドによりどこまで歯周組織の改善がみられるのか、症例を通してみていきたい。
ペリオスコピーは歯科衛生士教育にも役立つと考える。歯科衛生士が一番苦手とする歯石の触知を歯石の取り残しがある部位で指導者がペリオスコピーで画像を視せながら行うことで、触知感覚を得られる効果的な指導ができる。このように、ペリオスコピーシステムは、技術力が高い歯科衛生士の育成にも貢献してくれると期待している。(抄録より)
GNDMテクニシャンコンテスト
今回から新たな試みとして、「GNDMテクニシャンコンテスト」が開催される。
受賞症例は雑誌QDT 2020年5月号(クインテッセンス出版)に掲載予定である。
募集要項
募集対象
歯科技工士有資格者による、上顎前歯の修復を含む臨床ケースのレポート(単冠修復~フルマウスまで、天然歯支台 / インプラント支台不問、居住 / 勤務地不問)
賞および賞品
最優秀賞(1名):現金10万円、「QDT」2020年5月号(予定)への掲載
準優秀賞(1名):現金3万円、「QDT」2020年5月号(予定)への掲載
募集期間
2019年8月16日(金)~2019年12月25日(水)
問い合わせ先
吉木雄一朗(GNDMテクニシャンコンテスト責任者)
シンポジウム詳細
日時 2020年1月19日(日)9:00〜17:30
場所 グローバルゲート 名古屋コンベンションホール 3F メインホール & 中会議室
費用 歯科医師 当日 20,000円 前割 17,000円
歯科技工士 当日 15,000円 前割 12,000円
歯科衛生士 当日 10,000円 前割 7,000円
開催地はこちらから
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