・栄養指導をする際のヒントを会話形式で解説! ・知覚過敏を訴える患者さんの栄養指導には何をおすすめしたら良い? |
この記事は、歯科全般>栄養・分子栄養学
はじめに
皆さん、こんにちは。歯科衛生士の山本典子です。
近年、栄養指導の必要性が叫ばれていることから、「自分でも勉強しているけれど、どうやって患者さんへ説明したら良いのかわからない」という声をよく聞きます。
そこでこの連載では、私と患者さんのやりとりを会話形式でお伝えしたいと思います。皆さんが患者さんへ栄養指導をするときのヒントにしてみてくださいね。
歯がしみるのが治らないんです
※ 以下の栄養指導は、すべて歯科医師の指示のもと実施しています
山本:Yさん、こんにちは!先日しみると仰っていたところはどうですか?
Yさん:こんにちは。薬を塗ってもらって1〜2日は良かったんだけど、またしみてきています。
山本:そうですか。お薬を塗ってもなかなか良くならないですね。もしかしたら、歯にひびが入っているかもしれないですね。
Yさん:え?ひび?
山本:はい、普段から噛みしめやくいしばりがあると、歯にひびが入ってしまうことがあるのですよ。そのひびから伝わってしみている可能性があります。
Yさん:歯が折れたりしないのかしら?
山本:神経のある歯なので、いきなり折れるということはめったにないですが…。Yさん、ご自分では歯ぎしりやくいしばりの自覚はないですか?
Yさん:う~ん…。特にはないけど…。
山本:そうですか。ストレスに感じていることなどはないですか?
Yさん:ストレス?本当はこんなことをいってはいけないのだけど、義母の介護がちょっと大変なのよね。
山本:Yさん介護をされていたのですか?それは大変ですね、いつからですか?
Yさん:半年位前かしら?週に何日かはデイサービスを使っているけど、なかなかね~。
山本:そうだったのですね、もしかしたら、Yさん自身にお疲れがでているのかもしれません。そのせいでなかなかしみるのが治らないのかもしれませんよ。
Yさん:確かに疲れているかも…。
山本:介護は簡単ではありません。知らず知らずのうちに疲れやストレスが溜まってしまうのは当たり前ですよ。
Yさん:そうよね~。でも、それと歯がしみる知覚過敏と関係があるの?
山本:実は、あるのです。自律神経のバランスが崩れると痛みを感じやすくなります。自律神経には交感神経と副交感神経があるのですが、ストレスが大きいと交感神経が活発になって血管がキュッと収縮して痛みを感じやすくなることがあるのです。
Yさん:へ~。でもどうすればいいのかしら?今のままではストレスを減らすことってできないし…。
山本:できるだけリラックスする時間がとれるといいのですが…。なかなかむずかしいと思うので、お食事を少し工夫してもらうことで楽になるかもしれません。
Yさん:え?食事で?なんでかしら?
山本:ストレスを抑えるホルモンにセロトニンというものがあるのですが、このセロトニンは、トリプトファンというアミノ酸からからできているのです。なので、簡単にいうとタンパク質がストレス緩和の助けをしてくれるのですよ。
(※セロトニンはホルモンではなく神経伝達物質ですが、患者さんにわかりやすく説明するためにホルモンと伝えています。)
Yさん:そうなのね。タンパク質か~。
山本:具体的には鶏むね肉やチーズ、大豆製品などがおススメです!
Yさん:あら!家計にうれしいお助け食材ね!
山本:あ!本当ですね!このセロトニンを作るためには、他にもビタミンB群や鉄も必要になるので、緑黄色野菜やレバーなども食べてもらえると良いですよ。
Yさん:レバーは苦手なのよ~。
山本:では、カツオやイワシなどでも良いですよ。
Yさん:それなら食べられる!
山本:良かった。積極的に食べてくださいね。
Yさん:ええ!そういえば、最近は疲れていて食事がおろそかになっていたかも。義母も歯が悪くて柔らかく煮た野菜しか食べないから、自分の食事も同じようになっていたわ~。
山本:そうなのですね。ちょっと食事も気を付けてみてください。それと、もしかしたら…ですが、介護で重いものをもったりストレスを感じたりして、くいしばりが出て歯にひびが入ったことも考えられるので、少しでも時間がとれたらご自分の好きなことをしてリラックスしてくださいね!
知覚過敏のワンポイントアドバイス!
知覚過敏の原因は多岐にわたりますが、物理的なことだけが原因ではなく、食事が原因(自律神経に影響をあたえて)で痛みを感じやすくなることもあることを覚えておきましょう。
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