この記事のポイント ・EMSが開発した「Guided Biofilm Therapy(GBT)」について行った大規模調査の結果を紹介。 ・GBTとは、歯や歯肉への侵襲をより抑え、手用器具や超音波スケーラーの必要性を低減するメソッド。 ・アンケートに回答した患者さんの約94%が高く評価した、GBTの魅力に迫る。 ・記事末尾には、GBTについて詳しく学べる無料オンラインセミナーのご案内も。お見逃しなく! |
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はじめに
スイスに本部を置くEMS社は、第一線のエキスパートと共同で「Guided Biofilm Therapy(以下、GBT)」というコンセプトを2017年に提唱しました1)。それ以来、世界中の歯科医院では、その独自の方法に魅了される歯科医療従事者が続出。
そして今回、患者さんからのGBTに対する評価を明らかにするため、GBT認定クリニックに通う278,000人以上の患者さんを対象にアンケート調査を実施しました。その結果、全体の約94%が従来の方法よりもGBTを高く評価しており、家族や友人にもGBTを推奨していることが判明。アンケートでは、処置中の痛みや処置に必要な時間などについても問われました。
今回は、多くの患者さんから支持を受けているGBTと、GBTに関する大規模なアンケート調査について詳しくご紹介します。
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Guided Biofilm Therapy(GBT)とはどんなクリーニングのことを指す?
GBTとは、歯や歯肉への侵襲をより抑え、手用器具や超音波スケーラーの必要性を低減するメソッド。2歳以上であれば、小児や未成年者の初期う蝕・歯周病予防にも対応しています。
GBTの手順は、大きく8つのステップに分けられます。
① 評価と感染予防
② 染出し
③ 情報提供
④ 歯肉縁上・縁下のエアフロー
⑤ 歯肉縁下のペリオフロー
⑥ スマートピエゾンとチップPS
⑦ 指差し確認
⑧ 新たなリコール予約
GBTのプロトコール
GBTは、歯面の染出しから始まり、染色されたバイオフィルムを術者が行う施術の目安(ガイド)にします。これにより、オーバーインスツルメンテーションを防ぎ、バイオフィルムをきちんと除去することが容易になるのです。また、キュレットやラバーカップを用いる通法のPMTCと比較し、より低侵襲で治療時間を短縮することができます(図1)。
図1 エアフロー®を用いた最新のクリーニング。修復物やインプラントコンポーネント、固定式矯正装置だけでなく、あらゆる口腔組織のバイオフィルム管理に適している。
GBTと従来のクリーニングは、どこがどう違う?
従来のクリーニングでは、まず超音波スケーラーや手用のインスツルメントを用いて歯石やバイオフィルムを除去します2)。そしてその後に行われる歯面研磨では、貴重な歯質の損失が生じます3)。さらに、染出しが省略されることもしばしばあります4)。
一方GBTでは、まずすべての歯面から病因となるバイオフィルムを除去します。バイオフィルムを除去する際は、必ず染出しを行い、その後エアフロー®を用います。
中でも「エアフロー®️プロフィラキシスマスター」は、特許を取得している「ラミナーテクノロジー(図3)」と、ペリオフロー®、エアフロー®️パウダープラスによって、最大の効果と効率性を発揮します5)。その後のステップとしては、スマートピエゾンとPSチップを使用し、残存する歯石を除去します。
図3 ラミナーフロー(左):エアフロー®からは、一定に調整された流量でノズルからPLUSパウダーが噴出される。タービレントフロー(右):乱気流のようにあらゆる方向へパウダーが噴出される。
最新の情報をキャッチし続ける患者さんは、常に歯科医療従事者と同じ目線で、科学技術の最先端に沿った、効果的かつ最新の予防処置を望んでいます。痛みがなく、口腔内にやさしい予防処置は、患者さんからの信頼が得られるだけでなく、歯科医院の経営においても非常に大きな効果を生み出すでしょう。
2)Stiftung Warentest. Weit aufmachen, bitte. Stiftung Warentest: Professionelle Zahnreinigung. test. 2015(7):86-90.
3)Burkhardt AS, et al. Effect of air-polishing using erythritol on surface roughness of enamel and dentine compared to conventional methods. Poster presented at the EuroPerio, Copenhagen 2022. 2022.
患者さんの約94%が高く評価するGBT。その魅力はどこにある?
今回のアンケート調査では、13,082軒のGBT認定クリニックに来院した患者さん278,258名に対し、0〜5までのスコアがつけられる以下の7つの質問を行いました。
Q1.GBTの施術を受けた後の感想はどうでしたか?
(不快 0 〜 5 快適)
Q2.染出しによるご自身のブラッシング技術の評価と指導方法は、今後のセルフケアにとって有効でしたか?
(無意味 0 〜 5 有効)
Q3.GBT施術後に舌で触れた歯面の状態はどうでしたか?
(粗い/ザラザラ 0 〜 5 完全に滑らか)
Q4.GBTの施術に要した時間はどうでしたか?
(長すぎた 0 〜 5 適正だった)
Q5.知人にGBTの施術を推奨しますか?
(決してない 0 〜 5 ぜひしたい)
Q6.GBTの施術方法は、従来のクリーニングと比較してどうでしたか?
(悪かった 0 〜 5 良かった)
Q7.今回の経験は過去の施術方法より痛みを伴いましたか?
(はい 0 〜 5 いいえ)
いずれの質問事項においても、スコアは5.0点満点中4.7点前後と、GBTに対する非常に高い支持を得られていることがわかりました。「施術に要する時間が適切であること」「痛みがないこと」を評価している患者さんの割合は93.93%で、従来のクリーニングよりもGBTの方が明らかに好まれていることも結果として示されました(図2)。
図2 アンケート調査の結果スコア。従来のクリーニングと比較してGBTを高く評価した患者さんは約94%であった。
また、回答者の93.17%が「GBTにおける染出しは、セルフケアに有効である」と回答。GBTにおける染出しのステップは、バイオフィルムを完全に除去するためのものであり、患者さんと術者双方にとって、治療の質を担保できるシステムとなっています。
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今回の大規模調査の結果から、患者さんの高い支持が得られていることが示された、GBT。
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世界保健機関(WHO)は、う蝕や歯周炎を含む口腔疾患のことを、疾病の負担が大きく、重要な健康問題として捉えています6)7)。これをコントロールするためには、健康的なライフスタイルに加え、バイオフィルムを定期的かつ完全に除去することが必要です。しかし毎日のセルフケアによって、歯肉縁上歯面、特に歯間部のバイオフィルムが除去されるのは、最大でも50%といわれています8)。
そのため第二の柱として、定期的かつ効果的な専門的予防処置が極めて重要です9)10)。そしてこれを成功させるためには、患者さんにやさしく、現在の知識と技術の進歩を反映したものでなければなりません11〜16)。
GBTは、低侵襲で効率的なクリーニングであることから、患者さんにも術者にもやさしいクリーニング方法だと考えられます。GBTについて学び、より多くの患者さんの喜びを享受できる歯科医院を目指しましょう。
9)Bastendorf K, Strafela-Bastendorf N. Auf das klinische Protokoll kommt es an – PZR, UPT und GBT. Quintessenz. 2020;71(12):1380-9.
11)Bischoff JG. Herausforderung Prophylaxezentrum. Zahnarzt Wirtschaft Praxis. 2018(6):16-9.
15)Lang N, A. L, KD. B. Wissenschaftlicher Konsensus Guided Biofilm Therapy-Protokoll. Ein neues Konzept für die primäre und sekundäre Prävention. 2019.
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